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CGクリエイター渡辺哲也氏 ロングインタビュー

渡辺哲也氏

仕事場全景と渡辺氏

本日はよろしくお願い致します。まずは、渡辺さんのお仕事内容についてお聞きかせください。

アニメでは3Dディレクターという肩書きで仕事をしています。その他にもアニメ、ゴーダンナーなどでのメカデザインやモデル(※1)作成、プラモデルのBOXアートなどもしています。

独学でCGの自主制作映像なども制作されていたのですか?

もともとは自動車メーカーで働いていて、趣味で3DCGなどを作成していましたが、体調を崩した事で会社を退職した折に、次の就職先を探す3ヶ月間を使って、今まで趣味で作成していたモデルを使用してCGムービーを作成してコンテストに出したのがきっかけです。

3DCGの仕事に携わるきっかけはなんだったのですか?

ちゃんと習った事は無く、高校時代はアニメが好きで、好きなアニメーターの作品をコマ送りで研究してた程度ですね。就職した先でCAD(※2)を使用していた事もあり、1993年ごろゲームセンターにあった3DCGを使用したゲームを見て、「自分でも出来るかも?」と思ってCG専用のコンピュータを購入して勉強したのが3DCGをするきっかけでした。最初は個人の趣味として3DCGを作成しているだけでしたけど、その内友人や知り合いに発表したりして、色んな意見がもらえるようになり、人に見せる事が楽しくなっていきましたね。

渡辺哲也

渡辺氏お仕事場

渡辺さんのお仕事は、どのような流れで進行しているのでしょうか?

普段は、「このカットのこれをやって下さい。」とか、「モデリングをお願いします。」という依頼が来ます。しかし最近では、個人でアニメの3DCGパートの仕事を、「コードギアス」なども同様なのですが、一旦全てお引き受けした上で、手が足りない場合などは、仲間内に手伝ってもらっています。現在の3DCGは、会社で制作している感じで、会社の名前ありきで社員の名前が出るというスタンスですが、昔のアニメって、アニメーターありきでスタジオ名が入っていたじゃないですか。そう言うスタンスが3DCGの分野にも欲しいなと思って、会社のスタイルとは別のスタイルで、個人のクリエイターの集まりみたいなことが出来ないかなと思って活動しています。

幼少期からアニメ業界に行こうと思っていたのですか?

高校時代は、漠然と「クリエイター方面を目指すのだろうな。」と思っていました。しかし、就職を考える時期になると「自分は何が出来るのだろう?」という考えになって、何も出来ない自分に気付かされました。「ああ、自分は普通の人間だったんだ」という事に気がついて、普通の会社に就職しました。でも、せめて趣味で3DCGをやりたいと思い、制作を続けていた事が、今では職業になりました。1度は諦めたにも拘らず、非常にラッキーでした。続けている事が大切だと、改めて気がつかされましたね。

デザインの仕事をする際の心構えなどはありますか?

趣味で描いてるモノならば制限は無いのですが、仕事で描いてるモノは何かしらの制限を受けますね。特にアニメのデザインの仕事の場合は、あまり自由はないと言うか、結構ギリギリな所でデザインをしています。設定としてのデザインはある程度の簡易的な資料が来て、それをクリンナップしてモデルを制作するという仕事が多くなります。自由にデザインしたいのは山々なのですが、CGディレクターとして参加している分、デザイナーは別にいるので、そういった限定条件の中で、どこまで自分を主張していけるかが課題ですね。

渡辺哲也氏

エフェクト作成画面

アニメでもエフェクト(効果)などの仕事もあるのですか?

最近は波のアニメーションなども制作しました。作業は「After Effects(※3)」を使用しています。アニメの仕事の場合、作業にあまり時間が掛けられないという制限があるので、作業の効率化が重要ですね。モデル制作も、1日1体くらいのペースでやらないと、締め切りに間に合わないです。アニメ作品は放映日が決まっているので、100点を目指して制作するのですが、時間との関係で全てを100点満点で制作し続けるのは難しいので、どうにかして放映できる妥協点を探して制作を行わなくてはならないのが現状ですね。

3DCGディレクターとしての心構えなどはありますか?

制作したデータ容量が重くなる要素などを見て、データ容量を軽くしたり、またどうやれば上手く工数が減るかというノウハウがCGディレクターには重要となってきます。だから、どんなソフトにどんな機能があってどんな凄い物が作れるかと言うことよりも、クオリティーラインを先に決めて、そこまでの工程をどこまで短く出来るかという考え方が大切になります。クリエイター的には究極のクオリティーを追うのが本筋でしょうけど、アニメ業界で求められるスキルとしては、重要なファクターになりますね。

東京にスタジオを移さないのは、離れていても仕事が出来るからですか?

それもありますが、僕は頼まれると断れない性格で、今の仕事場だとちょうど1人分の仕事が入って来る距離間なんです。それに、最近ではネット環境も充実してきた事もあり、東京に仕事場を持たなくても良くなった事もあります。しかし、一番の理由としては、仕事のコネクションが充分に出来たからが大きいです。この職業になりたての頃は、名刺を渡しながらも自分の作品を持参して、迷惑でも「見ていただけますか?」って見せて、仕事を頂いていた時期がありました。そういう営業をした事で、今ではある程度の人脈が出来た事が大きいですね。

渡辺哲也氏

渡辺氏近影

自分を売り込む営業ってやはり大事ですよね?

業界の方との飲み会などでも、常に自分の作品を持参しておいて、隙あらば見ていただくという事がすごく重要ですね。自作のムービーとかあるのであれば、DVDとかに焼いて持っていった方が良いと思います。もらった方も面白いからって事で、結構見てくれるんですよね。特に学生さんの作品って商品ではなく、純粋な作品だから商品より面白いことが多いですね。技術的にはつたない部分もありますが、自分はすごく好きです。

大阪校では、毎年1年生の後期に行っている共同制作でCGムービーを制作しています。その完成したムービーを制作発表会などでゲーム会社や映像会社の方に見ていただいて評価してもらったりしています。

それは説得力ありますよね。面白いし。今は評論慣れしてるじゃないですか、アニメファンにしてもゲームファンにしても動画サイトなどで動画作品を見る機会が多くなって、作品を見て「脚本や動きが甘い」などの意見を誰でも言える環境にありますからね。それらの意見に対して、どこまでを受け入れ参考にするのかなどを考えるテクニックを磨くことが出来るのは素晴らしい事ですよね。クリエイターとして伸びる為には、人から聞いた意見を吸収する事は重要ですが、それらの意見を取捨選択することは非常に重要で、そういったことが容易に出来る環境はありがたいですね。

私たち教務でも、学生に対して講師や企業の意見を全て作品の中に取り入れることは難しい事だからという事で、取捨選択を指導しています。またクリエイターとして、自分で考えて動ける人材の育成が重要と考え取り組んでいますね。

そうですね。言われた事だけをする人員になるのは、クリエイターとして意味が無いですものね。こういうエンタテインメント業界で仕事をする場合は、言われた事だけをやる人員になるくらいなら、一般の職種に就いた方が良いと思いますよ。僕もそうでしたけど、会社員からクリエイターの世界にシフトした訳で、この業界は楽しみながら仕事をしないと面白くないですね。言われた事だけをやる人員になるのは損ですよ。しかし、この仕事って考えすぎると難しくなる事もありますよね。僕もこの世界に入った頃は、絵コンテ通りにやれば良いと思っていた時期があって、絵コンテの通りにやっても演出家からは「自分の演出はこれでは無い。」と言われた事がありましたね。結局、自分自身の中で既成概念に囚われずに、自分自身が楽しい、気持ちが良いという表現を、どれだけ出せるかがクリエイターの楽しさだと思いますね。

最後に、渡辺さんから学院生に向けてのメッセージなどを貰うことは出来ませんでしょうか?

口だけ番長でも良いと思うんですよ。クリエイターの取っては。友達に「こんな事考えて、こんなの造ろうと思ってる」って話した上で自分を追い込んでいく必要はあると思います。その中で「あっ、それいいね!こういうのしたら!」と返してくれるじゃないですか?そういうやり取りをしている内にヴィジョンが固まっていくという事もありますから。環境自身も回りに先生達もいて、同じ志を持った学生がいての良い環境だと思うので、もっと作品を創って欲しいと思いますね。

本日は、貴重なお話をありがとう御座いました。

※1.ゲームやアニメで使用されている3次元の空間上に表現されるキャラクターや背景などの事。
※2.コンピューターを用いて制作を行う、製図システム
※3.アドビシステムズが販売をしている、映像のデジタル合成やモーショングラフィックスなどの制作を目的としたソフトウェアの名称。

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