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株式会社セガ「戦場のヴァルキュリア」(PS3)メインスタッフによるゲームクリエイターカンファレンス開催!

【ゲスト】
株式会社セガ 「戦場のヴァルキュリア」(PS3)メインスタッフ
プロデューサー: 野中 竜太郎さん
チーフディレクター: 田中 俊太郎さん
キャラクターモデルリーダー: 飯田 牧子さん
プランナー: 吉田 雄高さん(9期卒業生)

8月3日(日)、株式会社セガ「戦場のヴァルキュリア」(PS3)メインスタッフをお招きして、ゲームクリエイターカンファレンスが行なわれました。
今回は、貴重な秘蔵データをお見せいただきながら、企画やデザインについて熱く語っていただきました。
全部を掲載する事は出来ませんが、重要な部分を抜粋してレポートします!

「戦場のヴァルキュリア」で描きたかったのは人間ドラマ

プロデューサー
野中竜太郎さん

野中 「戦場のヴァルキュリア」で、私たちが描きたかったのは、個人個人の戦場でのドラマなんです。このゲームを、アクション性が高いのでFPSだと思っていた方もいると思うんですが、このゲームはシミュレーションゲーム。個々のユニットを活かして戦場を戦い抜くゲームです。現在、コミック化したり、サブキャラクターだけのダウンロードステージを配信しているのも、このキャラクターの個性、それぞれのドラマを出していくためなんですね。FPSみたいに一人が活躍するゲームではないんです。

田中 このコンセプトは、最初の企画の頃から、変わっていません。PS3というハードが出る前、5年位前から温めていた企画です。個性を活かすシミュレーションと言う部分は、最初から最後まで、変わりませんでした。

野中 とは言え、我々がやりたいのは、リアルタッチの戦争ではなく、明確にストーリー性を持った戦争ドラマ。そのためには、架空の世界を創造して、ヴァルキュリアに象徴される強大な力などを盛り込んでいきました。そのために、声優も実力派の方を起用しましたし、音楽も重厚な戦場にふさわしい曲をお願いしました。

新戦闘システム“BLiTZ”誕生

チーフディレクター
田中俊太郎さん

田中 野中が世界やストーリーラインをドンドン固めていく中、ゲームとして遊べるようにするのが、チーフディレクターである自分の役目です。
キャラクター性を重要視して、戦っている感じも出したい。そして、動きそうも無いものを動かす感動も出したい。そういったニーズを全て組み込んだのが、指示を行うコマンドモードと、実際にコントローラで動かすアクションモードを両方備えた、戦闘システム“BLiTZ”(Battle of Live Tactical Zone systems:ブリッツ)です。
幸いにして、私たちには似たような“ARMS”というシステムを持っている「サクラ大戦」シリーズのノウハウがありましたので、それを発展させ、創っていこうという事になりました。ゲーム中に、地雷という要素があります。
見難いという意見もあるんですが、実際の地雷は見難いわけで、戦闘中に駆け抜ければ、当然、見落としやすい。そういう風に、戦闘を感覚で行なって欲しいと思いましたね。まあ、ゲーム中で「死んで覚えろ」という、やりこみ要素、繰り返し要素はセガのお家芸なんですが(笑)

野中 でも、一回、過ちに気づいて、「こう動かせば良いんだな」「こう戦えば良いんだな」と、プレイヤーが学んでいけば、ちゃんとクリアできる、ストーリーの進行に応じた難しさの設定になっています。ストーリーのクライマックスは、ちゃんと戦い方を理解していれば、クリアできるようになっています。無意味に厳しいわけではないんです。

田中 きちんと達成感を持てるように創りました。と、簡単にいいましたが、広大なマップや迎撃システム、ユニットの特性にまで踏み込んだ挙句、バグとの戦いの日々(笑) プログラマーには凄い負担をかけました。もちろん、プランナーにもデザイナーにも負担をかけましたね。最後の方は、本当に戦場にいるみたいでした。

飯田 デザイナーも、プログラマーの負担を減らそうと、とんでもないローポリゴン [1] の遠景モデルを作って、多数出せるように工夫したり、最後まで激闘でしたね。

独特のグラフィック描画システム“CANVAS”誕生秘話

キャラクターモデルリーダー
飯田牧子さん

(実際には、様々なデータを見せていただきながらの解説でした)
野中 企画が動き出して、PS3でやろうという事になって、どんな感じの画面にしよう?架空の世界にノスタルジックな雰囲気を出せないかな…と思い、飯田に色々試してもらったのが“CANVAS”(キャンバス)の始まりですね。

飯田 3Dのモデルで戦場を舞台にして、戦車に女の子が乗ってる。でも、あまり血なまぐさいのは苦手という人もいますので、優しいタッチで…。そんな無茶なリクエストにビックリしながら、要求された雰囲気を再現するために3Dツールのシェーダ [2] を駆使して試行錯誤してみたんです。リアルタッチなものや、アニメタッチのもの。試行錯誤の中、たどりついたのが水彩タッチでした。

野中 コレだ!って思いましたね!で、静止画だけでなく、そのタッチで3D映像を制作してもらいました。

田中 社長にプレゼンした際「実は動きます!」って映像を見せたら、大絶賛!こうして人間ドラマを描くというコンセプトを実現する、描画“CANVAS”とアクション要素のある戦闘システム“BLiTZ”の2つが始動したんです。

飯田 で、実は、そこからが大変で(笑)ヒロイン・アリシア誕生までも試行錯誤でした。


© SEGA 「戦場のヴァルキュリア」絶賛発売中!

2Dキャラクターイラストを3Dのゲームキャラに ヒロイン“アリシア”誕生秘話

様々なデータを使って、
開発の裏話や秘密などをお話しいただきました
(右:プランナー 吉田雄高さん)

飯田 水彩タッチのイラストを3Dで動かすキャラクターにする作業。まず、つまずいたのはキャラクターの等身です。イラストのままの等身で制作すると、足が長すぎて違和感がある感じになってしまい、モーション [3] デザイナーと、動きとイラストの双方がマッチするギリギリの等身を探す作業が発生しました。
体のバランスが決まると、今度はヒロイン・アリシアの髪型に問題発生(笑)最初、アリシアはポニーテールだったんですが、3Dにすると正面から見たらショートカットに見えちゃうんですね。どうしよう…

野中 ツインテールにしよう、でも、これだけじゃキャラクターとしての個性がないからスカーフをつけよう。

田中 それだと、メイドに見えないか?目が可愛すぎるんじゃないか?スカーフの形か?

飯田 山ほどパターンを作って、キャラクター原案の方とも話し合って、1枚のイラストがあがりました。それをモデリング [4] して、社内のサーバーにアップして、開発スタッフのみんなが見られるようにした時、思わず歓声を上げましたね。

田中 生みの苦しみでしたね。でも、でも開発という名の戦闘は激化する一方で…

吉田 別の作品の開発を終えた僕も、参戦する事になりました。

壮大なプロジェクト ゲームデザインで実際に起こった失敗

吉田さんは、
学院の9期卒業生!

(ここからは、PCのデータと開発環境のロムを使用しての説明が行われました)
吉田 僕の仕事は、バトルプランナー。広大なマップを考えたり、敵を配置するマッププランナーや、戦闘能力を考えるプランナーと連携して、戦闘時のカメラ位置や動きを考える仕事をしました。で、カメラの動きの設定を、プレイヤーが戦いやすいようにと考えて提出したんですが、実は、それは問題があるゲームデザインでした。
あるマップで、僕の考えたカメラワーク、戦い方をすると、データ容量の関係で作成していない部分、映画で言うセットの裏側が見えてしまう。これは実際には使えないわけで。そのマップの仕様を把握していなかった僕のミスで、その仕様書はゴミ箱行きです。(笑)

田中 吉田君だけじゃなくて、山ほど試行錯誤が発生しました。

吉田 だからこそ、武器で狙いやすいように、コントローラのLRボタンでターゲットを切り替えたり、アイテム使用時と武器使用時の切り替える対象に変化をつける仕様をプログラマーが実装してくれた時には、めちゃくちゃ嬉しかったです。若手の僕が、こんな大作に関われて本当に嬉しいです。

田中 いや、それは吉田君に、このプロジェクトに入る資質と能力があったからだよ。

なんと、デバッキングステーション(開発用機材)をお持ちいただき、その場でプレイしてくださいました。
まだ配信されていないダウンロードステージも、見せていただきました!(8/8に配信開始されました)

若きクリエイター志望者がやるべきこと

楽しそうに語ってくださる田中さん。
「クリエイティブのこやしになる事は、
どんどん時間を作ってやるべき」

田中 僕らの部署には6名のアミューズメントメディア総合学院の卒業生がいます。吉田君を含めた若手3人には「戦場のヴァルキュリア」に参加してもらい、ベテラン3人は、別々の作品でプロデューサーやディレクターとして活躍してくれています。セガの全部署で考えれば、山のように先輩たちが働いています。で、なんで活躍できるのか?もちろん、彼らが入社時に、学院でのゲーム制作や発表を通して現場で即戦力として通用するスキルを持っていたのは確かですが、それだけじゃない。

小宮 学生時代の彼らは、ワガママでヤンチャでした(笑)

野中 ワガママなのは、良い事だと思いますよ。クリエイティブで、やりたいワガママを持つ事は重要です。でも、それを通すには、きちんとプレゼンし周りを説得できないと、単なるイヤな人になってしまいます。当然、人とぶつかるわけですから。

田中 ぶつかる事が悪いんじゃないです。関係悪化を恐れて議論やケンカが出来ない方が問題ですね。ワガママを言って失敗する。その経験が、次に活きます。

吉田 経験する事は、重要ですね。学院でゲーム制作をやっていたから対応できることもありますし、逆にプロの現場で、経験の少なさを感じる事も多々あります。

飯田 実体験って、物凄く重要ですよね。私は旅行が好きなんですが、旅先で実際に見るもの全てが、自分の力になります。旅行を計画する事も、楽しいですし。

田中 何かのコダワリをもって、体験する。コレも重要ですね。飯田はスペースシャトルの打ち上げを見に行きましたし、吉田君はフランスまで競馬を見に行くため開発の忙しい時に休みましたから(笑)
でもその前に、仕事はやっていきましたけどね。僕らは、クリエイティブのこやしになる事は、どんどん時間を作ってやるべきだと思います。

吉田 その時に、何か意識して考えると楽しくなると思います。僕みたいな若手は、どんどん色んな人から吸収したいですから。

田中 それから、学院でも仕事場でもライバルを見つけてください。それが成長の糧になります。ライバルに打ち勝つためにしなければいけないこと、それは自分に無いライバルが持っている部分です。それを、かなわないと思ってあきらめない事ですね。

野中 どんどん、意識を持って前向きに学んで作ってください。結果はついてきます。そして、強くなれた日に、私たちと一緒に仕事をしましょう!

野中さん、田中さん、飯田さん、吉田さん、お忙しい中、本当にありがとうございました!

【注釈】

[1] ポリゴン:3DCGで、立体を表現するときに用いる多角形。ポリゴンの数を減らす(ローポリゴン)と、表現が粗くなるが、描画に必要な時間が少なくなる。
[2] シェーダ:3DCGにおいて、光に対する明るさ、陰影、色等を定義する方法。
[3] モーション:3DCGにおいて、キャラクターの動作をつけること。
[4] モデリング:3DCGにおいて、モデル(物体・キャラクターなど)の形をつくること。

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