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谷口悟朗さんによる特別講義を開催しました

『無限のリヴァイス』『プラネテス』『ガン×ソード』などで監督を務めた、谷口悟朗さんをお招きし、特別講義を開催しました。
谷口さんは演出家や、プロデューサーとしても、数多くの作品を手がけて来た業界の最前線を走る監督さんです。

今回の特別講義では、これから業界に入ろうとしている学生達へ、谷口さんの体験に基づいた監督・演出の目指し方をお話いただくと同時に、東京校・大阪校を中継で結び、双方の学生からの質問に丁寧に答えていただきました。

こちらでは講義の後半、学生からの質問にお答えいただいた際の内容を一部ご紹介したいと思います。

◆   ◆   ◆   ◆   ◆

『プラネテス』を拝見したのですが、宇宙船やロケットの絵がとてもリアルだなと感じました。
ああいった作品を作るためには、やはり実際にJAXAなどへ取材に行かれているんですか?

そうですね、『プラネテス』 (※1) 制作の際は、JAXA (※2) の施設に見学に行き、職員の方に説明してもらったりして入念に研究をしました。
しかし、どうしても映像の資料がなくて困ったのが、オーロラのシーンです。現在ではオーロラをとらえた映像は有りますが、その当時はまだその映像が無かったので実際に見た人から聞いた話などを繋ぎ合わせて何とか作り上げました。

あとは月面都市のシーンも大変苦労しました。重力が地球の6分の1の世界というのがどういったものなのか想像もつきません。もちろんアポロが月面着陸をしたときの映像などは有りましたが、あれは宇宙服を着ていますので、月面に地球のような都市が建設されたときの生身の人間の姿とは違います。これも専門家の人とあれこれ話し合いながら制作しました。
例えば重力が弱いということは、少しの力でジャンプが出来てしまうので、天井に頭をぶつけてしまう。そうしたら月面都市の建築物はすべて天井を高く設定しましょうと言った具合に、想像力を最大限に膨らませました。

※1)「プラネテス」…宇宙開発によって生まれたスペースデブリ(宇宙ごみ)回収業者を主役とし、あまり顧みられることのないスペースデブリ問題を描いた、SF漫画(幸村誠/作、講談社刊)を原作としたテレビアニメ。

※2)JAXA…(ジャクサ)独立行政法人宇宙航空研究開発機構。日本の航空宇宙開発政策を担う研究・開発機関。

谷口さんがアニメーション業界を目指したきっかけは何でしたか?

もともと中学生の頃は演劇をやっていて、演じる側でしたが、ある時から脚本や演出の方に興味を持ち始めました。それからは脚本を書いたりしていて、高校を出るときにアニメ業界を目指そうと思いました。当時、とにかく片っ端からアニメの制作会社に電話をかけたのですが全部ダメで、一度アニメ業界はあきらめてしまいました。

その後はテレビ局の孫請けの会社で番組のADを経て、映像関係の専門学校へ通うことにしました。
そのときは何となくドキュメンタリーなどに興味を持っていたのですが、卒業するときに出会ったOBの方がたまたまアニメの編集もやられている方で、その方の誘いで1回だけアニメの演出をやってみることになったんです。
そのときは、アニメが合わなかったらドキュメンタリーに戻ってくればいいや、くらいの気持ちでしたが、アニメをやり始めてすぐにAMGで講師もされているヤマサキオサムさんと仕事をさせていただく機会に恵まれ、どんどんアニメの世界に傾倒していき、今に至るというわけです。

将来はプロデューサーを目指しているのですが、プロデューサーを目指す上で身に付けておくべきことは何ですか?

スタッフとのコミュニケーション能力はもちろんのこと、ズバリ、脚本とコンテ (※3) を“読む力”です。特にコンテを読む力を持ったプロデューサーは少ないと思います。
“読む”と言っても、マンガを読むようにザっとストーリーを読むということではなくて、コンテに書かれた芝居の指示、尺 (※4) 、ト書き (※5) をすべて解釈し、頭の中で映像化して行くのです。ちょうど、音楽家が楽譜を見ただけでどういう感じの曲なのかがわかるのと同じような感じでしょうか。

※3)コンテ…絵コンテ。映像の設計図となるもの。絵と文字で、画面の構図やカメラの動きなど、詳細が説明されている。

※4)尺…映像の長さ。

※5)ト書き…脚本、台本の中で、セリフ以外の動きや情景説明などを説明した部分。

コンテを読む力を付けるには、具体的にはどうすればいいと思いますか?

自分がまだ見たことのない映像のコンテを見せてもらうことです。まずはそのコンテを読んで、出来上がりの映像がどんな感じなのかを想像します。その後に実際に完成した映像を見てみるのです。こういう形で今のうちからトレーニングしておくと良いでしょう。

脚本を読む力についてはいかがですか?

まず、脚本には感性で書かれたものと論理で書かれたものの2パターンが有ります。感性で書かれたものは、これから感性をより磨いていかないと理解することが出来ないかも知れませんが、論理で書かれている脚本は、今すぐにでも読み取ることが可能です。
脚本には、そのストーリーが目指すゴールが必ず有ります。

目指すゴールとは、「主人公が○○して××した話」と端的に一言で言える物語の流れのことです。
脚本を見た瞬間にこれを読み取れるかどうかなんですね。つまり、瞬時に物語のエッセンスを抽出する力を養うことが大切です。そのためには具体的にはどうすればいいでしょうか。その答えは、その作品の予告編を勝手に考えてみることです。予告編というのはその物語のエッセンスを凝縮しているわけですから。
この力を身につけているある一定以上の技量を持った監督さんであれば、まったく同じ脚本から、20代以上向けのハイエンド作品と子ども向けの作品の両方を生み出すことが出来ます。皆さんもぜひ、この力を付けてください。

最後に、これから業界を目指す皆さんにメッセージをお願いします。

出来れば、この中から私や私と同じ世代の人間を蹴落とすくらいの人が出て来てくれることを願っています!
アニメ業界というのは大変なことも多いですが、とにかく毎日コツコツときちんとやっていれば必ず誰かが見ていて、いつかは陽の目を見る業界でもあります。

今活躍している人達も、皆が皆有名な作画スタジオの出身というわけではありません。ほとんどがあまり名前も知られていないような小さなスタジオから見出されてここまで来ているのです。
無論、大きなスタジオの人達は、それだけ切磋琢磨する機会が多いですが、裏を返せばその環境に慣れてしまって、ある一定のところに達するとそれ以上伸びなくなる危険性もあります。つまり、どちらに進んだとしてもメリット・デメリットが有るということです。
どういった環境に行っても、ともかく20代の内は日々コツコツと頑張ってください。その頑張る姿を、必ず誰かが見ています。そうして才能や努力を見出されて行ってください。皆さんの善き業界生活を願っています!

◆   ◆   ◆   ◆   ◆

谷口さん、貴重なお話をどうもありがとうございました。

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