© ひびき遊/富士見書房(富士見ファンタジア文庫)
カバーイラスト/あらいぐま
7月16日(金)、学院卒業生で、ライトノベル作家として活躍中のひびき遊先生による特別講義を開催しました。いわゆる「戦隊モノ」の敵キャラクターを分析することで、キャラクターが要と言われているライトノベルに役立てようという講義です。
「戦隊モノは子ども向け番組だからと言って、あなどれないジャンルですよ」とひびき先生。戦隊シリーズにはすでに30年もの歴史があり、その30年間で毎年、前年とは違う作品を作りつつも、メインストーリーの大筋は崩さないという高度な技を繰り返してきました。
また、戦隊シリーズを制作している東映という会社は、もともとは時代劇を得意としてきました。蓄積された時代劇のノウハウを使って子ども向け番組を作ったら、5人のヒーローものになったという経緯があります。
中でも、ひびき先生が注目しているのが「敵キャラ」です。
メインキャラクターであるヒーロー達は、変身グッズや武器などがおもちゃとして発売されたりなどして脚光を浴びますが、敵キャラのおもちゃが売り出されたりすることは少なく、それほど目立つ存在ではありません。
ですが、目立たないゆえに作り手の意図や趣向が反映されていることが多く、敵キャラの中には実は魅力的なキャラクター、というのがたくさん存在しています。
そうした傾向を踏まえて、ひびき先生は2001年から2010年に放送された戦隊モノのテレビ番組を10本取り上げ、それぞれ敵キャラをピックアップして比較しやすいように表にまとめた資料を学生に配りました。
例えば2002年に放送された忍風戦隊ハリケンジャーを例に敵キャラの分析をしてみましょう。一の槍フラビージョというキャラは、蜂をデザインのモチーフにしていて、当時流行していたコギャルを彷彿させるキャラ。二の槍チュウズーボというキャラは入道をデザインのモチーフにした短気な破戒僧。
三の槍マンマルバはサソリをモチーフにしたお子様予言者で、四の槍ウェンディーヌは蛇をモチーフにしたグラマラス系美女。
「コギャル系キャラのフラビージョと、年上のちょっと怖いお姉さんキャラのウェンディーヌが仲間同士であるにも関わらず手柄を取り合って争ってしまう展開が多く、それが物語全体をコミカルな雰囲気に仕上げているんですよ」・・・と言ったように、敵キャラの情報をキャラ名、デザインのモチーフ、性格などがひと目でわかる表にすることで、敵キャラ1人1人を分析しやすくし、合計で10個の物語を例に敵キャラの分析をしていきました。
「ライトノベルとはキャラクター小説」とも言われるように、共感できるキャラクターや、おもしろいと思えるキャラクターを配置できるかどうかは、ライトノベル作品の生命線と言っても過言ではありません。
物語を分析すると言えば、主人公にスポットライトを当てがちです。しかし今回は敵キャラにスポットを当てることで、学生たちは共感できるおもしろいキャラクターを考える大切なヒントをもらえた1日となりました。




