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『スパロボ』シリーズの作り方教えます!

021.jpg 講演では、『スパロボ』シリーズを例に、ゲーム開発のプロセスやノウハウを具体的に解説。人気タイトルの制作のウラ話が聞けるとあって、受講者たちも興味津々だった。

講演の最後には、これからゲームクリエイターを目指す人へのメッセージも。「ちゃんとあいさつができて、人としゃべれることが大事。それだけで人の印象はよくなる。あとはとにかく体力勝負!」とのことでした。


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■本当は『スパロボ』は作りたくなかった(笑)

実は、僕が大学生のころ一番就職したかったのは、ガンダムのプラモデルを作っているバンダイさんのホビー事業部だったんです。ところが採用試験で早々に落ちてしまった。そこで「ファミコン世代でゲームにも興味があるし」と考え直し、ゲームの会社に絞って就職活動をすることにしたんです。

とはいえ文系で、プログラムが組めるわけでもなく、絵が描けるわけでもなかったので、就職活動ではひたすらやる気だけが売りでした。面接に行くと持ち込んだ企画書なんてまったく見てもらえずに、「ゲーセンのスタッフだったら入れるよ」なんていわれたものです。それでも、どうにか大手メーカー数社から内定をもらえたのですが、あくまで営業職での採用。少ないながら転属の可能性もあるとはいえ、さすがに厳しいかなと思っていました。

そんななか、唯一企画書を見てくれたのがバンプレストでした。当時のバンプレストはまだ小さな会社で、親からも反対されたのですが、「小さくても開発として採用してくれるところに行きたい」という気持ちが強かったので迷いはありませんでした。
親も最後には、「親会社のバンダイと“バン”は一緒だから」という訳のわからない説得で承諾してくれました(笑)。ちなみに僕がバンプレストを受けた頃、すでに『スパロボ』シリーズはあったのですが、面接で「『スパロボ』をやりたい」と言ったら不採用だったそうです。これは今でも同じだし、他の会社にもいえることだと思いますよ。
「それはそれでいいけど、別のこんなゲームを作りたい」っていう人じゃないとね。

当時のバンプレストでは、制作はほとんど外注でしたから、社内にはプロデューサーしかいなかったんです。だから、入社したら即プロデューサー。普通は5~6年かけてだんだん上にあがっていくんですが、いきなり目標が達成されてしまったわけです。でも、新卒でプログラムの「プ」の字も知らないわけですから、開発会社とのやりとりなんかでは大変な苦労をしましたね。

当時は、特撮もののゲームを作りたいと思っていたんですが、なぜか『スパロボ』を作ることになってしまいました。横で見ている分にはいいけど、作ると大変な作品だっていうのはわかってたんで、本当はあんまりやりたくなかったんですけどね(笑)。

■バンプレソフトのグラフィッカーはわずか十数人!

僕が今所属しているバンプレソフトは、『スパロボα』のときに、制作を内部でやろうということになって立ち上げたバンプレストの子会社です。人数は50人ぐらいで、『スパロボ』シリーズの開発チームと、それ以外のソフトをプロデュースする企画チームに分かれています。そのうちグラフィッカーは十数人で、ほとんどがドット絵の職人ばかり。よく人数が少ないと驚かれるのですが、スパロボのグラフィックはだいたいこれぐらいの人数で回しています。

1本の作品を開発するのには、PS2だと2年から3年ぐらい、携帯ゲーム機だと1年から1年半ぐらいかかります。年間にだいたい4本をリリースしますから、常時4本の開発ラインが走っている計算です。作っている人数も開発期間も限られているのですが、ユーザーさんの要求は年々あがってきており、それに応えるのが大変ですね。

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©BANPRESTO 2004
●タイトル:スーパーロボット大戦
ORIGINAL GENERATION2
●対応機種:GBA
■『スパロボ』プロデューサーの仕事とは?

ひとくちにプロデューサーといっても、口がうまいとか、カリスマ性を持っているとか、いろんなタイプがいると思います。でも、プロデューサーとして必要な資質は何かと聞かれたら、僕はまず「上手く嘘がつけること」を挙げますね。ディレクターはまじめで実直じゃなきゃいけないんですが、逆にプロデューサーは嘘を上手くつけないとなれない。売れるか売れないか確証がないものを「売れます!」と言って周りや上を説得し、開発を進めなければなりませんからね。良くも悪くも、「どこまでスタッフをだませるか」は、プロデューサーに求められるひとつの能力なんです。

そもそもプロデューサーの仕事って、たとえば対外的な交渉とか調整とか、予算の管理とかいったことがメインで、開発という仕事の中ではけっして「主流」ではないんです。だから、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けるし、いいかげんでもできる。もちろんその反対に、やろうと思えばいくらでもやれるんですけどね。

僕が普段、開発のスタッフに出している指示も、端から見ればかなりいいかげんに見えると思いますよ。「そこもっとかっこよく!」とか「これもっとバーンと!」なんて指示しか出してませんから(笑)。でも、作品の全体的な方向性を決め、最終的に作品をどう仕上げるか、どう売っていくかを決めるのはプロデューサーの重要な仕事です。僕もその時はちゃんと指示を出してます(笑)。

■ゲーム制作はスタッフが命!

『スパロボ』シリーズの場合、これまでのシステムの積み重ねがあるので、一から作り直すことはあまりないのですが、「第2次α」の小隊システムのような新しいものを導入するときは大変。そんなときに活躍してくれるのがディレクターです。プロデューサーのアイデアを聞いて、きちんと仕様書にまとめあげてくれる。また逆に、現場からあがってくる意見をまとめてくれることもある。そうやって、ディレクターが理詰めでものを考えて、周りを動かしていくわけです。ですから、実はゲームの善し悪しの大部分は、プロデューサーではなくディレクター決まるんですよ。もちろん、プログラマやグラフィッカー、サウンドのスタッフも重要です。彼らがいなければゲームはできないんですから。だから、現場は絶対に大事にしないといけませんね。

開発が佳境にはいると休日出勤とか泊まり込みとかあるんですけど、僕はなるべくみんなと付き合って会社にいるようにしています。まぁ、自分の仕事が忙しいからというのが本当の理由なんですが(笑)。でも、佳境なのに家でのんびり休んでいて、休み明けになったら「ちゃんと仕事してたか?」みたいなことは言いたくない。それが許されるのは僕より上の立場の人や自分の仕事をきちんと予定通り進めている人。もちろん会社にいなくてもちゃんとプロデュースをする人もいますが、僕は現場主義。例え会社にいなくても「お呼びとあらば即現場に参上」という姿勢は大事だと思うし、いいものを作ろうとするスタッフの意気込みは現場で感じていたいですからね。

[PROFILE]
032.jpg寺田貴信[てらだ・たかのぶ]
(株)バンプレストを経て、現在はバンダイナムコエンターテインメントグループ 株式会社B.B.スタジオ所属。『スーパーロボット大戦』シリーズのプロデューサーとしておなじみ。

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