歌唱テクニックの一つである“こぶし”。演歌のイメージを持たれがちですが、ポップスや R&Bなど、広いジャンルで使われます。
この記事では、こぶしがどんなテクニックなのかについてまとめました。また、こぶしの出し方とコツを初心者編と本格編に分けて徹底解説します。ビブラートとの違いや、基本の発声練習などについてもまとめたので、歌が上手くなりたい人や、歌手、声優を目指している方はぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
こぶしとはどんなテクニック?
こぶしとは、歌の中で音を一瞬だけ上下させるテクニックのこと。演歌で使われるテクニックだというイメージが強いですが、ポップスやR&B、ロックなど、ジャンルを問わず使われます。
こぶしを漢字で表すと、「拳」だと思っている人が多いかもしれませんが、正しくは「小節」。楽譜や音符でも表せられないほど小さい節の動きであることから由来しているといわれています。
以下では、文字だけでこぶしをイメージしづらい方のために、実際にこぶしを取り入れた曲を女性アーティストと男性アーティストに分けて紹介していきます。
こぶしを取り入れた曲の例:女性アーティスト
・あいみょん / ハート
心を奪えたら → たら
<サビ>
恋の始まり → はじまり
・Superfly / 愛を込めて花束を
おどけてみせて欲しい → みせてほしい
あるからキレイなの → キレイなの
・Aimer / 残響散歌
誰が袖に咲く幻花 → そでに
ただそこに藍を落とした → そこに
こぶしを取り入れた曲の例:男性アーティスト
<Aメロ>
Baby Tell me どうしたの? → どうしたの
<サビ>
今、誓うよ君を守ってゆく → 守ってゆく
・優里 / ドライフラワー
今日の事を笑ってくれるかな → くれるかな
<サビ>
ドライフラワーみたい → ドライフラワー
<Aメロ>
この世に一つしかない → しかない
また起き上がれるように → ように
こぶしとビブラートの違い
歌のテクニックとして、こぶしと共に代表的な「ビブラート」との違いはどういったポイントなのでしょうか。
こぶしが一瞬の音の上下で、フレーズのどの部分にも使われることが多いのに対して、ビブラートはロングトーンを震わせて波のように小刻みに音を揺らすテクニックで、主にフレーズの最後に使われるという違いがあります。
どちらのテクニックも習得できれば、こぶしとビブラートを組み合わせて使うこともできます。上記で例に挙げた清水翔太さんの『君が好き』では、「君を守ってゆく」の最後にこぶしを使ったあとビブラートで余韻を残していますね。
こぶしもビブラートも歌に取り入れれば個性を出すことができるテクニックですが、前述したような違いがあるということを知っておきましょう。
【初心者編】こぶしの出し方とコツ
ここからは実際にこぶしの出し方について解説していきます。
初心者でも簡単にできるこぶしの出し方でおすすめなのが、“母音を2回発音する”という方法です。
「守ってゆく」というフレーズで「く」にこぶしを効かせたい場合、「くぅぅ」のように、「う」を2回発音する意識で歌うだけ。これによって伸ばす音に少しの変化が出て、こぶしのような音の響きになります。
ただしこの方法は、厳密にいうと、カラオケの採点機能で「こぶしと判定されやすい」歌い方。こぶしを習得するのは簡単ではないため、簡単にカラオケで高得点を目指したいときにおすすめの方法です。
【本格編】こぶしの出し方とコツ
カラオケの採点用テクニックではなく、本格的なこぶしの出し方も解説していきます。
初心者編で解説した、母音を2回発音するという意識は同じなのですが、本格編ではさらに音程を上下させる意識をしましょう。「守ってゆく」の「くぅぅ」を例に挙げて文字に表すと、「く ぅ↑ぅ↓」という表現になります。
感覚を掴みづらい場合は、音を上下させるときに頭も一緒に動かしてみるとイメージしやすくなります。
また、発声するときは口を動かして音程を変えるのではなく、喉仏のあたりを動かすことで、音程の変化がはっきりと聞こえやすくなりますよ。
こぶしの習得には発声の基本も大切
初心者編と本格編、2つのこぶしの出し方を解説しましたが、上級テクニックを習得するには発生の基本ができていることが大前提です。
発声の基本である、
・腹式呼吸トレーニング
・エッジボイストレーニング
・声帯閉鎖トレーニング
のやり方を紹介するので、こぶしの出し方を練習する際に併せて行ってみましょう。
腹式呼吸トレーニング
歌うときの正しい呼吸法として多くの人に知られているのが“腹式呼吸”。比較的習得しやすい発声の基礎テクニックです。
やり方は簡単で、鼻から息を吸うときに下腹部を膨らまし、口から吐くときにゆっくりと凹ませていくだけ。
仰向けで寝ているとき、人は必ず腹式呼吸で息をしています。まずは仰向けで寝ころ日、このときの呼吸の感覚で腹式呼吸の感覚を覚えてみるといいでしょう。
歌うときに腹式呼吸がいい理由は、息を効率的に使うことができるから。普段のように胸の筋肉を使って呼吸するより、腹式呼吸によって横隔膜を動かして呼吸する方が肺が大きく広がり、息をたくさん吸えるのです。
自然に歌の中に取り入れられるように、気がついたタイミングで腹式呼吸を意識してみましょう。
腹式呼吸のやり方について詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
>>【簡単】腹式呼吸のやり方を解説|声優が身につけるメリットは?
声帯閉鎖トレーニング
声帯を正しく動かし、できるだけ負荷をかけずにキレイな発声をするためのトレーニングが、“声帯閉鎖トレーニング”です。声帯は、閉じすぎていると全く声が出ず、開きすぎていても息だけしか出ないため、適切な開き具合で声を出す必要があるのです。
まずは、声帯が閉じる感覚を掴むトレーニングからはじめてみましょう。
やり方は簡単で、「アー」と声を出しているところから、喉だけを閉じるイメージで息を止めます。これを何度も繰り返し、感覚を掴んでいきましょう。
声帯閉鎖のやり方について詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
>>声帯閉鎖のトレーニング方法|仕組みやメリット、ポイントなど
エッジボイストレーニング
このトレーニングは、前述した声帯閉鎖のトレーニングにもなるおすすめの発声練習です。
エッジボイスは声帯を閉じながら発声することで出る声で、映画「呪怨」で使われている声を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。
声帯をリラックスさせることができる、声帯からの息漏れを改善できる、高音域が出しやすくなるなどさまざまなメリットがあります。
エッジボイスを出す方法は以下の通りです。
- ① リラックスしながら「あー」と声を出す
- ② どんどん音程を低くしていき、自分が出せる最低音まで持っていく
- ③ ガラガラした声に変わればOK
- ③ 息が切れるまでムラなく一定に声を出し続ける
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
>>エッジボイスとは?出し方や練習のコツ、6つのメリットについて解説
こぶしを習得して歌唱力をワンランクアップしよう
こぶしを習得すれば、いつもの歌にもアクセントがつき、表情を持たせることができます。
ただし、こぶしは歌の中に適度に入れるのがポイント。あまり入れ過ぎると印象が強くなりすぎてしまい、聞き心地の悪い歌い方になってしまいます。あくまでもアクセントとして、適度に使うことを意識しましょう。
表現の幅が広がることで歌唱力がワンランクアップするので、歌が上手くなりたい人、歌手や声優を目指している人はこの記事を参考に習得を目指してみてくださいね。
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