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上月 司 「お互いに批評しあえる学院での生活が作家としての僕をつくった。」

電撃hp8月号に掲載された上月司先生との卒業生&在校生座談会です。
誌面ではお伝えしきれなかったアツいトークをご覧あれ!

■小説家というお仕事について

――今日は小説家という職業について、いろいろとお伺いしたいと思います。まず、上月先生は、一日に何時間くらい仕事をしますか? また、仕事の時間帯は決まっていますか?

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上月:まぁ、締め切りなどの状況にもよるんですが(笑)。
でも基本的に時間帯は夜から明け方にかけてですかね。半日位は仕事をしていますが、原稿を書いているのって、実家の自分の部屋なんですよ。で、ベッドに腰掛ける感じで書いてるんですけど、起きてパソコンのスイッチ入れて、そのまましばらくほったらかし(笑)。仕事を始めても途中で本を読んだり、ゴロゴロしてしまうことが多いんですよね(笑)。だから、密度的に考えてみると、たぶん3、4時間位だと思います。

――ご実家の自分の部屋でお仕事をされているということは、オン・オフの切り替えは?

上月:まったく無いですね(笑)。仕事をしてるのか遊んでいるのか、わからないです……。でも、基本的にボクが作品を書く時って、ネタ出しを終えた後で、書くことは決まっているんです。だから、書けない時はマンガや小説を読んでもいいかなって思うんですよ。で、気が乗ってきたら書くか……みたいな感じで。オン・オフも無く、仕事時間を長めに取ってダラダラやるのがボクのスタイルなんだと思います。

■小説を書くことで必要なこと

――小説を書くうえで一番、苦労されることは?

上月:ボクは文章にこだわりが少ないほうだと思います。でも、自分の頭の中では見えている場面なのに、ぴったりくる言葉が出なくて、書けないまま2、3日、どうしよう、どうしよう……ってなることもあります。
加えて現実問題として締め切りがどんどんと迫ってきて、追い詰められてしまって……その状況が一番キツイですね。間に合わせるためには、どう乗り越えるかっていうことが課題ですね。
聞いてみると、作家さんによっては言葉が出てこない場面は飛ばして、他の場面を書く方もいらっしゃるようですが、ボクはそれができないんですよ。頭から最後まで書かないとダメなタイプなので、ハマると本当に困ります。

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――お仕事をされていてスランプだなあと思うことはありますか?

上月:じつは、あんまりないんですよ。単純に集中力がないなと思う時はありますけど、それはスランプとは違いますしね。ネタ出しとかで苦労はないですね、今は。

――その集中力がわかない時は、どうやって克服するんですか?

上月:締め切りが迫っている時は仕方なく、パソコンを見つめますが、そうじゃない時は本やマンガを読んだりしてますね。
面白いものを読んでいるとテンションが上がって、沸いてくるもの(アイデアなど)があるんで、「よし、やんなきゃ!」って思います。特に新人賞を取った面白い作品を読むと、「あ、追い抜かされてしまう」って危機感も生じますしね。そうやって自分で自分を鼓舞していますね。

――小説のアイデアは、どんなところから生まれるんですか? そのために何かしていますか?

上月:基本的にアイデアって、今までの蓄積だと思うんです、ボクは。考えるとしたら、ボ~っとできる時間帯に考えるようにしています。

――キャラクター構築のために大切にしていることはありますか?

上月:自分のキャラクターを作るときは設定を挙げていくだけではなくて、小説とは関係ない部分で「彼はこういう時には、こう動くんだろうな」とか「他のキャラクターと会話したら、こんなふうに応えるんだろうな」みたいなことを考えるようにしています。
不思議なもので、自分の理想の好きなキャラって、なかなか思うように書けないこともあるんです。“思い入れ”がそうさせるのかもしれませんけど。
そういうときには諦めて、全然、違うキャラにしようと思うこともあります。

――選びにくいと思いますけど、ご自身が考えたキャラクターで一番、好きなのは誰ですか?

上月:好きっていうか、作品の中で動かしやすいのは『カレとカノジョの召喚魔法』では伊沢怜です。たぶん、何でもできるわりにはふざけてんのか真面目なのかわからないキャラなので、無茶なこともさせられるからでしょうね(笑)。主人公じゃないけど信頼のおける存在っていうのかな。逆に登場させたものの、扱いに困ってしまうキャラクターもいますが(笑)。

――在校生:初めてご自身の本が発売された時の感想は?

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上月:まず、発売前に見本誌が十冊、届いたんですね。それで、その十冊を並べて放心してました(笑)。
その後、挿絵を見て、あ、こんな風になってるんだぁって感動しましたね。そして、まだ一般には発売されていないから「ボクはこんな本を持ってるんだ!」って優越感に浸ってみる、みたいな(笑)。
自分で書いたので、もちろん内容を知っているワケですけど、あらためて読んでみると、「中盤、ダルいな」みたいな反省もありましたね。……なんて言うんでしょうか、書き終えて入稿してから製本されるまで三ヶ月位経っていて、一作目が届いた時には2巻の作業が終わっていたんですね。だから、その段階で読むと、「あぁ、このページ、削ればよかった」みたいな感想を持ちました。でも、その中盤を過ぎた頃からは、自分で書いたものですけど、あぁ、面白いなって思いました。それは、やっぱり、自分が一番、好きなように作っているんで、僕には面白いワケですよね。

■小説家になってみてあらためて思うこと

――小説家になって変わったことはありますか?

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上月:う~ん……。取り巻く環境ですが、基本的に昔から住んでいる家で書いているので、その点には変わりはないんですよね。
……あ、でも本は増えたかな。学生時代はお金がないから手に入らなかったような本も、いまでは買うようになりましたから。
実はボクの部屋、本棚が無いんですよ。なので、アマゾンから届いた本を箱に入ったまま放置しているという状況です(苦笑)。だから部屋の有効面積はデビュー前に比べたら半分位になってしまったかも……。

――小説家になることに同居しているご家族や周囲の友達は反対しませんでしたか?

上月:我が家は基本的に甘いんで大丈夫なんですけど(笑)将来の面倒は見てもらえないかわりに、やりたいことはやっていい家庭でした。
いまでは読まなくていいって言っているのに、ボクの作品を読んでるんですよ(笑)。そして「ここがダルい」とかダメ出ししています。さらに、他のライトノベルを読んで「あんたもこういう作品を書けばいいのに……」という非常にありがた~い(笑)アドバイスをしてくれます。
あと友だちには、デビューが決まってから言ったら、「本当に?」、「それ、夢じゃないの?」といった疑惑の目で見られました(笑)。それで、実際に作品を見せたんだけど、ボク、ペンネームでしょ? だから「これは本当にオマエなの?」って、さらに疑われました(笑)。いずれにしても、心配はされましたが、反対はされませんでしたね。

■小説家になるためには、どんな勉強が必要か?

――AMGで学んで良かったと思うことは、どんなところですか?

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上月:ボクの場合は“このジャンルが好き!”という意思があって入ってきたんですけど、好きなジャンルがあると、そのジャンルしか書かないじゃないですか? でも、学校ということで課題がありますよね。その課題には自分の得意ではないジャンルもあるわけです。でも、課題だからやらなくてはいけない、というところでイロイロなジャンルの小説を勉強できることじゃないですかね? 自分の中にないものに触れられるのは、すごく良かったです。今までのやり方ではないことを勉強できるのは、確実にためになります。意外な発見とかもあるし、自分の奥行きが広くなる感じですね。それに、もしかしたら学校で初めて触れたジャンルで自分に合うものを発見できるかもしれないし、あらゆるジャンルの作品に出会えるのは、学校で学んで良かったことです。

――小説家になるためには、学校以外では、どんな勉強をしたら良いのでしょうか?

上月:本は多く読むに越したことはないと思いますが、ジャンルによりますよね。
たとえば、ライトノベル作家を目指していても、一般のミステリーやサスペンスものを読んでいると、表現などとてもスゴイものに出会えます。でも、その表現方法って、ライトノベルに直すと、中学生には難くて読めないということもありますからね。だから、読むとしても、自分のジャンル(ライトノベル)の読む側の立場に立って噛み砕いてみることが大切ですよね。つまり、読者層を意識して、その立場になって物事を考えることが大切だと思います。ライトノベルって文字通りライト、軽い小説なので、中高生でも分かるように、その立場になって考えられるようにならないと。

――在校生:読者層の中高生のカルチャー(文化)は意識されますか?

上月:彼らの間で流行っているゲームとか、やろうと思いますし、流行っている、つまり、中高生の間で売れている小説とかは広く読もうと思います。

――ちなみに、どんな本をお読みになりますか?

上月:まず、同業種のライトノベルは話題作など必ず読んでみようと思いますし。賞を取ったものもですね。
あとは雑多に読んでます。一般文芸に関しては逆にどれを選んでいいか分からなくなるんで、他人に薦められたものを読むようにしています。

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――在学中に“こういうことを経験しておいた方がいいのでは?”ということはありますか?

上月:いろんな人に言われると思いますけど、とりあえず学生のうちに恋愛経験はしておけと(笑)。冗談はさておき、バイトとか、友達と芝居を観に行くとか、何でも経験しておいたほうがいいですよね。それがストーリーやキャラクター作りのアイデアになったりすると思いますから。小説を書くって自分の幅を広げることが大切ですから……。

――新人賞を取るための傾向と対策は、どのように考えたら良いのでしょうか?

上月:その賞によってやり方は変わりますよね。僕の場合はHPの短編小説賞だったので、短編だからやれることは限られていて。さらに応募作もイッパイ送られてくるワケですね。だから、とりあえず冒頭で何かをやっておかないと、これは目にも留めてくれないなと思ったので、冒頭の部分にとりあえずインパクトを持ってこようと思ったんです。あとは、やっぱり、タイトルは奇をてらうのではなく、分かりやすいように。でも、多少のひねりを加える、ということですかね。あと、あらすじは、面白い部分を抜粋して書く、凝縮して書くというのが僕のやりかたでした。

――最後に、小説家を目指している人たち、AMGに興味を持っている人たちにメッセージをお願いします。

上月:学校生活は2年間あります。とても短い期間ですよね。だから、2年間は書くことに集中すること、ですかね。そして、その2年間に友達を多く作ることです。友達が多い、イコール話し相手がイッパイいるという環境は、自分にないアイデアを持っている人達に触れ合えるチャンスですから。そういう交友関係を大事にしながら2年間、頑張ってみませんか?

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[PROFILE]

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©上月 司/アスキー・メディアワークス、
イラスト/むにゅう(電撃文庫)

2004年10月に「カレとカノジョと召喚魔法」(電撃文庫)にてデビュー。
同シリーズは6巻まで刊行されて好評を得る。
現在「れでぃ×ばと!」シリーズが12巻まで好評発売中!!
2004年3月卒業。














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