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「放送」と「制作」2つの側面からアニメを見る―アニメ『アイアンマン』特別講義

人気アメリカンコミックスとして話題となり、近年実写映画化され、そのヒットも記憶に新しい『アイアンマン』。そのTVアニメ版がいよいよ完成し、2010年10月よりアニメ専門チャンネルANIMAXにて放送がスタートしました。

今回は、アニメ『アイアンマン』にて監督を務められた佐藤雄三氏と、同作品を世界で初めて放送する、日本のアニメ専門チャンネルANIMAXを運営する、株式会社アニマックス ブロードキャスティング・ジャパンより、滝山雅夫代表取締役社長にお越し頂き、特別講義を開催しました。

■第1部 「放送」の側面から見た『アイアンマン』 ANIMAX・滝山雅夫氏

―アニメ専門チャンネル「ANIMAX」について

「ANIMAX」より滝山雅夫氏がご来校。
アニメーションを「放送」の側面から講義頂いた

スカパー!やケーブルテレビを通じて放送されているアニメ専門チャンネルANIMAX。多チャンネル放送が視聴できる世帯が国内で1100万世帯ある中、ANIMAXはなんと865万世帯で視聴が可能で、CS放送チャンネルの中で視聴世帯数は堂々の第1位です。

このように、視聴者のニーズが多様化する現在は、有料チャンネルでアニメを視聴する人も増えてきており、近い将来みなさんがアニメ制作の現場に入ったときには、恐らくその数はもっと増えているでしょう。
今日は、そんなアニメ専門チャンネルの代表的存在であるANIMAXについてお話します。

私たちANIMAXは株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの一部門として、人気アニメを24時間365日放送しています。ソニー・ピクチャーズに加え、『ドラゴンボール』『ふたりはプリキュア』などでお馴染みの東映アニメーション、『ガンダム』や『ケロロ軍曹』のサンライズ、『ルパン三世』『名探偵コナン』のトムス・エンタテインメント、『キテレツ大百科』『テニスの王子様』などの製作を行った日本アドシステムズ、これら大手4社からの出資によって構成され、これらの企業が制作したアニメーションも放送しています。
これだけ多くの魅力的な作品を持つスタジオとタッグを組めたことで、大人から子どもまで実に幅広いアニメファンからANIMAXを支持して頂いています。

―アニメ制作の現場で働くことは、今や世界に作品を発信すること

大人から子どもまで、幅広いアニメファンに支持されるANIMAX。しかしアニメファンはなにも日本国内だけにいるものではありません。
ANIMAXは世界中のアニメファンに魅力的な作品を届けるべく、現在では60カ国、15言語で放送しており、視聴世帯数は全世界で6000万世帯にも及びます。

アニメーション学科のみでなく、ゲーム系学科の
学生も聴講に駆けつけるなど、関心の高さが伺える

これは何を意味するのか。
アニメーションはもはや日本を代表する文化産業の1つとなり、世界中から注目を集めています。ANIMAXはこれからも日本で作られたアニメを世界中に積極的に発信して行こうと考えています。つまり、みなさんがアニメ制作の現場で働くということは、世界中のアニメファンを相手に作品を制作するということです。

これまで有料チャンネルの代表格と言えば「MTV」や「ディズニーチャンネル」、「CNN」など、アメリカから世界へ発信されるものがほとんどでした。しかしANIMAXは、みなさんのような若いアニメクリエイターの方々と、日本から世界へと文化を発信するチャンネルとして更に進化していきたいと考えています。

―人気アメリカンコミック『アイアンマン』を放送するまで

2008年に実写映画化されヒットした人気アメコミ『アイアンマン』が今度はTVアニメとなり、2010年10月よりANIMAXにて初のオンエアーがスタートしました。
『アイアンマン』はもともとアメリカのマンガ出版社・マーベルの出したコミック作品で、マーベル社は他にも5000を超えるキャラクターを生み出して来ました。

そのマーベル社とANIMAXの繋がりは、8年前にまでさかのぼります。
8年前、ANIMAXの親会社であるソニー・ピクチャーズがマーベル社の人気コミック『スパイダーマン』を実写映画化したことからマーベル社との関係が始まりました。

他にも『パニッシャー』『ゴーストライダー』など、マーベル社の人気コミックをソニー・ピクチャーズが次々と実写映画化していきました。

マーベル社は日本を代表するアニメ制作会社、マッドハウスに制作を依頼し、放送はソニー・ピクチャーズグループのANIMAXで行うという、それぞれの得意分野を生かすトライアングルを描く形で、『アイアンマン』のTVアニメ化が実現しました。

皆さんも耳にしていると思いますが、日本では今、DVDの売り上げ枚数の低下や少子化が問題になるなど、アニメ業界にとっては決して楽な状況ではありません。
そんな今だからこそ『アイアンマン』の例のように、国境さえも越えてそれぞれの得意分野を活かしながらタッグを組み、日本で生み出される素晴らしい作品たちをどんどん海外に発信していきたいと思っています。

みなさんにはこれからも、この日本の素晴らしい文化であるアニメを一生懸命勉強して頂き、今度は同じ業界で働く仲間同士としてお会いできるのを楽しみにしています。


◆        ◆        ◆      ◆


滝山氏に続いて、今回TVアニメ版『アイアンマン』を制作した株式会社マッドハウス佐藤雄三監督より、制作サイドから見た『アイアンマン』についてお話頂きました。

■第2部 「制作」の側面から見た『アイアンマン』 マッドハウス・佐藤雄三監督

―『アイアンマン』のアニメ化の監督を務めることが決まった時、どんなお気持ちでしたか?

『アイアンマン』制作時の
エピソードを話す佐藤雄三監督

アメコミが原作のヒーローもの。
それもアクションもの。アニメーターとしてこんなにやりがいのある作品はないと感じました。同時に、新しい試みを試すことができる作品だと感じました。

 

―新しい試みとは、どんなものですか?

主人公のアイアンマンは3Dで、それ以外のキャラクター(人間)の部分を2Dで表現する手法です。この手法を使うことで、フル3D作品とは違った、日本のアニメーション特有の温かさを併せ持った3D作品になっています。3Dオペレーターのトップを務めてくださっている方も日本のアニメーションが大好きな方で、今回の『アイアンマン』は1つの新しいアニメーションのあり方に挑戦した作品になっていると思います。

―では、早速ストーリーの中身についてお聞きしたいのですが、以前公開された実写映画とは設定や背景は違うのですか?

はい、実写映画をそのまま単純にアニメにしたわけではありません。アイアンマンに変身する主人公のトニー・スタークをはじめ、登場するキャラクターはほとんど一緒ですが、今回はそのキャラクターたちが日本にやって来るところから物語は始まります。

―日本が舞台となるわけですね。『アイアンマン』と言うとどうしてもアメリカの作品というイメージが強いのですが、今回は舞台も日本。制作しているマッドハウスも日本の制作会社ですよね。アメリカと日本の合作となるわけですね。

そうですね。ただ、昔から作られてきた日米の合作作品と今回の『アイアンマン』の制作スタイルはまったく違っていて、今回アメリカで作られているのは原案だけです。構成もシナリオも日本のスタッフが担当していて、絵コンテや演出もすべて日本で作られています。そればかりか、キャラクターデザイナーも作画監督もすべて日本人で、もはやかつての“合作”から連想されるイメージではなく、限りなく“日本のアニメ”と言った感じですね。それでいてアメリカンヒーロー特有のテンポの良さを入れてみたりして、まさに良いトコ取りでボリューム満点の作品になっています!

―アメリカンコミックのヒーローが、日本にやって来るという設定において、苦労した点や興味深いエピソードなどがあれば教えて頂けますか?

今回は、シリーズでアイアンマンがいつも戦っている悪の組織“AIM”の枝分かれ部隊が日本にあるという設定でアイアンマンが日本にやってくるのですが、当然日本の研究員や自衛隊、政治家などとも絡み、アイアンマンが日本社会に入り込んでいくリアリティが必要になります。

学生からの質問にも快く答える佐藤監督

実際に本編中の街並みにリアリティを出そうと思い、日本語の看板を登場させました。すると商標登録の問題が発生することや、その後に作品を世界展開(放送)させる上で不利になってしまうという理由からNGが出てしまうことがありました。

また、作品中に横浜が舞台となる箇所があるのですが、中華街を登場させようとしたら「日本なのに中華街が出てくるのは、外国の人が見た場合わかりづらいのでは?」という指摘が入ったこともあって、日本国内の展開だけでなく、世界という市場を想定してアニメを作るときは、普段以上に大きな視点で物事を考えるようにしてアニメを作って行く必要があると感じました。

―『アイアンマン』をはじめ、人気キャラクターを多く持つマーベル社ですが、今後マーベル社の作品を手がける予定はありますか?

はい、あります。『アイアンマン』の次は『ウルヴァリン』を、続いて『X-MEN』『ブレイド』をそれぞれ12話のアニメーションとして展開していくことが決定しています。

マーベル社の作品には、ある作品に同じマーベル社の他の作品の主人公を少しだけ出演させるという演出があるのですが、『アイアンマン』にも少しだけ『ウルヴァリン』が出演するところがあります。詳しい部分まではまだ決まっていませんが、今後手がけるマーベル社原作の作品にも横断的に他の作品の主人公が登場予定です。ストーリーはもちろんのこと、そういう楽しみ方もできる作品になると思うので『アイアンマン』はじめ今後の作品もぜひ楽しみにしていて下さい。


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アニメが制作されてから放送されるまでの間には、実に多くの人や企業が関わっています。アニメクリエイターを目指す学生たちにとって、制作時のエピソードなどはもちろんのこと、制作された作品と視聴者とを結ぶ「放送」の側面からアニメーションを考える大変貴重な講義となりました。

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