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株式会社プロダクション・アイジー 特別講義レポート!

2008年10月6日(月)、株式会社プロダクション・アイジーより、企画室 郡司幹雄氏、プロデュース6課 課長 プロデューサー中武哲也氏、企画室プロジェクト企画グループ 和田丈嗣氏の3名をお招きして、特別講義を行いました。
プロダクション・アイジーは、8月2日(土) 全国一斉公開された押井守監督の劇場最新作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers」をはじめ、『RD 潜脳調査室』『図書館戦争』『ケータイ捜査官7(セブン)』など数々のヒット作を世の中に送り出している著名な会社です。

今回の特別講義では全体を2部構成とし、第1部は郡司氏から「株式会社プロダクション・アイジーの特徴と強み」「アニメーション業界を取り巻く環境と課題」そして、学生がもっとも気になる「採用」について語っていただきました。

また、第2部では、プロデューサーである中武氏と和田氏から「創るということについて日々考えていること」と題して、ここでしか聞くことのできない制作現場ならではの話を学生に伝えていただきました。
実は中武氏は、アミューズメントメディア総合学院の卒業生。プロダクション・アイジーでは、『お伽草子』のラインプロデューサーや映画『ツバサ・クロニクル 鳥カゴの国の姫君』のプロデューサー、そして2008年は『RD 潜脳調査室』のプロデューサーを務めていらっしゃいます。

「株式会社プロダクション・アイジーの特徴と強みは、 アニメーションの企画・立案から原作の創作まで行うことが可能なことです」
郡司幹雄氏

郡司幹雄氏

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』では、全米ビルボードNo.1を獲得。『イノセンス』ではカンヌ国際映画祭ノミートなど、海外での高い評価を得るプロダクション・アイジー。
アイジーが創りだす高い映像クオリティとストーリーテリングは他に類を見ません。そんなプロダクション・アイジーで働くためには、どうすれば良いのか。学生たちは真剣に耳を傾けます。

「会社で働く(社会に出る)とは恋愛と似ている。思いを寄せない限り答えも返ってこない。思いを寄せても相手が認めてくれないと恋愛(仕事)は成立しない。しかもどんなに頑張って思いを寄せても叶わないこともある。でもそれが会社(社会)。」

特別講義の前打ち合わせから、郡司氏が語られていた言葉です。

「現在の世の中は、社会に出るまで社会というものの厳しさを教えない。いきなり社会に出て初めてその厳しさに触れて挫折してしまう人も多いんです。でも本当は社会に出て、社会に認められて、初めてやりたいことが出来るんです。理想の会社や社会はない。すぐにやりたいことは出来ないから、コツコツ努力を積み重ねて自分の立ち位置を自分で作る。自分の望むところに行くために精一杯、頑張るしかないんです。」

確かに世の中は甘いことばかりではなく、苦しいこともたくさんあります。でもそこから逃げていても何も始まらない。「社会や会社は厳しい」ということを大前提として受け入れた上で、自己実現のための努力をする、そんな姿勢がプロダクション・アイジーでは求められているのかもしれません。また、郡司氏がプロダクション・アイジーに所属するメカデザイナーの方の取材のときに印象的な言葉があったと引用してくれました。

「人生は運なんだけど、日々一生懸命やってぎりぎりのものを出していないと運も来てくれないんだよね・・」

確かにその通りですよね。郡司氏の講演は、深さの中にも笑いを交え、時には厳しく、時には優しく。
あっという間に時間が過ぎていきます。

セミナー風景

ユーモアも交えた楽しいお話が続く

「アニメ業界は天国ではないが地獄でもない。アニメーション業界を取り巻く状況は決して楽観出来ないが、とにかくコツコツ作り続ける(描き続ける) ことが重要だろうと考えています。そして我々としては、会社を継続し、アニメーションをつくり続けることで突破口を目指します!」

「天国」というのは学生が思い描く 「理想の会社」のことで、「地獄」というのは現在のマスコミで広く語られている「アニメ業界は低賃金・重労働」というイメージを指すのだそうです。
いろいろな悪いことやつらいこともあるが、面白いことも一杯ある業界だと郡司氏は感じているとのことでした。

一緒に海賊になりませんか?(笑)
中武哲也氏

中武哲也氏

和田丈嗣氏

和田丈嗣氏

第1部とはうって変わって掛け合い漫才のような雰囲気で中武氏と和田氏の講演がスタート(笑)。
最初は、プロダクション・アイジーのデモ映像が流され、お二人の自己紹介へと続きます。
中武氏は新聞配達をしながら学院に通われていたとのことで「最初はシミュレーションゲームが作りたくて学院に入学しました。実際に入ってからは映像制作が楽しくなってきまして、これを仕事にしてご飯が食べられたら幸せなことだなぁ(笑) と、思い就職活動を試みました。」という、懐かしのエピソードを披露していただきました。

そして話は、今回のテーマである「 群雄割拠(※1) のエンタメ戦国時代に生き残る方法」へ。

「アニメーションを創るためには、共同作業が必要です。
つまり仲間が必要なんですが・・・真の仲間と成りうるには、どんな要素が必要だと思いますか?」

学生たちに問いかける、中武氏と和田氏。軽快なテンポで講演は進みます。

「答えは、侠気、情熱、勤勉。」

これらは 三国志(※2) の時代から大切にされていたことで、お二人は有名な 「桃園の誓い(※3)」 を例に、丁寧に説明してくださいました。学院でも1年生の夏に共同制作というカリキュラムがありますが、まさにこの共同制作では自分たちで仲間を選び、一つのアニメーション作品を創り上げなくてはいけません。
つい先だって、学院ではその共同制作発表会が終了したばかり。学生たちは、自分たちが経験したことがプロの世界でも大切なんだということを、今回あらためて実感したのではないでしょうか。

セミナー風景

スクリーンの画像を見ながら講義は進む

「創るということ」について。

「アニメーションを描くという仕事は、机の前で、描いているだけではいけないそうです。
ある先輩の方がおっしゃった言葉に”机で描いてないで足で描け!”という言葉を伺ったことがあります。」

その言葉を聴いて、一瞬、学生が考えます。

「どういう意味かというと、自分でいろいろ動いて体験して描けということらしいです。知らないものを見に行ったり、いろんなことを経験したりしろ、ということのようです。人生における体験が表現に力を与えるらしく、私もその意見には納得しています。」

なるほど。アニメーションの基本は、お芝居です。登場人物やキャラクターがシーンやカットで、どういう心境なのか、どういう動きをすれば観客に気持ちが伝わるのかということを考えるために、経験や洞察力、観察力を高めることは、とても重要なのかもしれません。話はさらに続きます。

「プロとして今、前に座らせていただいている自分たちと、学生の皆さんとの違いは、単純に言ってしまえば、創るか創らないかということだけだと思います。ただそれだけ。作品を創って世の中に発表しているかどうかだけなんです。だからこそ皆さんにも、こちら側に来ていただきたい。一緒に海賊になりませんか? (笑)」

ここで会場が大いに湧きました。学院に通っている学生は皆、プロを目指しています。
今回のようにプロの先輩方の話を聞き、しかも一緒にやりましょう!と声を挙げていただけるとは、こんなに嬉しいことはありません。

セミナー風景

真剣に耳を傾ける学生達

講演もいよいよ最後に。学生からの質疑応答をしつつ、お二人から力強いメッセージがありました。

「やはり好きであり続けるということが一番大切だと思います。時には辛いことやモチベーションが下がってしまうこともあるかもしれませんが、その時は良い作品や良い人に出会うこと、感動できる人や感動を与えてくれるコンテンツに出会えることが、また次の作品を創ろうという原動力になると思います。」

今回、プロダクション・アイジーの皆さんの特別講義を体験させていただきました。厳しい話もたくさんありましたが、最後に思ったのは『やっぱりアニメーションを創るのって楽しい!』ということです。そして、その気持ちを忘れず、ずっと続けていくことが一番大切なことではないかと思います。

(※1) 群雄割拠・・・多くの英雄や実力者が各地に勢力を張り、互いに対立しあうこと。
(※2) 三国志…・・・古代中国で国が3つに分かれ成立し滅びるまでの話。
(※3) 桃園の誓い(とうえんのちかい) 桃園結義(とうえんけつぎ) ともいう。
『三国志演義』の序盤に登場する劉備・関羽・張飛の3 人が、宴会にて義兄弟(長兄・劉備、次兄・関羽、弟・張飛) となる誓いを結び、生死を共にする宣言を行ったという逸話のことである。
学生からの感想
  • お話を聞いてプロダクション・アイジーのイメージがかわりました。堅苦しいというイメージを持っていたので、プロデューサーお二人の話しをきいて「楽しい雰囲気」と「作品」をとても愛しているということが伝わってきました。
    あっという間の時間で、もっとたくさん話をきいていたいと思ってしまいました。お話を聞かせていただきありがとうございました。
  • 僕は、将来プロデューサーを目指しているので、現場で働く方が直接講義してくださったのは、自分にとってとても大きかったです。仕事やプレゼンの方法など今まで疑問に思っていた事も聞けて助かりました。道則は険しいと思いますが今回の講義で学んだことをしっかりと理解し、これからの勉学に役立てたいと思います。
  • 講義は楽しかったし、とても勉強になる話ばかりでした。 先輩方もとても楽しそうに仕事をしているので、僕もあの人たちのように仕事が出来るようなりたいと思いました。
  • 現在のアニメーション業界の現状や抱えている問題などを聞くことができ、将来のためになりそうです。
    トーク力が圧巻でした。
  • アニメ業界を取り巻く環境や経済的なお話が大変面白かったです。制作現場の情報だけでなく、アニメ業界そのものが直面している問題の話、それも具体的かつ将来も含めた視点で聞けたのは大きな収穫でした。
    中武さん、和田さんのお話も楽しくていろいろ考えることができました。また、全体を通じてとてもアットホームな雰囲気で楽しかったです。今回の講義を受けられて本当に良かったです。
RD 潜脳調査室