長年ご指導いただいている先生、学生たちから人気の先生など、AMG「名物講師」にインタビュー。エンタメ業界のプロとして、若い世代を育てる講師として活躍する先生方のパーソナルな一面をお届けします。

プロフィール
「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」他、多数の作品でのメカニカル作画監督をはじめ、「獣神ライガー」「機甲警察メタルジャック」など、数々の作品でキャラクターデザイン、作画監督を務める。
他、多数
担当学科/科目
・アニメ・ゲーム3DCG学科
[1年]作画技術Ⅰ・Ⅱ、3DアニメーションⅠ
[2年]作画技術Ⅲ、3DアニメーションⅡ
・アニメーション学科
[1年]作画技術Ⅰ・Ⅱ
[2年]作画技術Ⅲ、Ⅳ
AMG講師歴
第一期生からだから…もう30…ン年目
好きなもの
伝え切れない程たくさんあるので、直接聞いてね
デイリールーティーン
ストレッチ
休日の過ごし方
野球、ゴルフ、呑み
仕事は好きですが、遊ぶこと、お酒を飲むことが大好きです
個人的に挑戦したいこと
個人制作、スカイダイビング
一日のスケジュール
- 5:00
-
起床
- 7:30
-
出発
- 9:30
-
AMGの講義開始
- 17:00
-
AMGの講義終了
- 18:30
-
プライベート/仕事(講師以外の仕事)
- 00:30
-
帰宅
- 2:00
-
就寝

INTERVIEW「好き」と「得意」で選んだアニメ業界の道
様々なことに興味を持ち、夢を抱いた学生時代。でも、一番好きなのはやっぱり「絵を描くこと」だった。
内田先生「学生時代は体を動かすことが好きで、アクション俳優に憧れていました。JAC現名称:ジャパンアクションエンタープライズ)に入りたいと思い履歴書を送ろうとしたこともあったけど、身長が足りず断念したんです。大学生の頃、その事を知り合いに話したら、スーツアクターのアルバイトを紹介してくれて、遊園地やデパートで戦隊モノのショーに出演していました。
今でも休日には野球やゴルフをしてますし、いつかスカイダイビングにも挑戦したいと思ってます。でも、昔から一番好きなのはやっぱり『絵を描くこと』。漫画『デビルマン』の作者である永井豪さんの絵が好きで、子どもの頃からよく真似して描いてました。アクション俳優も、ですがプロ野球選手になりたいと思った時期もあり、将来の夢はたくさんあったけど、その中で選んだのはアニメ業界の道。絵を描くことが好きという気持ちに加えて、周りに一番評価される『得意なこと』でもあったからです」
「方法論や技術のコツを人に教えることが好き」。講師としてのキャリアも30年以上。
内田先生「18 歳の頃は大学に通いながらアニメ制作会社、日本サンライズで動画のアルバイトをしていました。仲間にアニメの専門学校に通ってる人もいたので、アニメーションの授業の話を聞いたり。社員として応募してくる人の作品などを見る機会もありました。その時、ポートフォリオの内容に疑問を感じて、『これなら自分が教えたほうが良いんじゃないか』と、もどかしさを感じていました。という思いが強くなっていた時期に知人から『指導者に向いていそうだから』と、AMG講師の仕事の依頼をいただきました。方法論や技術のコツを人に教えることが好きだったこともあり、気付けば講師歴も 30…ン年。AMGは第一期生から教えています」
AMGでの思い出も多数。人との繋がりを大切に、対話する時間が「本当に楽しい」。
内田先生「AMGでの面白いエピソードは、台風の影響で講師も学生も登校することができなかった日のこと。授業を諦めて教室に一人で居ると、服がびしょびしょの学生が4人、『なんとか登校できました』と、教室に現れたんです。でも、そんな状況では授業にもならないので、その日は結局、みんなで教室でハンバーガーを食べて帰りました(笑)。その時のことは今でも鮮明に覚えていて、思い出すとちょっと笑ってしまいます。それから、制作発表の上映会で、制作した学生らが感動して泣いてしまったことも良い思い出として残っています。
そういう瞬間を一緒に過ごした学生って、今でも付き合いがあるんですよ♪旅行に一緒に行ったりね。頑張っている卒業生、業界のトップランナー、昔からの仲間など、いろんな人と会話をするんです。そういう時間は本当に楽しいです」

INTERVIEW失敗を恐れず、経験を積み重ねることの大切さを説く
大変だけど、やりがいのあるアニメの仕事。「就職がゴールじゃない」。
内田先生「アニメの仕事は大変で苦しいことも多く、体力や精神力が重要です。そのあたりが強くないとなかなか続けられないかもしれません。でも、作品が完成したときの達成感、ファンの方に喜んでもらえることがすごく嬉しい。本当にやりがいのある仕事です。そしてなによりも、自分が好きでやっていることなので、自分自身がいつでもワクワクしてるんです。
40年以上アニメ業界にいますけど、いまだにね。専門の学校って、先生も学生もゴールが就職になってしまいがちで、近年はさらにそういう考えが増えているように感じるけれど、その後の方が大事!就職した後もずっとその業界で活躍していける力を育んでいく必要はあるし、プロの現場に入ってからも気力、体力、愛情を持って学び続けていかないと、技術面や人間関係などで、すぐにつまずいてしまいます。AMGの学生にはそうした壁を乗り越える力を今のうちから育んでもらいたいですね。そのために、私自身も指導者として重要な使命を担っているという意識を日々強く持っています」
個別指導を大切に。一人ひとりに合った指導を実施。
内田先生「一期生から学生たちを見ていると、いろんな変化を感じます。特に今時は『失敗したくない。恥をかきたくない』っていう気持ちが強い学生が多いかな。真面目であるがゆえに、挑戦する幅を自分で狭めてしまっている気がするんです。だから、指導の方法や学生にかける言葉も年々変えていかなければならないと感じています。
言葉ってすごく難しいですよね。共通の認識があれば良いんだけど、同じ言葉でも人によって全く違う捉え方になることもあるし、タイミングによっては傷つけてしまうこともある。だから、最初は学生一人ひとりの様子を観察しながら言葉を選ぶようにしてます。
ただ、面白いことに、お互いにどういう人間か分かってくると『もっと遠慮なく厳しく指導してください』って学生から言われることも多々あるんですよ。そこで大事にしているのが個別指導です。学習スピードも人それぞれだし、AMGは他校に比べて学校生活でも作品づくりでも自由度が高いほうだと思うので、一人ひとりに合った指導を行っています」

INTERVIEWAMGアニメ・ゲーム3DCG学科、アニメーション学科の講師・内田先生の思い
いろんな経験が作品に活かされる。誠意を持って努力することが大切。
内田先生「アニメの制作においてスキルを向上させるためには、色んなものを見て、体験するのが一番です。例えば、野球の漫画やアニメを描くとしたら、経験者と未経験者では描けることの表現や細かい部分での描写が少し違ったりしますよね。今は野球経験がない人でもYouTube等の映像を観て真似る事は出来ても投球やバッティングする際の理にかなった重心移動や腕の使い方への認識も違うと思うし、やっぱり色んな事を実際に経験してから描いた方が本当は良いと思います。
私自身も師や大先輩たちから、そう教えられてきました。だから、とにかく『いろんな事を体験しよう』というのは、日頃から学生たちにも伝えています。昔はよく卒業生達と一緒にスノーボード旅行をする事もありました。この時もアニメ制作の勉強と似ている部分があるんですよね。学生たちは初めて挑戦するスノーボードに対しては『転ぶのが怖い、痛い思いをしたくない』って普通は思うんです。これは、アニメの制作を始める前から『上手く描きたいし、恥もかきたくない』って思っているのと近い感覚だと思うんです。
私は時間が沢山あるのなら基礎の基礎からじっくりと始めますが、AMGでは2年。たった2年間で学生たちを業界に送り出さなければなりません。そうなると、最初は少しハードルが高い内容でも実践を交えながらしっかりサポートしてあげるかたちが良いのかな?と。スノーボードに例えるなら、ある程度角度のある斜面に早い内に連れて行き、まずは下からしっかりと支えてあげながら、止まる為のエッジの使い方を教える。無論、恐怖心という厄介なモノもありますが。経験豊富な人が色んな面での支えをしっかりとすれば安心感も生まれるかと。あとは自分自身が上達するために楽しみながらチャレンジし色々学ぶ。そうすれば大抵の事は出来る様になると思います」
夢に向かって頑張る学生たちへ
内田先生「楽しみつつ、自分を信じて突き進んでください。自分自身が勇気をもたなくては駄目です。『これだけ頑張ってる自分って最高だな』と思えるように、どんな些細なことでも良いから自分の強みを見つけましょう。小さなことでも、なにか一つ上手くいけば、そこから色んなことがハッピーな道へ繋がっていくはずだから」
AMGからエンタメ業界に羽ばたいていった卒業生へ
内田先生「卒業生に最も伝えたいのは『初心忘るべからず』。この言葉に尽きます。アニメの仕事がしたいと思ったときの気持ちを忘れず、なにごとも楽しみながら取り組んでほしいです。卒業生は学校にとって大きな財産。卒業生とAMGの繋がりがもっと深くなって、どんどん面白い事が出来たら、ワクワクするし、それを見た新しい世代の子たちも業界を目指せると思うんです」