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富士見書房・文芸グループ長の工藤大丈氏が来校しました!

7月3日(土)、「富士見ファンタジア文庫」でお馴染みの富士見書房・文芸グループ長の工藤大丈氏をお招きし、特別講義を開催しました。 富士見書房内で小説に関わる編集部は主にこの「文芸グループ」に所属しており、この日来校された工藤氏はその文芸グループの取りまとめ役をやっていらっしゃいます。

工藤氏特別講義

工藤氏は編集者としての経験も豊富で、編集者時代は「ROOM No.1301」(新井輝先生:ノベルス学科特別講師)、「スプライトシュピーゲル」(冲方丁先生)、「EME」(瀧川武司先生)などの作品を担当してきました。

レーベルの紹介や富士見ファンタジア大賞の説明はもちろんのこと、ライトノベルの市場状況についてもお話しいただきました。

■富士見ファンタジア文庫が求める作品は?

これは富士見ファンタジア文庫ができた時から言われていることですが、「14歳から17歳におもしろいと言ってもらえる作品」を求めています。 一般的に、女性の方が小説に目覚めるのが早いと言われていて、だいたい14歳から15歳くらい。男性の場合は中学校卒業から高校生くらいの時期にライトノベルを読む人が多いので、もう少し上をターゲットにしています。 応募されて来る方はターゲット読者と同じ10代の方もいらっしゃいますが、多くは20代です。作品を書く時は10代の「今が旬の感性」に訴えかける作品づくりを意識してみてください。

■賞に応募するときに注意して欲しいこと

編集部批評会の様子

とても基本的なことですが、応募要項を熟読してください。作品を1つ完成させるのにはとても時間もかかりますし労力も使いますよね。せっかく頑張って書いた作品も、応募要項に違反していたらその努力も水の泡になってしまいますから、気をつけてください。 また、誤字脱字があると作品のレベルを下げてしまいます。特にワープロの場合は変換ミスが起きやすく、加筆を繰り返していると日本語として意味の通らない文章になることもあるので、友達に読んでもらうなどして最終確認をすることも重要です。

あとは、計画を立てて毎日コツコツと執筆することも大切です。夏休みの宿題のように、締め切り間際に急いで書いてしまうと作品のクオリティも下がってしまいがちですし、もしそれでデビューできたとしても、デビュー後も常に締め切りに追われることとなり大変な思いをすることになるでしょう。 個人によってやり方はいろいろですが、すべてを順番どおりに書かなくてもかまいません。好きなところから最初に書いて、あとはその部分を核に肉付けしていくやり方でもかまわないと思います。1日に書く分量だけは守りながらコツコツと書いていけば、クオリティの向上にも繋がると思います。

■作品を執筆するとき、どんなことに注意すればいいか

―何か1つ、軸となるアイデアを加えよう

作品を書く際にはもちろん最初にプロットを立てるわけですが、その時にぜひ「これは自分だけの固有のアイデアだ」と言える部分を1つ加えてください。また、あれもこれもとアイデアを入れすぎると焦点がぼけてしまいますので、1つに焦点を絞る――ということも心がけてみてください。

―キャラクター設定の時は「大きい視点」と「小さい視点」に気をつけよう

話の展開の中で、例えば何かを克服しなければならなかったり、好きな人と仲良くならなくてはいけなかったりと、「大きい視点」から物語の大まかな枠組みを作った上で、その中に主人公を投入するやり方はもちろん大切です。しかし同時に大切なのは、「小さい視点」です。「小さい視点」とは、クライマックスではない日常的な場面でその主人公はどんな人かという視点です。口癖は何か、好きな食べ物は何か、利き腕はどちらかなど…、クライマックスだけが小説ではありません。物語とは、日常の小さな出来事が積み重なってできるものなので、こうした「小さい視点」をしっかり書くことで作品にリアリティが出て、共感を呼びやすくなります。

―物語を読んでなぜ人はおもしろいと感じるのかを考えよう

人がおもしろいと感じる代表的な要素の1つとして、「ギャップ」があります。小説で言えば起承転結の「転」の部分に当たると思いますが、読者は潜在的に、作品に「驚き」を求めている傾向があります。例えばファンタジー物の作品で、「レベルアップしながら順当に敵を次々に倒して行きました」という作品も投稿されてくることがありますが、それはゲームのシナリオとしては良いシナリオなのかもしれませんが、「転」の部分が抜けてしまっているので、小説としては物足りなさを感じてしまうんですね。作品を書く際はその点を留意してみてください。

―理想系は「焼き鳥のつくね」!?

作品の全体を通して、書きたいテーマを1つ明確にしてください。 例えば、「科学の暴走」という1つのテーマを先に決めたとします。それだけで、主人公は高校に入学して科学部に入部、そこにはいろんな個性を持った人がいて、ある大変な兵器を作ってしまって……と言った感じに、1つ一貫したテーマを設定することで物語の骨格は作られていきます。物語の箇所によって強調するボリュームの差はあっても、常に一貫したラインの上で物語が展開している。それはまるで1本の串に刺さったつくねのようなイメージですね。

■おもしろい作品を書くには

物語は、みなさんが体験してきたことや見てきたもの、得てきた知識などに裏打ちされて作られるものだと思います。街で人間観察をしたとき、新聞や本を読んだとき、映画やアニメを見たときなど、ここがおもしろいなと思った部分についてメモを取る癖をつけてください。 そして、いろいろな作品を見てください。作品とは小説のことだけでなく、舞台やコンサートなどでもいいでしょう。プロとしてデビューをすると、忙しくてなかなか時間が持てません。今のうちに1つでも多くの引き出しを見つけるようにしていきましょう。

■ライトノベルの市場状況

今、ライトノベルは飛躍的な成長と発展を遂げている最中にあります。2002年のライトノベルの市場が100%だったとすると、2010年のライトノベルの市場はだいたい170%くらいにもなると言われています。一方、文庫本全ての市場規模は、2002年が100%だったとすると、2010年もだいたい100%くらい。ほとんど変化していないんですね。日本経済は低成長の時代で、本の売り上げ高も昔に比べて低迷している時代背景を考えると、この成長率は驚異的です。 他にも、私たち富士見書房の所属する角川グループでは、電子配信事業を始めたり、海外での翻訳出版もしています。特に中国での参入に本格的に力を入れ始めており、中国には対象読者と想定される市場に約1億人もの人がいます。他にもアジアでは台湾や韓国でもライトノベルは非常に人気のあるジャンルとして成長しています。

ライトノベル作家として将来に不安がある方がもしいらっしゃったら、安心してもらってかまいません。ライトノベルの市場はこれだけの成長市場ですから、安心して作品を書いてください。

小説は、最も人に近しい所で感動を与えられるものだと思います。 一時期は「若者の活字離れ」などと言われた時期もありましたが、ライトノベルの市場が急激に伸びていることや、ケータイ小説の流行、メールを日常的に使うことなどを考えると、最近になってまた若い方々が活字に慣れ親しんでいることがうかがえます。 ライトノベルは、これからもますます伸びていくジャンルだと確信しています。 みなさんにはぜひ才能を発揮していただいて、ファンタジア大賞にご応募いただければと思います。

編集者、編集長、文芸グループ長を歴任されてきた工藤氏。作品執筆の際のアドバイスはもちろんのこと、ライトノベルの市場が拡大しているというお話もお聞きでき、学生たちにとって大変貴重な1日となりました。

お忙しい中お越しいただいた工藤氏には感謝するとともに、学生たちは今日いただいたアドバイスを胸に、より一層楽しい作品づくりに励んでいこうと決心した1日でした。

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