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ふなつ一輝先生、菊一もんじ先生の特別講義

週刊ヤングジャンプにて「華麗なる食卓」を連載中のふなつ一輝先生による特別講義を開催しました。
また、ふなつ一輝先生のもとでチーフアシスタントを務め、ご自身もマンガ家として活躍している菊一もんじ先生も講義に参加してくださいました。
毎年恒例のこの特別講義は、連載中のマンガ家さんとお会いして直接質問できるので学生たちが心待ちにしているイベントのひとつです。

Q.デビュー前に描かれた作品は、どのくらいの期間で完成させましたか?

ふなつ先生: 最初ジャンプに投稿したときは高校生で、その頃のことはよく覚えていません。その後ヤングジャンプで受賞した作品は、会社勤めしながら描いて、31ページで半年くらいかけました。
そのままサラリーマンとして生きていくか、マンガ家になるかの瀬戸際で、これでダメならマンガ家は諦めようと思っていたので、トーンもできるだけ貼ろうと思って半年くらいかけました。
その後の作品では、担当さんと軽く打ち合わせして描いた作品はある程度ネームがOKもらえたところから3週間くらいでやったかなと思います。
菊一先生: 最初デビューしたときの作品は、だいたい1か月くらいかな、1か月なかったかもしれません。
ふなつ先生のアシスタントをやりながら、3週間くらいで30数ページ描きました。

Q.どうやってネタを出しますか?

ふなつ先生: ネタが必要なときに探すのではなく、いつでもアンテナを張っておくこと。
友達と世間話をしていても、「何か面白いことないかな」「新しいことあるかな」と気にしているのが大事かもしれません。ぼくは机の前で唸りながらネタを考える方なんですが、「何かないかな」と思ったときに最終的に出てくるネタは、前に見たり聞いたりしたこと、経験したことを引っ張り出してきてるんですよね。何気ない会話も大事だと思います。

Q.ネームはどれくらい描き込みますか?

ふなつ先生: 「華麗なる食卓」は週刊連載で時間がないので、枠を描いて、人間を簡単に描きます。
「華麗なる食卓」はずっと連載が続いてきて、もうどんなキャラでどんな顔をするかとか担当さんが解ってくれるから、描き込まなくていいんです。
「華麗なる食卓」以外の読み切りだったら、どんなキャラが出てきてどんなビジュアルなのか解らないから、結構がっつり描くことにしています。でも、新人さんはネームをちゃんと描いた方がいいと思います。
何故かと言うと、「ここはこういう流れになるから、こんな表情になる」というのが掴みやすくなります。
「この流れなら、ここまでの表情じゃなくてもいいかな」と変わることもある。それから絵をちゃんと描くことによって編集さんの目に留まりやすくなる。
例えばネームが10本あったとき、丸に点点くらいでキャラを描いたら、読んでいてもイメージが湧かないしよく解らないから、後回しにされてしまうと思います。がっつり描き込んでおくと「おっ、いいな。これから読もう」と思わせることができます。練習だと思って、最初は特にしっかり描いた方がいいかなと思います。
菊一先生: 序盤はキャラ紹介的に表情もしっかり描きます。でも進むにつれて簡略化していきます(笑)
作風として、体の動きを見せることが大事なので動きを重視して描くようにしています。

Q.すごく疲れているときでも、「ここはすごくテンションを上げて描かなくちゃ!」というシーンがあった場合は、どんな風にテンションを上げますか?

菊一先生: ほんの少しでも寝ることです。休憩時間に食事を急いで食べて、少しでも寝るとすっきりします。
ふなつ先生: 「これ!」ということはしないんですが… 10年も続けていると連載に慣れてきて、「ここまでにコレができていないと大変だ」というのが解っているので、自然体でやっていますね。
マンガを描き始めた頃は、マンガを描くことが楽しくてしょうがなかったんです。その頃は会社員でしたが、深夜に帰宅した後でも描いてました。描いていると全然眠くならない。
ぼくはキャラを描くのが大好きなんですが、背景や効果線を描くのは結構面倒で(笑)1ページのキャラ、背景、効果線を描くまでは、次のページのキャラを描かないと決めていました。キャラを描くのが一種のご褒美みたいなやり方ですね。

Q.どうしても、今描いているページよりも前のページを描き直したくなるんですが…

ふなつ先生: 「どれくらいの時間をかけてその作品を描いているのか」によるんじゃないかと思います。
作品1本を描き上げるのに時間がかかっていると、確かに前のページよりも上手くなることがあると思います。ぼくの周りにもマンガ家志望の人がいましたが、たいていの人がずっと描き直していました。
でもそれは永遠に終わらない気がして嫌でした。だから、よほど大きなミスがない限りは、直したいという気持ちが出てくる前に完成させよう!と決めて描いていました。
ルールを決めて描くのも良いんじゃないかと思います。

Q.画力と人柄、どちらを見てアシスタントさんを採用しますか?

ふなつ先生: どちらも大事です。
例えば、ちゃんと仕事してくれるのは大事だけど、挨拶もしない人だったら職場の雰囲気が良くなくなるし、気持ちよく仕事もできなくなってしまいます。
逆に、人柄はすごくいいけど絵はあんまり描けないアシスタントさんだったら、頑張って描こうよと思うかもしれません。
まずは挨拶がきっちりできていることが最低条件。その上で、盗む、学ぶという気持ちがあれば技術は身につくので、やる気があることが大事です。それから、人柄も良くてそこそこ描けるんだけど、アシスタントで十分です、という気持ちではなかなか伸びない。
自分もデビューしてやる!連載取ってやる!という気持ちがあった方が早く吸収できると思います。

Q.連載する上で気をつけていること、盛り上げ方などはありますか?

ふなつ先生: 週刊連載で1回18ページですが、この18ページの中で起承転結に気をつけてます。
コミックス重視で、雑誌では読まれなくてもいい、という考え方ではなくて、雑誌の1話だけ読んでもちゃんと楽しんでもらえるように考えてます。
盛り上げ方で気をつけているのは「逆転の発想」です。例えば、「ピンチになっている人を主人公が助ける」ときは、ピンチであればピンチであるほど良い。めちゃくちゃ悪いキャラを倒すとか、読者から「私の好きなキャラをいじめるな!」って言われそうなくらい、とことんへこませてから主人公が助けるという方がより盛り上がるのかなと思います。

Q.次週への引きはどんな風に考えるのですか?

ふなつ先生: 次週への引っ張り方は、雑誌によって違うなと感じました。
よく読んでいた雑誌の場合、「よし、これで主人公が敵を倒せるぞ!え、敵が何かしてきた?次どうなるの!?」と主人公がピンチになったところで来週につながることが多かった。
それが普通だと思ってぼくも描いていたんですが、ヤングジャンプの場合は、「ピンチだけどどうなるの!?あ、ちょっと光明が見えた!次号へ続く!」のパターンなんですね。
絶望的な場面で引くか、希望が見えたところで引くかはあると思います。どちらもアリだと思いますが、雑誌や読者層によると思いますね。

Q.連載を長く続ける、人気を維持する秘訣を教えてください

ふなつ先生: それぼくも知りたい!一番難しいですね(笑)ちょっとずれるかもしれませんが、ぼくが大事にしているのはキャラクターです。キャラクターがぶれて、どんな人か解らないと思われてしまうようだと、感情移入できないので読んでもらえないと思います。まずはキャラクターをしっかり作って、そのキャラクターにどんな試練を与えるかということを考えた方が良いと思います。
最初の連載が上手くいかなかったとしても、次の作品が上手くいくかもしれませんしね。

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今回も3時間の講義でしたが、終始笑顔で学生の声に耳を傾けてくださったふなつ先生と菊一先生。
さまざまな例を出して楽しませながら、でもマンガ家を目指す学生が気になることに真正面からお答えくださり、本当にありがとうございました!