能登 久仁 CGイラスト メイキング
2006年3月に卒業した能登久仁氏。「学院に通って大きく変わったことが2つあります。」と目を輝かせながら語ってくれました。
1つは、プロからのアドバイスを意識して描き続け、習得出来た「基本画力の向上」。そしてもう1つは、趣味ではなく仕事として作品を仕上げるという「プロ意識の目覚め」とのこと。
今回ご紹介するCGイラストのメイキングから、是非、緻密な技を参考にして下さい。
■能登久仁氏からのメッセージ
天使と悪魔ってモチーフが結構好きなので、それを出せるテーマは何かな?と考えて「善と悪にゆれる少年」に決めました。二人はこの絵の場合、理性と誘惑を擬人化したものなので、誘惑である悪魔はセクシャルなおねえさん風で思わずついて行きたくなる様に。良心である天使はいつもガミガミうるさいけど憎めない清楚な魅力がでるように。と実際の感情と照らし合わせてデザインしてみました。中央の少年の表情や心の動き具合と一緒に観てもらえると嬉しいです。
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その1 ラフ・ラフ修正 |
(1)
ラフの作成。 「天使と悪魔の両極端な意見に迷う少年」というテーマに決定。 大まかなイメージ、完成までの道しるべとしてラフを描いていく。(2)
ラフの修正。 ラフ案のままでは、細部に甘い部分が多いので、構図やデザインなど全体の流れを見ながら修正していく。その2 線画・下塗り準備 |
(3)
線画を描く。 ラフ修正のトレスをする。この時点ではあまり細かい線は引かず、重要な線だけを描いていく。(4)
作業をスムーズに進めるため、塗り始める前に、キャラクターのシルエットだけの選択を作り、この範囲外には塗らないようにする。その3 レイヤー分け・塗り |
(5)
レイヤーを髪、肌、服などに分け、パーツ別に色を塗り分ける。あまりレイヤーを増やすのは好ましくないので最低限にとどめる。(6)
塗り[レイヤー 肌] 始めに肌を塗る。肌の塗りは他の部分の基準にするつもりなので、光源を考えながらしっかりと塗っていく。(7)
塗り[レイヤー その他の部位] 基準として塗った肌に、トーン、コントラストを合わせながら大きいパーツ→小さいパーツの順に塗っていく。その4 塗り(ハイライト |
(8)
化粧をするつもりでハイライト等を上から重ねて、絵を引き締めていく。 (ハイライトを入れる前)ハイライトを入れた後、目元部分が引き締まっている。
その5 仕上げ |
(9)
全体を見て、人物が背景に馴染むように淡い色で人物を背景に溶け込ませていく。 全体を見て、背景と人物をどう馴染ませていくか考える。背景の色、服の色など全体のバランスを見て、全てが馴染むように淡い色で仕上げていく。
その6 調整・完成 |
(10)
仕上げの調整をする。 最後にイラストの質感を変えるためにノイズを加える。手順は塗りのレイヤーを一つに統合し、複製を作りノイズフィルタをかけソフトライトで上から重ねる。(11)
色味調整で色味を調整して完成。メイキングは参考になりましたか?「自分の絵を世の中の人に見てもらって親しみを感じ、喜んでもらい、そして覚えてもらいたいです。」と夢を語り、見事実現している能登氏。今後の彼の活動に、ますます目が離せません。
[PROFILE]
能登久仁(のと・ひさひと)
1985年生まれ。2006年アミューズメントメディア総合学院キャラクターデザイン学科を卒業後、ゲーム開発会社勤務。日常では、紙に筆を走らせている時間が一番幸せだという、猫好きのクリエイター。最近では、イラストレーションだけでなく、アニメーションや立体物の制作にも手をだしている。