長年ご指導いただいている先生、学生たちから人気の先生など、AMG「名物講師」にインタビュー。エンタメ業界のプロとして、若い世代を育てる講師として活躍する先生方のパーソナルな一面をお届けします。

プロフィール
ゲーム開発の他に、NHK、NTT docomo、MAZDA、三菱自動車、トヨタ、カネボウ、アリコジャパン、日本コカ・コーラ、アサヒビール他多数の広告制作を手掛ける。音楽アーティストのグッズ制作も行うなど、イラストレーター、デザイナーとして幅広く活躍している。
他、多数
担当学科/科目
・アニメ・ゲーム3DCG学科
デザインアートワーク
AMG講師歴
第4期からだったと思います
好きなもの
漫画『うる星やつら』です。「実力ないのにプライド持つな~」というセリフがありまして、これをいつも自問自答しています。それから、最近はよく散歩に行き、港のコンテナや船が泊まっている風景を見るのが好きです
デイリールーティーン
特にありませんが、スキマ時間もイラスト系のツールを触っています
休日の過ごし方
休日も色んな制作を行っています
個人的に挑戦したいこと
挑戦したいことは常に実践しているので、あまりないかもしれません。
強いて言えば、「音楽」や「文章」など、別の表現方法の挑戦かな
一日のスケジュール
- 5:30
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起床
- 7:30
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出発
- 9:30
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AMGの講義開始
- 12:40
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AMGの講義終了
- 13:00
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事務所で仕事
- 19:30
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帰宅
- 21:00
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自宅の3Dプリンターでの印刷やメンテナンス
- 1:00
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就寝

INTERVIEW中島先生にとっての最高の娯楽「絵を描くこと」が仕事に繋がるまで
一ヵ月で100ページのスケッチ。絵を描くことは僕にとって最高の娯楽。
生まれは長野県で、幼少期は親戚の家で過ごしました。高校時代、クラスに絵が上手な子がいて、素人でもこんなに上手く絵が描けるんだと思ったことがきっかけで、絵に興味を持つようになりました。それからは朝起きてから夜寝るまでの間、ずっと絵を描いてました。ゲームセンターにスケッチブックを持って行って。当時、ゲームセンターって暗くて汚いイメージだったんですけど、隅のほうにある人気のないゲームはずっと席が空いているから、そこで黙々と絵の練習をしてたんです。
一冊100枚綴りのスケッチブックを、一ヵ月で全ページ埋めるという目標を決めて。手の描写だけでも40枚ほど描いたり、有名なイラストレーターの絵がたくさん載っている雑誌を参考にしながら、流行りの絵を真似たりしました。そうしたら100ページなんてあっという間で。絵を描いている時間が何よりも楽しかったんです。絵を描くことは僕にとって最高の娯楽でした。
仲間と支え合える環境で、マンガ家を目指した学生時代。
実は、僕は元々マンガ家志望だったんです。東京に出たいと思ったのは、マンガを描きたかったから。高校卒業後はエンタメ系の学校に通うことになりました。先輩である高橋留美子さんや、さくまあきらさんの講義を受けられるなど、有名なマンガ家を輩出している学校だったので、意識の高い仲間が多く、その頃は漫画家志望と原作者志望の友達2人と一緒にアパートを借りて住んでました。
全員マンガが好きなので、『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』を担当制で購入して、3人で回し読みをしていました。どんどん押し入れにマンガが積み上げられていくんですけど、紙って知らないうちに部屋にこもった湿気の水分を吸っちゃうんですよね。それですごく重たくなって、押し入れの棚が折れてしまい、大家さんにものすごく怒られたことがあります。漫画を描く机があるだけで他は何もない部屋なのに、とにかく散らかってましたが(笑)、そういうことも含めて懐かしい思い出です。
ちなみに、その時のメンバーは2人ともマンガ家、原作者の夢を叶えました。僕もマンガの仕事はしていたけど、一日に4本ネタを作らなきゃ仕事がまわらなくて、楽しい反面すごく大変でした。
イラストレーター、デザイナーとしての案件も増え、幅広い仕事を経験。「今も常に新しい表現を模索しています」。
学校を卒業してからは引き続きマンガを描いていましたが、当時からアナログとデジタルの両方で絵を描いていたので、イラストレーター、デザイナーとしての仕事が徐々に増えていきました。大手メーカーの広告やテレビCMなどの仕事にも深く携わっていたんですけど、企業名やタレント名はオフレコなので、経歴を書こうとすると、すごく地味になってしまうんですよね(笑)。他にも東京都の公共物やデパートのキャラクターデザイン、フィギュアを作って撮影をすることもありました。
元々マンガを描いていたので、昔は商品の企画や制作に取り掛かる段階でクライアントにデザイン案を提出するカンプライターという仕事もしました。それから、音楽業界との繋がりも深くなり、CDのジャケットやグッズの仕事も増えていきました。最初は、ミュージシャンのツアーパンフレットに漫画を描いて欲しいっていう依頼で、僕自身も音楽が好きなので、すぐに仕事を受けました。それからは、ミュージシャンのタオルやTシャツなどのグッズデザイン、ライヴで使用するバスドラム用のイラストやバンドのロゴのデザインをすることもありました。国内だけでなく、海外アーティストのグッズを手掛けることもあって、ツアー中も会場ごとにデザインを変えなきゃいけないこともあり大変ですが、僕自身も音楽が好きなので楽しいです。
僕は普段からIllustratorを触ってる時間が長いので、常に新しい表現を模索しながら、時短になりそうなツールの使い方を調べたり、仕事とは関係ない『余計なモノ』を作ったりしてます(笑)。デザインの仕事をして企業に確認出しをすると、返事を待っている時間が発生するじゃないですか。その間に、イラストのツールを使って出来ることを色々するんです。それから、家に業務用の3Dプリンターがあるので、スキマ時間で作った3Dキャラクターを出力してフィギュアを作るなど、色んなことをしてます。

INTERVIEW熱量の高い学生たちとの思い出を通して、みんなに伝えたいのは「もっと自由な表現」
仕事のやりがいは「喜んでもらえる成果物が出来たとき」。豊富な経験を活かし、AMG講師へ。
マンガ家からデザイナーになるまではずっと個人事業主でしたが、音楽事務所の系列のデザイン事務所に入社したり、自分でデザイン事務所を立ち上げたりしたこともあり、色々な経験をしてきました。デザイナーは基本的に裏方の仕事なので、クライアントの役に立てることや、デザインを担当したミュージシャンのファンの方に喜んでいただける成果物が出来上がったときは、仕事のやりがいを感じます。
AMGで講師を始めたのは、知り合いのデザイナーの方からのお誘いがきっかけでした。学校の先生を探していて、何人か候補の方もいるけど、一度絵を持ってきてほしいと言われて。作品を持参してAMGの方と話したら「ぜひ来週からお願いします」と。想像していたよりもすぐに話が決まり、気付けば何十年もAMGの講師をしています。
AMG生の熱量の高さに圧倒させられた日々。「ポートフォリオって、もっと自由で良いんだよ」。
他の学校で講師を務めたこともありますが、AMGの学生は本当に熱量が高かったです。僕が教え始めた頃は、まだAMGの実績も多くなかったですが、だからこそAMGを卒業して一旗揚げてやろうっていう学生が多くて。講師が圧倒させられるほど、自主的に学ぼうとする意欲のある学生ばかりでした。今では難しいですが、当時はアパートに15人ほど集まって夜中から朝までひたすら絵を描き続ける授業を行ったことがあります。また、学校に許可をもらって、夏休みの特別ゼミも開いてましたね。どちらも僕からの提案ではなく、学生からの強い要望があってのことでした。
数えきれない程のエピソードがありますが、ちょっと変わった特別なポートフォリオの作成を手伝ったことはよく覚えています。人気アニメのトータルデザインをしたいという学生がいて、そのアニメを作っている制作会社のロゴの作り方なども全て教えてほしいって言われて。完成したポートフォリオを企業に持ち込んだら、そのアニメの2期から制作に入れてもらえることになったんです。
また、志望するゲーム企業が明確にあった学生は、その企業で作ってるゲームのターゲット層と同様に、小さな子ども向けのゲームを作りたいということで、作品紹介だけでなく、1ページ目から全部ストーリーになっているポートフォリオを作りました。その結果、企業内定をもらい、嬉しそうに報告してくれたことを今でも覚えています。
そうしたエピソードもあり、今はA4のクリアファイルに出力したイラストを入れるのがポートフォリオの主流になっているけど、学生たちには今後も「自分の作品集なんだから、もっと自由で良いんだよ」って、伝えていきたいです。

INTERVIEWAMGアニメ・ゲーム3DCG学科の講師、中島先生の思い
学生ではなく、セミプロ。画力に加え、セルフマネージメントが大切。
学生たちには絵の技術だけでなく、課題に取り組む際の時間配分や段取りを意識しながら作品づくりができるよう、セルフマネージメントの大切さも授業の中で伝えています。AMGに入学してくる時点でプロを目指している人たちなので、僕たち講師も学生のことをセミプロだと思って接しています。だから、学校の課題として、ただ提出するだけじゃ駄目なんです。自分の作品に値段を付け、納期を守るのは本当に大切。在学中からプロ意識を高めていってもらいたいですね。
それから、クリエイターはアウトプットする職業なので、それをずっと続けていると中身がカラになっていきます。なので、インプットをする時間も必要です。20代の頃は一時期、美術館の年間パスポートを買って毎日行ってましたが、最近は僕自身もインプットの時間が減っているなと感じるので、増やしていきたいですね。
制作のモチベーションを維持するためには、早くカタチにすることが肝心です。ノープランで描き始めて、ただの作業になってしまうと成果も上がらないし、どうしても挫けてしまう。だから、最初にちゃんと完成までの道筋を立てて、自分で設定を決めていけば、絵を描くことがもっと楽しくなると思うんです。授業では、いくつかのツールを横断しながら素早く成果を出し、ブラッシュアップしていくことを目的としています。
夢に向かって頑張る学生たちへ
授業でもよく話してることですが、ちゃんとご飯を食べて身体が健康でないと、良い絵も描けません。AMGを選んだ時点で半分プロの世界に足を突っ込んでいるのですから、覚悟を決めてモノ作りをしてください。僕が人生において最も大切にしていることは、飽きても辞めないこと。諦めなければ、なんとかなるので。頑張ってね。
AMGからエンタメ業界に羽ばたいていった卒業生へ
講師をしていて最も嬉しい瞬間は、やはり卒業生が活躍してくれること。それに尽きます。みなさんちゃんと羽ばたいていると思うので、特に心配はしてませんが。
卒業して10年後ぐらいに「先生が授業で教えてくれたことの意味が、最近よく分かるようになりました」って、話してくれる卒業生がいるんですが、それで良いんです。いつか分かる時がくれば十分です。きっといつか皆さんも後輩に指導するようなときがくると思うので、良いバトンを渡してもらえれば素敵だなと思います。
そして、毎年お願いしてますが、有名になったらラーメンを奢ってください(笑)。