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『鋼殻のレギオス』監督・川崎逸朗氏特別講義開催!

講義の様子

本学院卒業生、雨木シュウスケ先生原作ライトノベル『鋼殻のレギオス』のメディアミックスとして、2009年1月、ZEXCSによるアニメーション制作、AMG MUSICによる音楽制作でテレビアニメ化された大ヒットアニメ『鋼殻のレギオス』。

去る2009年9月27日(日)本学院東京校にて、『鋼殻のレギオス』監督・川崎逸朗氏による特別講義が開催されました。
川崎監督ご自身のお話や、『鋼殻のレギオス』の制作課程を振り返りつつ、後半はプロデューサー・蜂屋誠一氏もお迎えし、制作秘話を中心にアニメーション制作現場の貴重なお話を伺った2時間となりました。

アニメーションしかやりたいことを考えていなかった

――現在監督業をなさっている川崎監督ですが、アニメーション業界を志したきっかけなどについてお聞かせください。

川崎氏:

「サラリーマンには絶対ならない」と決めていたんですね。中学生の頃からマンガ家か、アニメーションの世界を目指そうと決心していました。アニメーションを目指すことを決めたのは、中3の時に、宮崎駿監督の『カリオストロの城』を観て、ですね。「これしかない」と思って業界に入ることを決めました。

――最初、業界に入る時は演出志望で入られたと伺いましたが?

川崎氏:

そうですね。でも当時は、どうしたら演出になれるか知らなくて。自分で言うのも図々しいんですが、絵は多少描けていたので(笑)とりあえず作画で入ってから、演出のチャンスを狙っていました。僕は18歳で、当時のタツノコ研究所に入所して業界入りをしましたが、30歳で手がけた作品で監督デビューをしましたね。よく周りから「監督になる夢が叶って良かったですね」とか言われるんですが、逆に言うと僕は監督(演出)になることしか考えてこなかったんです。

作ったものを誰かに見せて反応をもらうことが、一番好きな行為

――あえて、他の職業に就くとしたら?

講義の様子

川崎氏:

花火職人です。アニメーション制作と花火職人、共通している所があるんですが、それは『時間と労力をかけて作ったものを、一瞬だけど大勢の人に見てもらう。そして、そのことによって驚いてもらったり、反応してもらうこと』という事です。自分が作ったものやアイデアを人に見せて、その反応を見て楽しむことが一番好きな行為です。よく現場スタッフにも「これどう?」と聞いています。その反応を見て決断することも多々ありますよ。


――では、監督業の魅力とはどういった所でしょう?

川崎氏:

おもしろい話・作品を作るということはもちろんですが、一番は『スタッフが育つ』という事ですね。1話で入ったスタッフが、最終話ではさらに進化していたりすることが楽しいです。そういうスタッフを見て行きたいし、監督という立場から自分はチャンスも与えて行きたいです。

レギオススタッフのいい所は、誰も“出来ません”と言わないところ

――さて、『鋼殻のレギオス』についてですが、制作秘話などありましたらお聞かせください。

川崎氏:

原作小説を読んだ時に、アニメ化するにあたって、SFファンタジー、学園モノ、といくつかの切り口があるなと思っていたんですね。でもどれをピックアップしてお話にしていこうか悩みましたね。最初に持ったイメージは学園モノだったのですが、最終的にはアクション大作になりました。(笑)アクションに強いスタッフが集まってくれたこともあって、アクション重視の方向でやって大丈夫だろう、という決心が付きました。

――アニメ化にあたって苦労した点はなんでしょうか?

川崎氏:

やはり、まず問題になったのは『いったいどこで終わらせるのか』という点でしたね。原作小説は第一部完となってはいますが、さすがに長すぎる。また、「アニメから『鋼殻のレギオス』の世界に入った人は、まずはテレビシリーズで完結させてあげなければいけない」と思う所もあったので、シリーズ構成としては話を決着させる方向で話を詰めていきました。その時点で、原作で発表されていない設定も多々あって、原作者の雨木さんと話し合いストーリーを決めて行きました。キャラクターデザインに関しては、橋本英樹さんにお願いしました。原作の挿絵では書かれていない、服の背中や脇(身体の側面)の部分のデザインに悩んでいましたが、こちらも原作イラストを手掛ける深遊さんに設定を持って来て頂いたりしてすんなり決まりましたよ。

レイフォン ダルシェナ フェリ
左より、レイフォン、ダルシェナ、フェリ(クリックで拡大表示)

――キャラクター設定なども拝見しましたが、ともかく線が多いですね。

川崎氏:

ダルシェナなんか特にね(笑)この巻き髪でさらに戦ったりアクションしますから。全体的な線の多さはもう覚悟して、動かすことにしました。その点本当に作画スタッフにも恵まれていましたね。ともかくモチベーションが高い。監督が「やれ」と言うより先にスタッフが「やる」と動いてくれますから。

――制作現場に、熱意に溢れるスタッフの方々が集まってこそ出来上がった『鋼殻のレギオス』なんですね。では、蜂屋プロデューサーから見た『鋼殻のレギオス』についてお話をお聞かせ下さい。

蜂屋氏:

監督からもお話がありましたが、今回『鋼殻のレギオス』を製作するにあたって、まずはスタッフの布陣を敷きました。今までやってきた作品で蓄積してきたスタッフ間の信頼があったからこそですね。逆にそれがなかったらやりませんでした。あと、監督の演出が素晴らしい。第一話をOPから観るだけで演出の勉強にすごくなります。

――これからのアニメ業界についてどういった展望をしていらっしゃるかお聞かせください。

講義の様子

蜂屋氏:

これは僕がここ最近思うことなんですが、『選択肢と情報が増えると、ユーザーは保守化』する。という事です。今は、アニメ作品の本数が増えて、ともかく色んなアニメがなんでもあるし、DVDやインターネットで何でも見れますよね。そうするとファンは、流行ものに一極集中型になってくるんです。 そういった中で、いかに作り手は個性を出していくことが出来るか、売れる作品を作るか。という点においても、これから非常に厳しい世界にはなっていくとは思います。クリエイティビティだけではなく、マーケティングも必要になっていく時代になっていますね。


絵というものは、人より多く描けば必ず上手くなるものだから

――では最後に、アニメーション業界を目指す人達へメッセージをお願いします。
川崎氏:

僕がタツノコ研究所時代に言われたことがあるんですが、『自分の得手不得手はあってもいい。ただ、プロになる以上は、不得意なものも、“65点”は必ず取りなさい、取れるようになりなさい』という事です。 実際現場に入ると、65点を取ることの大変さはあるんですが、それでも苦手な事でも65点を取れていれば、一緒に働くスタッフからの“信頼”はもらえるんですね。それが次の仕事に繋がっていく業界です。絵に関しては、『人が1枚描いていたら、自分は2枚描け』ということですね。今出来ない事も、描き続けていけばいつか必ず出来る様になります。やれば習得出来るものなので、億劫がらず努力して下さい。

――本日はありがとうございました。

川崎監督

< 川崎 逸朗(かわさき いつろう) >
アニメーション監督、演出家、脚本家。
東京都出身。IGタツノコ(現・Production I.G)草創期からアニメーター・演出として多くの作品に参加。
1996年「時空冒険 ぬうまもんじゃ~」で監督デビュー。
現在はProduction I.G及びZEXCSを拠点に、監督のほかに絵コンテ、演出として数多くの作品の制作に携わる他、脚本やシリーズ構成を担当。
その他の作品に2006年「護くんに女神の祝福を」、2007年「レンタルマギカ」、2009年「戦国BASARA」など数多くのヒット作を手がける。

< 蜂屋 誠一(はちや せいいち) >
映像プロデューサー。1999年角川書店入社。
代表作
●TVシリーズ『ちっちゃな雪使いシュガー』
●TVシリーズ『我が家のお稲荷さま。』
●TVシリーズ『そらのおとしもの』

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