気持ちよく歌っているのに、高音パートに差しかかったときに声が裏返ってしまうという悩みを持っている人は少なくないのではないでしょうか?
今回は、高音が裏返る原因と、高音をきれいに出すためのポイントとその練習方法について解説します。高音だけでなく、歌全体のスキルアップにつながる練習方法なので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
高音が裏返る原因とは
歌の途中、高音で声が裏返る原因は地声と裏声をうまく切り替えられていないから。
そして、地声と裏声の切り替えができないのは以下のような理由が考えられます。
- 声帯の閉鎖が弱い、または強い
- 息の量を調整しきれていない
- 体がうまく使えていない
- 声帯に疲労が溜まっている
- 変声期や喉の異変
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
声帯の閉鎖が弱い
声を出すときのメカニズムである“声帯の閉鎖”がうまく行われず、閉鎖が弱すぎると高音が裏返る原因になってしまいます。
人は声を出すとき、声帯と呼ばれる2枚のひだを伸縮させ、その間から空気(息)を外に出しています。ピッタリとひだがくっつき、空気でひだが振動することで声となって音が出ているのです。
声帯まわりの筋肉が鍛えられていないと、このひだを閉じる力が足りずに隙間が空き、空気が漏れてしまうことによって、高音の裏返りが起こってしまいます。
息の量を調整しきれていない
高音をきれいに出すには、声帯を振動させるための息の量が適切でなければなりません。しかし、「高音を出そう」という意識から息を多く吐きすぎてしまうと、高音が裏返ってしまうのです。
これは、いつもより興奮している状態や、反対に緊張している状態で起こりやすくなります。
体がうまく使えていない
正しい発声を行うには、お腹・肩・胸・アゴをうまく使う必要があります。
- お腹を使って呼吸できていない(腹式呼吸ができていない)
- 肩が上がっている、力が入っている
- 胸を張りすぎている、息を吸うときに胸が上がる
- アゴが上がりすぎている、下がりすぎている
発声時の体の使い方にこれらに当てはまる場合は、声が裏返る原因となっている可能性が高いでしょう。
また、背筋が伸びていなかったり、座ったままの姿勢であったりすることも、体がうまく使えないことに繋がります。
声帯に疲労が溜まっている
声帯には痛覚がなく、疲労が溜まっていたり炎症を起こしていたりしても痛みを感じません。
声を使い過ぎたことによって声帯の粘膜が傷ついていたり、声帯の筋肉が疲労していたりすると高音の裏返りに繋がることがあります。
変声期や喉の異変
変声期(声変わり)では、声帯そのものに変化が現れるため、これまでと同じ感覚で声を出すことが難しくなります。また、声帯に結節やポリープなどができている場合も、声が出しづらくなります。
これらは医学的な原因であるため、異変を感じた場合は病院を受診し、医師の判断に従いましょう。
高音の裏返りをなくすポイントは“換声点”
高音で声が裏返るのをなくすためには、“換声点”について理解しておく必要があります。
換声点とは、出す声が地声から裏声に裏返る音のポイントのこと。人によって出る声の高さは異なるので、それに伴って換声点も人それぞれ異なります。
地声、裏声などの声の種類が“声区”という言い方で区切られる場合もあります。
声区は
- 胸声(チェストボイス)
- 中声(ミドルボイス)
- 頭声(ヘッドボイス)
- 裏声(ファルセット)
といったように分けられるのが一般的。
声区と声区をまたぐポイントを換声点と呼ぶこともあるので、覚えておくといいでしょう。
高音の裏返りを防ぐための練習方法
ここからは、すぐに実践できるボイストレーニングの方法について説明していきます。
高音が裏返るのを防ぐのはもちろん、歌の上達のためには、日々の練習が大切。思ったような歌い方をするためには、感覚を体に染み込ませるのが一番の近道になります。
以下で紹介する練習方法はできるだけ毎日、少しの時間でも取り入れるのがおすすめです。
まずは地声と裏声の分かれ目をチェック
高音の裏返りを改善するためには、まず自分にとってどこからが高音なのか、前述した“換声点“がどこなのかを知っておく必要があります。
換声点をチェックする方法はとても簡単です。以下の手順で行ってみましょう。
- 地声で「アー」と声を出す
- ピアノなどの楽器の音に合わせて徐々に音を上げていく
- 地声では出し切れず裏声に切り替わるポイントまで続ける
音を出すための楽器が身近にない場合は、YouTubeなどの動画サイトで「ピアノ スケール」などと検索すると良いですよ。
ミックスボイスを習得
ミックスボイスとは、地声と裏声の中間で、地声のような力強さがありながらも裏声のような美しい響きを保てる発声方法。プロのアーティストのほとんどが習得している発声方法でもあり、高音を裏返らずに出すには不可欠なテクニックです。
ミックスボイスは、声が鼻の奥あたりで響くのが特徴。これを “鼻腔共鳴”と呼びます。
実際の練習方法は以下の通りです。
- 鼻の奥あたりで声が響くように、口を閉じたままハミング(鼻歌)する
- 響きを保ったまま口を開く
このとき、地声で出る高さの音で練習してもミックスボイスの習得に効果的ではないため、換声点より高い音で練習することが重要です。
鼻腔共鳴に慣れてきたら、実際に歌にミックスボイスを取り入れましょう。発声する母音の変化や前後の音程によってミックスボイスが出しづらいこともあるため、繰り返し練習し、根気よく習得を目指していく必要があります。
ミックスボイスについては以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ目を通してみてくださいね。
>>声優志望者必見!ミックスボイスを習得するメリットと出し方の解説
姿勢を正して歌う意識をする
姿勢を正して歌うことは、発声の基本です。
- 軽くストレッチなどをし、体を柔らかくしておく
- 肩周りの力を抜く
- 肩幅程度に足を開いて立つ
- 背筋を伸ばす
- 顎を引いて真っ直ぐ正面を見る
これらのポイントを押さえて正しい姿勢を意識しましょう。
特に、肩周りの力を抜くことと顎を引くことは、高音をきれいに出す上で大切なポイント。肩周りに力が入っていると必要以上の力が入って声帯や息のコントロールがしづらくなります。また、顎が上がっていると声帯が伸びきってしまい、声を出したときに声帯を傷めてしまいます。
正しい呼吸法を覚えることも重要
姿勢を正すことと同様に、正しい呼吸法を覚えることも発声の基本です。
もっとも知られている呼吸法として“腹式呼吸”があり、これは比較的習得までの難易度が低いので、日頃の練習に取り入れてみましょう。
方法は簡単で、息を吸ったときに胸ではなくお腹を膨らまし、徐々に息を吐きながら凹ませていくだけ。感覚が掴めない人は、仰向けに寝転んで呼吸をしてみましょう。仰向けに寝ているときは必ず腹式呼吸になっているので、この呼吸を立ったまま再現できるように練習するといいでしょう。
腹式呼吸については以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ目を通してみてくださいね。
>>【簡単】腹式呼吸のやり方を解説|声優が身につけるメリットは?
まとめ
高音が裏返るという悩みがある人は、自分の換声点を知り、ミックスボイスを習得することがポイントとなります。
表現の幅が広がることで歌唱力がワンランクアップするので、歌が上手くなりたい人、歌手や声優を目指している人はこの記事を参考に習得を目指してみてくださいね。
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