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ウォン・ズーヤン イラストレーター

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――小さい頃から絵に興味があったのでしょうか。

そうですね。7、8才頃から描き始めたような気がします。

――ウォンさんの絵は特に女性が美しく印象的ですが、最初に描かれた絵を覚えていらっしゃいますか?

はっきり覚えています。武士の絵を描き始めたのが最初でした。
その頃は、少年だったのですが、女性はあまり描かず、武士ばっかり描いてましたね。(笑)

――では、絵の道に進もうとういうきっかけは、何だったのでしょうか。

中学校に進学してから、しばらく絵は描きませんでした。でも、高校2年生の時、将来の選択を考えなければならなくなり、大好きだった中国の民族音楽の影響を受けて、中国の伝統的な技法を中心として、勉強していこうと考えました。

――ご両親とも相談してそのように決めたのですか。

はい。両親は二人とも教師ですが、相談して決めました。大学に進学してからも、主に伝統的な中国絵の勉強を続け、マンガとかアニメーションとかは、全くやりませんでした。

――卒業後、職業(イラストレーター)としていくまでの経緯を教えて下さい。

絵を描くことが物凄く好きだったので、絵を描いていないと生きていけない感じでした。また、先ほども言いましたが、教師一家だったので、両親は教師になってもらいたかったようです。
そのこともあって、武漢大学の教師になり、イラストレーターとしても絵を描く、という生活になりました。大学の教師は、比較的時間のゆとりもあるので、絵に没頭出来る良い環境だと思っています。

――なるほど。二足のわらじというわけですね。

絵が描ける人は、1人で部屋などに籠もって、人との交流がほとんど無くてもいいのですが、教師になってからは学生との交流を深めなくていけませんので、コミュニケーション力が上がったと思います。

――コミュニケーション能力を高めるのも重要なことですよね。

もちろんです。今の情報社会では、新しい技術や見方をどんどん取り入れていくのは大変なことですが、学生と一緒にいると、自然と敏感になり、吸収出来るのでいいですね。

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――ウォンさんは、どういう風に教えていらっしゃるのでしょうか。

中国では、絵を描いたことがない生徒には、1年半位かけて基礎的なパソコンの使い方を教えます。本人の意識にもよりますが、もし本当に職業として、絵を描くことを仕事にしていきたいならば、パソコンを使うことも決して悪いことではありません。今のアニメーションにしてもゲームにしても、プロセスの一環としてパソコンを使えば問題は無いと思います。
ただ、ひとつの絵を完成させるためには、単純なスキルだけの問題ではなく、例えば、文学的な経験、社会的な経験、人生に対する理解など、様々な要素を取り入れつつ、表現していかなくてはなりません。
基本的な知識を勉強させるのはもちろんなのですが、自分がこれから何をやりたいか、何になりたいか、本人がしっかりと問題意識を持つように導けるよう努力しています。その結果、最終的な方向を本人が決め、そこへ向かって歩んで行ければと考えています。

――迷っている学生は多いですか。

自分がしっかりと、何をやりたいという明確なビジョンを持っている学生は少ないかもしれません。就職を漠然と考えている人は多いようですが、学校で勉強したことをどんどんと積み立てていくことは、なかなか出来ないようです。

――それは、日本でも中国でも似ていますね。

はい。自分のスタイルを確立することは大変ですが、凄く大切なことです。「確立する」ということは勉強することではなくて、「分析する」という作業になります。今、自分に何が足りないのか、何を勉強すべきなのかを分析し、その点も含めて、昔のものも研究する。そうすれば、自分のスタイルを崩さずに上手く取り込むことが出来るようになります。でも、自分なりの作品が創れるようになるまで、頑張れない人が多いですね。

――今後、ウォさんはどんな絵を描いていきたいですか?

妙な話なんですが、大学時代は、伝統的な中国絵が専門でしたが、その当時は、ヨーロッパの画家が好きでした。(ルーベンス、クリムトなど)今は、中国の歴史、日本の歴史、そして世界の歴史に非常に興味があります。1番好きなテーマは、「悲劇」です。
また、この2、3年は、歴史画を中心に描いていきたいと思います。歴史上の人物も、現代の描き方を取り入れて描けば新鮮です。

――育ってきた環境によって、考えの違いが画風に出ると思います。日本と中国は、交流しながら良い形で影響あえればいいなと思うのですが、どのようにお考えですか。

日本のことは大好きです。私は自分の席の本棚に、何冊か本を置いています。1つはヨーロッパの昔の油絵の本です。残りは日本文化に関わるものばかりです。日本のことをインターネットなどを通じて色々と勉強したのですが、実際に来てみたらかなり違うなあと感じました。日本のアニメーシンやゲームは、産業として世界的に成功をおさめています。そういった意味では、もっと、日本のことを勉強しなければと思います。以前よりも、世界レベルでアーティスト同士が交流しやすくなってきましたし、活躍する場も広がってきました。今後がますます楽しみです。

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講師 ウォン・ズーヤン
武漢大学印刷/包装学部 デジタルメディアセンター勤務。武漢大学国際軟件学院 芸術学部 ネットワークコミュニケーション専攻。JCC情報技術有限会社チーフデザイナー。
1997年、第一回東アジア漫画大会で中国原作漫画作品優秀賞を獲得。2003年、大型漫画「新三国無双」開発の総責任者として全権を任される。今後活躍が期待される気鋭のイラストレーター。