2006年3月にアミューズメントメディア総合学院を卒業し、現在はフリーのイラストレーターとして活躍する得能正太郎さんを講師に招き、特別講義を開催しました。
得能さんは卒業後ゲーム会社に就職し、そこで3DCGのキャラクターデザインや背景などを担当する傍ら、富士見ファンタジア文庫『銀月のソルトレージュ』、講談社ノベルス『箱の中の天国と地獄』などのカバーイラストを担当しました。2008年からフリーのイラストレーターとして活躍しています。
最近では、AMG産学共同カリキュラムの一環として製作されたゲーム『PRiGLA』のメインイラストを担当しており、その実力を惜しみなく発揮して頂きました。
この日は、得能さんによる『PRiGLA』ができるまでを解説していただく講義と、学生たちから集まった質問に答えていただく講義との2部構成の講義となりました。『PRiGLA』に登場するキャラクターのラフから初稿、完成までを時系列に追って見せていただき、1つのキャラクターが完成するまでの過程を学生たちにもわかりやすく解説してくださいました。
こちらでは当日の様子を一部ご紹介します。
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『PRiGLA』のキャラクターができるまでを、実際のラフなどを交えて解説してくださいました
得能さんは現在、フリーのイラストレーターとして活躍されていますが、フリーになろうと思ったのはいつ頃でしたか?
僕の場合はもう高校生くらいの時からフリーになりたいと思っていました。
ただ当時はまだフリーになるほどの実力もなかったので、より実力を付けるにはどうすべきかを考えました。
―それで就職の道を選んだのですね。
そうですね。大好きだった「絵を描くこと」でご飯を食べていくことを考えたとき、ゲーム会社に就職することが自分の中では一番現実的な選択肢でした。ゲームは自分自身も小さな頃から大好きだったこともあります。
就職すると決めたとき、業界との太いパイプを持つAMGにいたことで有利に就職活動を進められました。
そしてAMGを卒業してゲーム会社で働くようになったわけですが、その当時のお話を聞かせてください。
会社で働くことで、本当に多くのことを学べたと思います。
会社には、すごくうまい人がたくさんいて、そういう人の作品を日常的に見ることができるだけでなく、それと同じクオリティラインを目指ししてものを作ることになります。
そんななりゆき上、日々研究することが日常になるのでとても勉強になりました。
―具体的には、どんな仕事をしていたのですか?
ゲーム会社での仕事について興味深く
聞き入る学生たち
ゲーム会社での仕事は、2Dのデザインイラストを描いて、それを自分で3D化することがメインでした。
3Dにするには当然360度のどの方向から見ても整合性のとれることを意識しなければなりません。正面の絵を描きながらでも、例えばそれを45度回転させたときはどんな形になるか?を常に意識しないといけないので立体を意識して描くという癖はついたと思います。
あと3Dはコピーを多用することが多いので、絵の方でもわからないようにコピーする能力は凄くつきましたね(笑)。
そしていよいよフリーランスの道を選んだわけですが、フリーの場合スケジュールの管理が肝心になるかと思います。得能さんはどのようにスケジュール管理をしていますか?
僕の場合は日数単位で計画を立てるようにしています。
そのためには、自分が一枚の絵を描くのにどれくらいの時間を要するかをよく知っておく必要があります。
僕の場合はだいたい2日間という目安があるので、仕事の締め切りとの兼ね合いを考えて、2日ずつ振り分けていくというやり方ですね。
―フリーになって仕事のやり方も変わりましたか?
はい、とても変わりました。第一にコスト感覚にシビアになりましたね。
フリーって単純に「絵を描くことを仕事にする」ということではあるんですが、これってつまり1人暮らしの最低単価の話でいえば「月平均で20万円を絵で稼がなければいけない」ということになります。
実は僕、フリーでこの仕事をやっていく上で自分の中でルールを決めているんです。
ゲーム会社時代にある一定額まで貯金をしました。フリーとして駆け出しの頃は、月々の生活費を稼ぐだけの収入が得られるかどうかが心配だったためです。
今は充分に生活をできるだけの収入をいただくことができていますが、もしこの貯金がなくなったときは、フリーランスの道を諦めてまた会社へ就職をするというルールを設けています。なので、割に合わない仕事ではないか?赤字になってしまいかねない仕事ではないか?というコスト感覚を持ったことが、会社にいた頃と一番変わったポイントですね。
絵を描く仕事をしていく中で、学生時代にコレをやっておいて良かったと思うことはありますか?
学生時代は、よく失敗ばかりして怒られていましたよ(笑)。でもその中で、僕は「人体」についてよく研究するようになりました。
人体って常日頃見ているものなので、なかなかこれだけは「覚えよう」と思わないと覚えられないものですよね。ひたすら骨の構造や筋肉の構造などを意識しながらスケッチを繰り返していました。
―それが就職してからもとても役に立ったのですね。
時に実演を交えながら教えてくださいました
はい。仕事をしていく中で気づいたのですが、やはり身体の構造を知っている人と知らない人とでは、キャラクターを作るスピードが違います。
例えば人間の手がどうなっているか、資料を見ながら描く人と頭の中に入っている人とでは、その時点で既に1段階分だけ速く描けるということになります。
ですので、学生時代から人体についてよく意識して描くようにしておくといいかもしれません。
最後に、AMGの後輩たちや、これからクリエイターを目指す皆さんへメッセージをお願いします!
僕のイラストレーターの仲間でも、フリーを目指している人はたくさんいます。
そういった人たちは毎日いくら仕事が忙しくても、それとは別で絵を描き、腕を磨いています。1つだけ確かなことは、描かずに上達した人はいない。ということ。目標を持って、それを諦めずに信じて「続けること」が大切です。
例えばそれが人より遅いこともあるかもしれませんが、ずっと続けていれば必ず目標に到達します。
どうか皆さんもがんばってください!
貴重なメッセージをありがとうございました。
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イラスト/得能正太郎
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