発声方法や歌唱テクニックの一つとして“エッジボイス”という発声を聞いたことがあるのではないでしょうか。
エッジボイスは、ジャンルを問わないさまざまな曲にも使われているテクニックです。
この記事では、エッジボイスはどんな声なのか、どうやって出すのかを解説していきます。また、エッジボイスを使う女性歌手や男性歌手について、エッジボイスを習得するメリットについても解説します。
エッジボイスってどんな声?
エッジボイスとは、「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」というような声で、声帯を閉じながら発声することで出る声です。
普通に出す声が一定に響くのに対して、エッジボイスはブツブツと途切れたように聞こえ、響くような声にはなりません。別名“Vocal fry(ボーカルフライ)”ともいいます。
ホラー映画「呪怨」で使われている声で、“呪怨ボイス“という呼び方で知られている声でもあります。
表現の一つとして歌の中で使われることも多くあるため、表現の幅を広げるためにも習得しておきたいテクニックです。
エッジボイスを使う歌手・曲
例として、エッジボイスを使う歌手と曲を挙げてみました。エッジボイスがどんなものなのかをまずは感覚として掴んでください。
フレーズの歌いはじめにエッジボイスがかかっていることが多いので、そこに着目して聞いてみましょう。
ここで例に挙げる曲以外にも、エッジボイスはかなり多く使われているので、普段聞く歌の中でもちょっと意識して聞いてみるだけで見つかるかもしれません。
エッジボイスを使う女性歌手・曲
Mariah Carey – Herro
サビ頭の「And then a hero〜」の「And」をはじめとし、この曲ではかなり多くエッジボイスが使われています。
宇多田ヒカル – Automatic
1番Aメロ「唇から自然とこぼれ落ちるメロディー」の「メロディー」にエッジボイスがかかっています。
エッジボイスを使う男性歌手・曲
Justin Bieber – Love Yourself
歌い出し「For all the time that you〜」の「For」にエッジがかかっています。
平井堅 – 大きな古時計
1番Aメロ「100年いつも動いていた」の「動いていた」の部分など、この曲の多くの箇所にエッジボイスが使われています。
エッジボイスを習得するメリット
エッジボイスは歌のテクニックの中でも基本になるものです。習得することで、
- 声帯をリラックスさせることができる
- 声帯閉鎖の練習になる
- 声帯からの息漏れが改善される
- 高音域が出しやすくなる
- ミックスボイスの練習になる
- 歌の表現力が広がる
といったようなメリットが得られます。それぞれについて詳しく解説していきます。
声帯をリラックスさせることができる
声帯をリラックスさせたいときや、声を出す前のウォーミングアップとしてエッジボイスが使われます。なぜなら、エッジボイスは、声帯に無駄な力が入っていると出すことができない声だからです。
エッジボイスを出していて喉が痛くなってしまう場合は、無意識のうちに力が入っていることが考えられます。深呼吸をして肩の力を抜きましょう。
声帯閉鎖の練習になる
発声の基礎となる“声帯閉鎖”の練習の一つに、エッジボイスがあります。
声帯閉鎖とは、その名の通り声帯が閉じている状態のことを指します。声帯の閉じ具合を開き具合をうまく調整して、喉を痛めることなく声を出せるようになるのが声帯閉鎖のトレーニングです。
エッジボイスを出すことにより、声帯閉鎖に必要な“閉鎖筋”という筋肉を鍛えることができます。
声帯閉鎖について、詳しくは以下の記事にも目を通してみてくださいね。
>>声帯閉鎖のトレーニング方法|仕組みやメリット、ポイントなど
声帯からの息漏れが改善される
前述しましたが、エッジボイスは声帯を閉じたまま発声する方法です。
声帯をうまく閉じることができず息が多い歌い方になってしまう人の場合は、声帯が閉じる感覚を掴むことができるので、息漏れが改善されていくでしょう。
息漏れが改善されると、クリアでまっすぐなハリのある声になります。
高音域が出しやすくなる
声帯閉鎖の見出しでも説明しましたが、エッジボイスを出している間は“閉鎖筋”という筋肉を使います。
高音を出すときに無駄な力が入ると苦しそうな声になってしまいますが、閉鎖筋が鍛えられると、無駄な力が入らなくなり、伸びのある高音が出しやすくなります。
また、喉に負担がかかりにくくもなります。
ミックスボイスの練習になる
習得が難しいと言われるミックスボイスの練習にも、エッジボイスが欠かせません。
低音でも高音でも、声帯を適度にかつ一定に閉めながら発声する必要があるため、エッジボイスによって声帯が閉じている感覚を掴むことが必要になってくるのです。
地声と裏声をつなげる練習をエッジボイスでやってみると、ミックスボイスを発声するイメージがしやすくなりますよ。
ミックスボイスについて、詳しくは以下の記事も参考にしてみてくださいね。
>>声優志望者必見!ミックスボイスを習得するメリットと出し方の解説
歌の表現力が広がる
エッジボイスは、効果的に使うことで歌の表現力が格段にアップします。
バラードでは切なく、ロックではクールに、R&Bではセクシーに、さまざまな歌の表現に使えるので試してみてくださいね。
歌の全てに使うとくどい印象になるので、フレーズの頭だけなど部分的に使うようにしましょう。
エッジボイスの出し方
エッジボイスがどんなものかが分かったところで、実際にエッジボイスを出してみましょう。
エッジボイスの出し方には2パターンあります。どちらも試してみて、自分が出しやすいと思ったやり方で練習してみてくださいね。
パターン① 息を止めてから出すやり方
- ① 喉の力を抜いてリラックスする
- ② 喉だけを閉じて息を止める
- ③ 最小限の息で声を出す
いつも声を出すときと比べて少ない息の量を意識するのがポイントです。
パターン②一番低い声から出すやり方
- ① リラックスしながら「あー」と声を出す
- ② どんどん音程を低くしていき、自分が出せる最低音まで持っていく
- ③ ガラガラした声に変わればOK
- ④ 息が切れるまでムラなく一定に声を出し続ける
慣れてきたら、音程を上げたり下げたりしてみましょう。
エッジボイスを練習するときのコツ
最後に、エッジボイスの練習に役立つコツを2つ紹介します。うまくいかないときには、このコツを少しだけ意識してみてくださいね。
イメージは映画「呪怨」のあの声
エッジボイスのイメージがなかなか掴めないという方は、記事の冒頭でも言いましたが、映画「呪怨」の声を思い浮かべてみましょう。
正解をイメージしながら、それを目指して練習することで習得の近道になります。
慣れないうちは小さな声でOK
初めのうちは、自分にしか聞こえないくらいの小さい声で十分です。息の量を調整するのに慣れてきたら、いつも喋るくらいのボリュームに近づけていくといいですよ。
まとめ
以上、エッジボイスについてでした。
- エッジボイスは声帯を閉じて出す声
- 歌の表現テクニックとして宇多田ヒカルや平井堅など、さまざまなアーティストが活用している
- ミックスボイスや声帯閉鎖の練習にもなる
- 声帯のリラックスやウォーミングアップにも最適
などといった内容が分かりましたね。
ボイストレーニングの中でも比較的難易度も低く、試しやすいのではないでしょうか。大きな声も出さないので、自宅でのボイストレーニングにも適しています。
歌が上手くなりたい人、歌手や声優を目指している人は、ぜひこの記事を参考にエッジボイスの習得を目指してみてくださいね。
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エッジボイスなどの歌唱テクニックは、自分で練習するのとプロからしっかり指導を受けるのとでは成長度合いが大きく変わります。
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