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CGアニメ作家 うもとゆーじ氏インタビュー
~「かわいいアニメがみたい!」 個人作家レーベル”PIX”のこと~

―――多くの作家がオリジナルの作品を発表している「PIX」レーベルの設立者であり、ご自身も映像作家として活躍しているうもとゆーじさんに、「PIX」立ち上げのきっかけやご自身愛用の3DCGソフト「LightWave3D(*1)」との出会いを伺った。

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「昔から色々な漫画家の絵を真似したり、サブカルチャー的なストリート系のイラストレーションを描いていたんですが、当時バンド活動をしていたという事もあって、仕事にするなら音楽とグラフィックの両方をやりたいという思いがあったんです。
で、ゲームならそのどちらも出来るかと思って最初はゲーム会社に入社しました。

僕はゲームという世界に新しい可能性があると感じていたんですが、当時の主流のハードはまだファミコンだったので、ゲームの表現に可能性を感じるという人はあまりいなかったようです。
今でこそゲーム業界に美術大学を卒業した方はたくさんいらっしゃいますが、当時は得体の知れない不思議な人が多かったです(笑)
後は本当に凄い人か本当にダメな人(笑)

そこでしばらくゲーム制作に携わっていたんですが、僕は昔からオリジナル志向が非常に強かったので、自分のゲームが作りたくて仕方が無かったんです。
会社ではなかなか機材を揃えてもらえなかったので、ソフトやマシンを自腹で揃えまして、われながら本当に思い切った自己投資をしたと思います(笑)

でもこのまま会社にいてもオリジナルのゲームは作れそうにないと思っていたら、エニックスが音楽ゲームの企画書を募集しているという事だったのでそれに応募したんです。
そうしたら自分の企画が採用されまして、そこで初めて自分のオリジナルのゲームである「うたうたウー(*2)」を制作しました」

―――この頃になると、ゲームのハードもファミコンからプレイステーションへと移り変わり、3DCGをメインで使用した作品が増えたという、うもとさんの作品制作環境はどのように変化したのだろうか。

3DCGで初めて衝撃を受けたのは、アミーガで制作された「ウゴウゴルーガ(*3)」でした。
自分もこういう作品が作りたい! と強く思いましたね。
それ以前から今までのゲームとは一線を画した、デザインを重視した作品がつくりたいという思いがあったので、余計に衝撃的でした。

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僕自身が3DCGソフトを使うきっかけになったのは、ゲーム会社に勤めていた頃、バンドの練習に使っていた建物の隣に偶然「LightWave3D」の聖地とも言える「パルテア(*4)」がありまして、そこで講習を受けた事です。
この偶然がなければ、僕と「LightWave3D」との出会いは数年遅れていたかもしれませんね(笑)
「LightWave3D」は良いツールです。僕の周りでもまだ皆使っていますし。
「ワンダと巨像」のようなゲーム作品でももちろんですが、個人ベースの作品制作でも心強いソフトになってくれると思います。

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エニックスのゲーム制作が終わった後にGONZOへ行きまして「ヴァンドレッド」などのアニメーションの3DCG部分の制作にも携わりました。

―――ゲーム、アニメーション制作を経て、いよいよお話は「PIX」創設の核心に触れる部分へ突入!

「GONZOにいた頃、息抜きに作っていた3DCG映像をテレビのCG番組に送った所、エイベックスのディレクターの目に留まり、「これで何かつくりたい」というお話を貰いまして、「エポケ(*5)」というデスクトップ・ランチャーのようなものを作ったんです。
IRC3D版…というか、ランチャーでもありメッセンジャーでもありアバターでもあるという、当時としては画期的なソフトだったと思います。
ただ最初の開発の段階で、そこに登場するキャラクターが非常に無骨だったので、プロデューサーから「なんとかならないか?」という話がありまして、そこでキャラクターやアイテムを3DCGで作ったんです。
そのソフトに関してはデザインだけでなく、企画や音楽までも含めてやらせてもらいました。
その頃はちょうどITバブルだったので、そういう冒険企画も通ったのかもしれませんね。
制作自体は比較的自由にやらせていただいたんですが、やはり企業的にいろいろな制約がありましたね。
やはり僕は「もっと自由に作品を作りたい」という思いがあったので、それも「PIX」の立ち上げに繋がった一つの理由だと思います」

―――「PIX」のコンセプトやうもとさんの「PIX」に込めた思いは…

「3、4年ほど前に「人の作品を観る機会を作りたい!」と思ったのがきっかけです。
これは僕のコンセプトでもあるんですが、基本は「かわいい」なんです。女の子が観た時に「かわいい」と思ってもらえないものは作りたくない…というか、同じ可愛いでも「美少女」とはちょっと違う。僕が「美少女」はあまり一般的では無いと思うという事と、それと同時に3DCGの表現の幅をさらに広げて、もっと色々な人に3DCGを見てもらいたいという思いがあるんです。

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「PIX」では僕が様々なお題を提示し、作家がそのお題を自分なりにイメージして作品をという流れなんですが、「かわいい」というお題ひとつを取っても、意外に大人向きな雰囲気であったり、抽象的な趣きがあったりと、作家それぞれの生の感性を見る事ができるというのが醍醐味です。
皆、自分が面白いと思ったものを突き詰め、だれの真似でもなく独自の構想をもっています。

個人作品に関して、もうプロとアマチュアの境界線は無いといってもし差し支えないと思います。僕の上映会では、そういう部分も見せたいと思っているんです。
「誰にでもチャンスはある」と。
プロと言われる人が作った作品も個人で創った作品も、作品価値の重みとしては変わらないと思うんです。あとはもう「作るか付作らないか」ですね。

普通に仕事をしながら作品をというと、どちらかの作品がおろそかになってしまうように思う方もいるかもしれませんが、「PIX」のメンバーの中に自営業の方がいるんですが、この方は「どんなに忙しくても1日2時間は描く!」という方がいまして、そういう作家の熱意というか執念のようなものも感じてもらいたいと思っています」

―――これから「自分でも映像作品がつくりたい!」と思っている方々にメッセージやアドバイスをお願いします

「機材などが安価でそろえられるようになり、現在では比較的手軽にショートアニメ制作は始められるようになりました。でもいざ作品を作るにあたり「いきなりオリジナルというのは難しい」と思う事もあるかもしれませんが、探し方が判れば、ネタはいくらでも転がっていると思うんです。
たとえば、好きな漫画があったらその出典や何の影響を受けているのかを調べてみるとその作家に影響を与えた作家がいたり、世界観があると思うので、そこから知識や自分の構想の引出しも増えてくると思います。
いろいろな映像や作品を観て刺激を受け、「これも楽しい」とか「こんな手法もあるのか」と、色々な事を発見する事が大切だと思います」

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「あとはいろいろな人に会っておくべきだと思います。
でもその時に自分の作った作品が手元に無いと、なかなかお互いをよく知ることが出来ないので、自分の名刺がわりになる作品は必須ですね。
でも、それがあまり良い作品でないと、軽んじられてしまうというマイナス面もあるので要注意です。でも一生懸命作った作品というのは、その作品に込めた熱意が相手にちゃんと伝わるものなので、絵の「上手い」「下手」を超越した「思い」や「情熱」、独自の表現を作品に込める事を忘れないで欲しいです。
そうすれば、相手の心をとらえる事ができると思います。

好きなものがあって、こういう風に表現したいという思いがあったら、躊躇せずにどんどん作ってみると良いと思います。映像だけに関わらず、あまり深く考えないで、自分の好きなメディアを追求して、そのうち自分の心のなかにわきあがってくるものを形にすれば良いんじゃないでしょうか。
誰もやっていない事を目指すとなお良し(笑)」

*1(LightWave3D):アメリカのNewTek社による3次元コンピュータグラフィックスのソフトウェア。日本においてもCM・ゲーム・アニメの制作に頻繁に使用されている。
http://www.dstorm.co.jp/

*2(うたうたウー):人やモノに宿るセイレイたちとの交信(演奏)を繰り返していくことで、人の機嫌や壊れたモノが直ったりし、どんどんストーリーが進行していく音楽ゲーム。視覚ではなく耳を頼りに進める画期的な音のゲーム。
http://www.opus.co.jp/products/utauta/

*3(ウゴウゴルーガ):当時としては珍しいCGで作成されたバーチャルセットやキャラクターが多数登場。子供向け番組とは思えないシュールなギャグや過激な内容が人気を呼び、テレビ番組をはじめ日本のサブカルチャーに多大な影響を与えた。

*4(パルテア):相模大野に居をかまえる「マルチメディア専門ショップ」。
現在も活躍しているCGアーティストたちが集うカフェ的なショップであった。

http://www.parthea.com/

*5(エポケ):3Dのかわいいキャラクターを使い、ウィンドウズを直感的インターフェイスで楽しく簡単に操作できるソフト。

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