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From ハリウッド!特殊メイクアーチスト AKIHITO氏による特別講義

2006年11月21日、特殊メイクアーチストとしてハリウッドで活躍中のAKIHITO氏による特別講義が行われました。才能を余す事なく本場ハリウッドで開花させた経緯や、プロの現場での制作秘話などを披露して頂きました。

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20061221_01.jpg AKIHITO(特殊メイクアーチスト) 福岡出身。TVチャンピオン「特殊メイク王選手権」で3連覇を果たしている他、「アナザヘヴン」(2000年/飯田譲治監督)特殊メイク、「ウルトラマンコスモス」怪獣デザインなどSFXの現場で幅広く活躍。
現在はロサンゼルスに移り特殊メイク工房KNBの彫刻家として、映画「ハルク」のプロップや、「エイリアンVSプレデター」クイーンエイリアンのデザイン、「ナルニア国物語」キャラクター造形など、活躍の場を世界に広げている注目のアーティスト。 AKIHITO official Web「しにせや」 http://www.shiniceya.co.jp/
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■学生時代

高校2年の頃、TVで、アメリカで活躍する日本人としてスクリーミング・マッド・ジョージさん(*1)が紹介されているのを見ました。「アメリカの第一線で働いている日本人がいる」という事に衝撃を受けたのです。
その時に、「自分も特殊メイクをしたい」と心に決めました。
そして、映像学校に通い、数メートル程の恐竜を制作しました。なりふり構わず制作に没頭した心意気が認められたのか、特殊メイクの講師が仕事に誘ってくれたのです。150体もの作品を制作するという初仕事で大変でしたが、無我夢中で取り組みました。


■TVチャンピオン「特殊メイク選手権」3連覇達成

創作活動を発表する一環として、TV東京で放送されている「TVチャンピオン」に出場するようになり、「特殊メイク選手権」で3連覇を達成しました。
一般的に特殊メイクというと、不気味なものを想像されたりします。私は、思わず「美しい」と反応してしまうような、ファッション誌の表紙を飾れるような特殊メイクを目指しているので、その点が評価されたのかもしれません。
「人に感動を与えるような特殊メイクに今後もチャレンジしていきたい」とTVで語ったのを今でも覚えています。


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TVチャンピオン 「特殊メイク選手権」 受賞作品
左から「MEDUSA」、「A BRIDE OF DEVIL」、「BREATHING WREATH」 ©AKIHITO

■渡米して

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貴重な体験談となりました。

さて、TVに出てから爆発的に仕事が増えたかいうと、そうでもありませんでした。映画業界というのは、監督、プロデューサーとの人脈が無いと、仕事はまわってきません。それでも、「ウルトラマンコスモス」の怪獣デザインなど、SFXの現場で制作する環境には恵まれたのですが、あるジレンマがありました。
それは、作品のクオリティとギャランティとのギャップです。
そんな時、文化庁の研修制度を知り、運良く合格出来たので、このチャンスを逃す手は無いと思い渡米を決意しました。
そして、熱意が伝わったのか、ロスの特殊メイク工房KNBの彫刻家として採用されたのです。今、振り返ると、自分を売り込む時に役に立ったのが、ファッションショーの映像でした。「初の特殊メイクファッションショー」として、恵比寿で開催した時の映像だったのですが、和のテイストも取り込んでいたので、アメリカでも評判が良かったのです。
私は、女の人にも見てもらえるような「ビューティーメイクの延長上にある特殊メイク」を目指しているので、アメリカで受け入れられた事は自信につながりました。KNBでは、多くの応募があるそうなので、日本的なものが目立って良かったのかもしれません。


■「ナルニア国物語」の制作

そして、「ナルニア国物語」(*2)の仕事に携わることになりました。撮影はニュージーランドで行われていましたが、WETA(*3)が「キングコング」の制作で忙しかったので、WETAがCGとコスチューム、KNBが登特殊メイク、特殊造形の全てを担当しました。私は主に、彫刻と色塗りを担当しました。アメリカではプロジェクト毎の分業制がはっきりしています。
映画でのライオンは、ほぼCGで作られているのですが、監督から、ライオンの彫刻の発注がありました。実際に役者が使用し、感情移入出来るようなリアルさが求められたのです。それと、半身半獣のタムナスの特殊メイクも任されました。
制作の流れは主に以下のようになります。

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楽しい授業になりました。

1.デザインを考える。テストメイク。

2.モデルになるライフキャスト(型)を作る。

3.ライフキャストの上に彫刻用粘土で、デザインしたキャラクターを彫刻。

4.粘土彫刻が完成し、型どり。

5.出来た型にフォームラテックスを流し込み人工皮膚の制作、人工皮膚の色塗り。

6. 撮影当日に、出来上がった人工皮膚をモデルに装着、完成。

華やかなように見えますが、このように細かい作業が繰り返されます。メイク時間は短くて2時間、長いときは6時間ぐらいかかります。
アメリカと日本での制作環境の違いは、やはりスケールの大きさですね。「ナルニア国物語」は総製作費180億円。その年の制作費で、ハリウッドでNo.1でしたので、日本では考えられないような贅沢な制作環境でした。

■最後に

以上、私の体験談をご紹介してきましたが、スタートは、「特殊メイクをしたい」という純粋な気持ちでした。
日本人は、キャラクターデザインや、ゲームクリエイターの世界においても、決して才能が無い訳ではありません。世界でトップに入れる人もいるのに、活かす為の場所が見つからないケースも多くあります。これは非常に残念な事だと思います。
是非、視野を広げて、自分の可能性を切り開いて行って下さい。日本人は、集団行動に慣れすぎているので、たまには他の方向を向くのも良いのではないでしょうか。
そして、世界でアピールする時は、文化、歴史も勉強して、日本人ならではのアピール方法を考えてみて下さい。私の場合は、春夏秋冬をイメージした作品作りや、和のテイストを取り入れたりするなど、随分と模索しました。
忘れてはいけない事は、楽しみながら有意義に作品を作る事です。皆さんも目標に向かって楽しんでください。


*1(スクリーミング・マッド・ジョージ):特殊メイクアーティスト。18歳で渡米。「ポルターガイスト2」「エルム街の悪夢4」といった有名作品の特殊効果を手がけ、世界的に有名になり。元プロ野球選手の新庄選手がファンサービスでかぶっていたマスクも、氏の作品。

*2(ナルニア国物語):ナルニア国の誕生から滅亡までを描く全7作のシリーズとして、1950年から1956年にかけて出版され、これまでに全世界で8500万部発行されている。「指輪物語」「ゲド戦記」と合わせ、世界三大ファンタジーの一つとも言われる。

*3(WETA):ニュージーランドにある特殊効果スタジオ。CGを手がけるWETA Digitalと、特殊メイクなどを手がけるWETA Workshopの2社で構成されている。「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督によって設立。


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実際に特殊メイクをして頂きました。 目玉が3つ!!! 特殊メイク志願者と全員集合

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