株式会社セガゲームス 株式会社セガ・インタラクティブ 取締役 名越稔洋さん。
ご多忙な中、レギュラー講義「名越ゼミ」を行っていただき、ゲーム業界を目指す若者に様々なメッセージを頂きました。
今回は、その膨大な講義録から、ゲーム業界を目指す若者に有益なメッセージを紹介いたします。
ゲーム開発の基本姿勢とは…
現在のゲームマーケットは、一昔前に比べて大きく変わりました。その市場に伴い、ゲーム開発の現場も新しい技術・考え方が求められています。
しかし、それでも変わらないのはゲーム開発の基本姿勢です。
クリエイターたちがコミュニケーションをとってプレイヤーを楽しませるための理想をぶつけ合い、持てるスキルの全てを使ってゲームを完成させる。この基本姿勢は、時代が変わろうと変わらぬ大事な事柄です。
ゲームに没頭させるために、ゲームクリエイターが行わねばいけないことは…
コンセプトを立てる企画者は勿論、プレイヤーが遊んでいる時に目に入るグラフィックを創るゲームグラフィッカーも、コントローラーを通じてレスポンスを与えるプログラマーもプレイヤーに何を与えるかを明確に理解し、知恵を絞って創る必要があります。
プレイヤーに違和感を覚えさせたら、その瞬間にプレイヤーはゲームに没頭できません。
コンセプトを理解し、最高のサービスを提供することを心がけて欲しいと思います。
特に、現実に即したリアリティあふれる作品は、気を抜いてはいけません。
リアリティあふれる作品の制作に対し、ゲームクリエイターが心がけるべきことは…
どの職種に関しても言えることは“物事を観察する目を養うこと”です。ゲームで再現する様々なリアルな現象が、どのように成り立っているのかを考え・分析し、その答えをリアリティとして提供しないといけません。
特に、プレイヤーに“見るもの”を提供するゲームグラフィッカーは、しっかりとデッサンを行い、物の形を再現できるようにする必要があります。
ゲームグラフィックデザイナーに必要な勉強とは…
私自身、セガにゲームグラフィックデザイナーとして入社しました。私は、学生時代、立体を捉える力を身につけるために、石膏像を5度ずつ角度を変えてデッサンを行いました。
そうやって培った観察力の基礎は、その後のゲームクリエイター人生に大きく役立っています。
表現している空間に対して、何がどのようになぜ存在するのか?動いているのか?
その全てを観察し・考える癖を、まずはつけて欲しいと思います。
迷いや不安は、わかってしまえば無くなるもの。
年齢を重ねてきて得したなと思うことは“失敗のデーターベース”が数多く出来たことです。
学生や新人クリエイターに解らないことが多いのは当たり前のことです。その解らないことをそのままにせず、仮説を立てて行動をすることが大事です。
その結果、失敗したとしても、その経験値が残り、次に挑戦した時には、成功の確率が上がります。失敗を恐れず、理解したことの数を増やせば増やすほど、迷いや不安はなくなります。
夢の実現にはリアリティあふれる体験が必要。
共同制作の経験は良い体験です。
アミューズメントメディア総合学院のゲーム制作実習・共同制作は“失敗のデーターベース”を積み重ね、人を成長させる栄養素=一生懸命の中で生まれたリアルな悩みを得るカリキュラムだと思います。
できそうもない!と投げ出してしまっては、成長はありません。
満足に行かなかった経験、より良くしたいと願う気持ちを育てるには、リアリティあふれる体験が必要です。
現在、セガにはたくさんの学院OBが働いていますが、彼らの根本を築いた良いカリキュラムだと思います。
プロになるという意思が、あなたをプロに導きます。
ゲームクリエイターを目指すと言う“意思”を持ち続け、迷いを相談しながら、一つ一つ自信に変えて行くことが一番、重要です。“なりたいな”でのスタートは問題ありません。
しかし“なってやる!”と言う強い意思に意識を転換しなくては、長期間活躍できるゲームクリエイターにはなれないと思います。
折れない心や強い意識は、共に学ぶ仲間、正しい指導者、そして何よりも皆さんの向上心に依存します。
気持ちを大切に、ゲーム業界を目指し、プロとして活躍する目標を達成してください。