巻き舌はボイストレーニングのひとつで、「タングトリル」といわれます。
声優が習得しておきたいスキルですが、「巻き舌ができない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
声優を目指したい方なら巻き舌を習得することで滑舌がよくなり、お仕事量アップにもつながりますよ。
今回は巻き舌を練習することのメリットや、やり方を紹介しているので参考にしてください。
巻き舌とは?
巻き舌とは、舌を使った子音の調音方法の一種です。
日本人は巻き舌を使う習慣があまりなく、最初は難しく感じるかもしれません。
巻き舌はイタリア語やフランス語などで多く使われるのに対し、日本語は巻き舌を使う場面がほとんどありません。
巻き舌の仕組みを知ることで、できなかった巻き舌が習得しやすくなるでしょう。
巻き舌の仕組み
巻き舌といっても舌を巻いて発音するわけではありません。
巻き舌は、吐く息によって舌が外に流され、舌の筋力によって元に戻ることによって起こります。
例えば「ラ行」を発音する際、舌を口の上側につけてから弾いて音を出しているのがわかります。
この位置に舌をつけて発声することで空気が外に流れ、舌が振動するのです。
舌が顎に叩きつけられることで、自然にふるえて巻き舌になります。
具体的な舌の位置は、タ行・ダ行を発音するときの舌の位置よりも少し後ろになります。
巻き舌ができない方は、舌の位置を意識することで習得しやすくなるでしょう。
巻き舌を練習する5つのメリット
「巻き舌は練習する必要があるの?」「できなくても大丈夫じゃない?」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが巻き舌ができることでたくさんのメリットがあります。
ここでは巻き舌を習得することで得られるメリットを見ていきましょう。
メリット①滑舌がよくなる
巻き舌は舌を鍛えるトレーニングでもあるので、舌に筋肉がつき、滑舌がよくなります。
滑舌が悪い人は舌の筋肉が硬くなっている場合がありますが、巻き舌を習得していると、舌の筋肉をリラックスさせながら舌の位置をコントロールでき、自然と滑舌がよくなります。
滑舌のよさは声優にとって非常に重要なポイントなので、巻き舌を習得しましょう。
メリット②表現力が上がる
表現力とは「自分の感情や思考などを相手に分かりやすく伝える力」です。
前述した「滑舌がよくなる」ことで、人にいろいろな表現を伝えられます。
さらに巻き舌を習得すれば、セリフの言い回しやテンポよく話せるようになり、表現力が上がるのです。
それによって声の幅も広がり、得意なキャラクターを演じるだけではなく、これまでやったことのないキャラクターにも挑戦してみたくなるでしょう。
メリット③リラックスした状態になる
歌を歌う際、舌が過剰に力んでしまうことがあります。
巻き舌は舌をリラックスさせる効果もあるため、習得することで無駄な力が抜けるはずです。
舌に力が入る原因として、
- 舌が後ろに引っ込んでいる
- 緊張している
- 舌の真ん中が窪んでUの字になっている
があります。
巻き舌を行うことで、舌や口元の余計な力が抜けるでしょう。
メリット④ミックスボイスが発声しやすくなる
ミックスボイスとは「地声と裏声の中間で発声した声」で、ミドルボイスとも呼ばれています。
巻き舌を練習することで、地声と裏声の行き来がスムーズになり、音域が広がります。
声優や歌手にとって広い音域が出せると仕事にもつながり、自分自身を売り込む際の強みにもなりますよ。
こちらの記事もおすすめ:ミックスボイスの出し方のコツとは?感覚がつかめる練習方法
メリット⑤歌う前のウォーミングアップになる
巻き舌はタングトリルとして、ボイストレーニングする前の基礎練習に含まれています。
巻き舌を行うことで舌をリラックスさせることができ、歌う前のウォーミングアップに役立つでしょう。
巻き舌はオーディションや仕事前など、簡単にできるウォーミングアップですよ。
巻き舌のやり方|5つの練習方法
「巻き舌がどうしてもできない」「コツがわからない」
という方のために、以下のような巻き舌のやり方を解説します。
- 舌を振動させる
- ラ行を繰り返す
- 巻き舌で歌を歌う
- 4つの単語を繰り返す
- 「ラ タ トゥラ発声法」を行う
ここではこれらの練習方法を詳しく紹介しているので参考にしてください。
やり方①舌を振動させる
巻き舌の基本的なやり方です。
舌を振動させるときは、口元に力を入れずにリラックスさせましょう。
舌を振動させるやり方は以下の通りです。
- 口を少し開く
- 舌先を上の歯の根元に軽く触れて上顎の位置に舌を置く
- 舌先を歯から離さずに息を吐いて舌を振動させる
舌が振動しているのを感じたら、10秒以上続けて音程をつけましょう。
やり方②ラ行を繰り返す
ラ行を繰り返すことで、舌を上手くふるえさせることができるようになります。
ラ行を繰り返すやり方は以下の通りです。
- ラ行の「らりるれろ」を歯の上に舌を当てながら発声する
- 「トゥラ・トゥリ・トゥル・トゥレ・トゥロ」と「ラ行」の前に「トゥ」をつけて息を吐きながら発声する
ラ行を続けることで巻き舌になります。
こちらも口元をリラックスさせて行いましょう。
やり方③4つの単語を繰り返す
4つの単語を発声して巻き舌の感覚を覚えるやり方です。
前述の「ラ行を繰り返すやり方」の応用編です。
- 「プル・プラ・プル・プラ」を発声する
- 「トゥル・トゥラ・トゥル・トゥラ」を発声する
- 「アラ・アロ・アラ・アロ」を発声する
- 「アララララ」を発声する
これらを繰り返すことで巻き舌の発声ができるようになります。
4つ目の「アララララ」は難しく感じますが、素早く発音することで巻き舌の感覚がつかめるようになるでしょう。
やり方④「ラ タ トゥラ発声法」を行う
「ラ」と「タ」、そして「トゥラ」を発声する方法です。
それぞれ順番ずつ練習していきます。
- 「ラ」を連続して発声して徐々にスピードアップさせる
- 「タ」を連続して発声して徐々にスピードアップさせる
- 「トゥラ」を繰り返し発声して限界までスピードアップさせる
最初はゆっくり発声していき、徐々にスピードアップさせていくのがポイントです。
慣れてきたら限界までスピードを早めていきましょう。
やり方⑤巻き舌で歌を歌う
巻き舌に慣れてきたら応用編として、巻き舌を使って歌を歌ってみましょう。
歌詞の中に出てくるラ行の発音を巻き舌にして歌うことで、いい練習になります。
さらに陽気な曲や元気な曲の間奏などのときに、巻き舌を使って音程を取る練習もおすすめです。
巻き舌が上手い歌手、椎名林檎の「本能」という歌で練習すると、やりやすいですよ。
練習しても巻き舌ができない4つの原因と対処法
いくら練習しても巻き舌ができないこともあるかもしれません。
そんなときは以下の項目をチェックしてみてください。
- 舌の筋肉が衰えている
- 力みすぎている
- 正しい呼吸法ができていない
- 舌の位置や形を間違えている
ここでは対処法も解説しているので、早速見ていきましょう。
原因①舌の筋肉が衰えている
舌の筋肉が弱いと舌をふるえさせるのが難しく、巻き舌は上手くできません。
巻き舌は舌を使う発声テクニックなので、舌の筋肉を鍛えることで上手くできる場合があります。
対処法①舌の筋肉を鍛える
舌の筋肉を鍛える方法を紹介します。
- 舌を左奥歯の前あたりに置く
- 舌先を右奥歯へとスライドさせる
- 上顎も同じように繰り返す
下顎と上顎に置いた舌を左右にスライドさせることで、舌の筋肉を鍛えられます。
舌の根元が疲れてきてピリピリした痛みが出てきたら、筋肉が正しく鍛えられている証拠です。
それぞれ3往復ずつゆっくり行って、効いているかを確認しましょう。
原因②力みすぎている
口元や舌に力が入ってしまうと、巻き舌が上手くいきません。
巻き舌の仕組みでも紹介したように、巻き舌は息を吐いて舌を振動させて発声します。
ある程度舌をリラックスさせなければ、いくら練習しても上手くならないでしょう。
対処法②表情筋を柔らかくする
舌をリラックスさせるためには、表情筋を柔らかくする練習をしましょう。
- 口を軽く開き唇を歯にぴったりくっつける
- そのまま口角を上げて10〜20秒キープする
表情筋をリラックスさせることで舌の緊張が解けて、上手く巻き舌ができるようになります。
また、口元あたりを優しくマッサージするのも効果的です。
原因③正しい呼吸法ができていない
正しい呼吸法ができていないと、お腹に力が入らず巻き舌の発音がしにくくなります。
巻き舌を成功させるには、腹式呼吸を上手くできるようにしなくてはなりません。
対処法③腹式呼吸を練習する
腹式呼吸の練習方法は以下の通りです。
- 姿勢を正して肩をリラックスさせる
- ゆっくり息を吸ってお腹の下あたりを膨らませる
- 息を吐きながらお腹の下を凹ませる
おへその下にある「丹田」を意識しながら腹式呼吸を繰り返してください。
声優としても正しい呼吸法は重要になるので、習得しておきましょう。
こちらの記事もおすすめ:腹式呼吸で発声をするには?メリットや練習方法まとめ
原因④舌の位置や形を間違えている
巻き舌を練習する際に舌の位置や形を間違えていると、発音するのが難しくなります。
- 口を閉じている
- 口を大きく開けすぎている
- 舌全体が前歯につきすぎている
上記が当てはまっている場合、巻き舌を練習しても上手くいかないことが多いでしょう。
対処法④位置を確認して調整する
「口が少し開いているか」「舌先が前歯の根元あたりについているか」をチェックして、正しい舌の位置に調整しましょう。
正しい位置を把握するために、鏡を見ながら行ってください。
巻き舌を練習するときの注意点
巻き舌を練習するときの注意点として以下のものがあります。
- 短期では習得が難しい
- 正しい方法で練習しないと変なクセがついてしまう
間違えた方法で覚えてしまわないように注意しなくてはなりません。
短期では習得が難しい
巻き舌ができない方が練習して習得できるようになるまでは、数ヶ月かかるといわれています。
早い方なら1か月練習すれば習得できますが、コツを上手くつかめないと4〜6か月かかることも。
そのため、短期で習得するというよりも、長い目で見て練習する心づもりでいましょう。
正しい方法で練習しないと変なクセがついてしまう
これまで巻き舌のやり方を紹介しましたが、間違えた方法で行うと変なクセがついてしまうこともあります。
ボイストレーニングする際に、悪い影響を与えてしまうかもしれません。
やはり独学では限界があるので、思い切ってスクールに通うのもおすすめ。
スクールなら巻き舌以外のカリキュラムもあり、声優を目指す方にとって技術や知識などを身につけられるというメリットがたくさんあります。
一度巻き舌を習得すれば空いた時間にでき、いつでもボイストレーニングができるようになるでしょう。
まとめ
巻き舌のやり方を覚えると、歌う前のウォーミングアップに使える、表現力がアップする、滑舌がよくなるなど、たくさんのメリットがあります。
しかし、メリットを得るためには正しいやり方を身につけなくてはなりません。
巻き舌を正しく習得するために、スクールに通って、しっかり基礎から学んでみてはいかがでしょうか?
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