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株式会社ユークス 橋本治さん ロングインタビュー

株式会社ユークス クリエイティブ ディレクター
橋本 治さん

人気格闘ゲームや『機動戦士ガンダム00 ガンダムマイズターズ』などを手がけてきた株式会社ユークスでクリエイティブディレクターとしてご活躍されている橋本治さんと、アミューズメントメディア総合学院にてゲーム企画ディレクター学科担任・ゲーム開発実習(共同制作)でも管理講師を勤める小宮英武先生の対談を行いました。

普段から学院の行事には頻繁にお越しくださっている株式会社ユークスのみなさん。この日はAMGの学生の姿などを通して、橋本さんにこれからの業界を担う若い世代へのメッセージなどをいただきました。

■AMGってどんなイメージ?

小宮先生: これまでにも学院祭やクリエイター面接など、学院の行事に頻繁にお越しくださっていますが、橋本さんから見たAMGは、どんな学校ですか?
橋本さん: ひと言で言えば、とても実践的な学校というイメージを持っています。
秋に行われた学院祭にお邪魔したときも、その春に入学した1年生の皆さんがしっかりとプレイできる状態の作品を完成させていました。このことに衝撃を受けました。
未経験者が多い中にもかかわらず、たった半年あまりの学習期間で、あれほどの高い完成度の作品が出来上がってくること自体、僕が学生の頃では考えられませんでした。
逆に、AMGの学生さんたちはなぜそんな短期間で完成度の高い作品が作れるのですか?
小宮先生: これまでの先輩たちの実績が大きく影響していると思います。過去の先輩たちはみんな全チームが作品をしっかり完成させています。だからこそ在校生たちも、「先輩たちだって困難を乗り越えて来たのだから、自分たちにだってできるはず!」という気持ちになってくれています。それに加えて前年までの先輩たちが制作した仕様書やスケジュール表などの資料をデータベース化して在校生が閲覧できるようにしています。そのノウハウが蓄積され、年々完成度の高い作品を仕上げられるようになってきました。
橋本さん: 会社の場合、勤続年数の長いベテランの社員がいて、ある程度は教育してあげることはできます。しかし学校の場合はいくら優れた作品を残した先輩がいたとしても、2年も経たないうちにすぐに卒業していなくなってしまいますよね。そういう意味では会社よりも厳しい環境の中にもかかわらず、とてもレベルの高い作品が多くて、学院のイベントにお伺いするのを楽しみにしているんですよ。
小宮先生: いつも学院のイベントにお越しいただき、ありがとうございます。ちなみに先ほどお話にも出てきましたが、昨年秋の学院祭はいかがでしたか?
橋本さん: 作品の「質」はもちろんのこと、展示されている「量」にも驚かされました。全チーム諦めることなくしっかり作品を完成させている。それに加えて、何も知らずに来たお客さんにもゲームを楽しんでもらえるよう、操作方法やゲームの概要を簡単にまとめた導入をどのチームもしっかり用意している点などにとても感心しました。
小宮先生: ありがとうございます。
確かにAMGの学生たちには、制作したゲームを必ずプロの方々に見てもらい、評価をしていただく機会があります。ゲームをつくりながらも、同時に「人から見られる」ことを意識したゲーム制作を心がけています。
橋本さん: プレイする人の視点や状況に配慮することはとても重要ですよね。
学院祭は、いわゆるゲームセンターのシチュエーションとよく似ていて、お客さんはパッと目についた作品の前に座って10分~15分間くらい楽しんで次へ行く。その短い時間でいかにお客さんを気持ち良くさせるかがポイントとなるし、ルールを把握するだけで何分もかかってしまうゲームではなかなか心をつかむのは難しいです。ゲーム制作を「課題」だと思ってやっていると、「完成」が目標になってしまいがち。学院祭でプレイさせていただいた作品は「完成」のその先まで見据えた作品がほとんどで、とても楽しく拝見することができました。

学院から小宮先生と、
学生発信委員会の小林君、木内君

同席していた学生の質問にも
快く答えてくださる橋本さん


■厳しい環境下でも、「クリエイター」であって欲しい

橋本さん: 学生さんたちにとっては気になるポイントだと思うのですが、労働時間という観点からお話をすると、この業界、決して楽なところではありません。
小宮先生: そうですね、私も制作現場での経験が長かったので、とてもよくわかります。
「もうちょっとここを直せばもっと楽しいゲームになる!」「あともう少し、あともう少し直したいんだけど・・・」というのが完成が近付くにつれて限りなく出てきてしまうんですよね(笑)
橋本さん: そうなんです、ゲーム制作ってその繰り返しなんですよね。だからこそ、ゲーム業界を目指される学生さんにはぜひこうした状況を「楽しんで取り組む」という姿勢を期待したいですね。ゲームは設計図どおりに作れば必ず完璧な商品ができる、いわゆる「工業製品」とは違います。仕様書どおりに完璧に作ったはずなのに、プレイしてみるとどこか面白くない・・・。
小宮先生: よくあることですね。
むしろそこからが面白いゲームになるか否かの鍵となると言っても過言ではありません。少しでも面白いゲームに仕上げるために仲間と知恵を出し合い、改良を加えていけるか。
橋本さん: その通りです。どうかその作業を楽しめる人であって欲しいですね。「計画通りにできたし、これでいいじゃん」と考えるのか、例え夜遅い時間でも「ここを直せばもっと面白くなるから・・・」と作業に取り掛かるのか。「クリエイター」にはどうか後者のような人であって欲しいと思います。

■携帯電話のある青春時代を送った世代は有利!?

小宮先生: 最近、ゲームの主流も変わりつつあるように感じています。
家庭用ゲーム機が誕生以降、その性能の進化に伴って、ゲームの内容も高度化・複雑化して来ました。しかしここ数年、スマートフォンやSNSのブームが起きて以降はオンラインゲームが台頭し、少しゲーム業界の様子が変わってきたのではないかと感じています。
橋本さん: 僕なんかは少し昔のボリュームのあるゲームで遊んできた世代なので、オンラインゲームがあるべき難易度や複雑さの力加減に戸惑う場面もあります。「え!?こんなに単純な構造のゲームで良いんだ!?」と言った具合に驚くこともしばしば。そういった点で考えると、中高生の頃から携帯電話に慣れ親しんで来た今の若い世代のアイデアや感覚は、これからの時代はとても重要だと考えています。

■ゲーム業界を目指す若者たちへ

小宮先生: 最後に、ゲーム業界を目指す今の若い世代に向けて求めることは何ですか?
橋本さん: ひと言で言えば「自分からゲームをつくりたい」と思えるかどうかです。
無茶な量の仕事を押し付けられ、それを不満1つ言わずに淡々とこなす・・・勘違いされがちですが、私たちはそんな「良い子」ばかりを求めているわけではないのです。
当然、最初は上からの指示で動くことになります。業務量が多くて、夜遅くまで会社に残ることもあるかもしれません。しかし、ゲームクリエイターになることそれ自体が目標になってしまうと、与えられた業務に忙殺されるだけで、ただただ過酷さしか感じられなくなってしまうと思います。
「自分はいつかこんなゲームをつくって、日本中、いや、世界中の人に楽しんでもらうんだ!」そんな野望があれば、きっと毎日の仕事もその夢の実現過程だと考えることができるようになって、楽しくこなすことができると思うんですよ。そんな夢だとか野望だとかを聞かせてくれる学生さんにはとても注目しますし、期待感も高まります。
これからの時代を担う学生さんたちの若いアイデアを、私たちはとても楽しみにしています。一緒にこの業界を盛り上げていきましょう!

これからの業界を担う若い世代へ、
期待を語ってくださった橋本さん

同行した学生発信委員会の2名と
記念撮影をしてくださいました

お忙しい中にもかかわらず、インタビューに答えてくださった株式会社ユークスの橋本さん、どうもありがとうございました。

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