10月19日(水)、週刊ヤングジャンプにて「華麗なる食卓」を連載中のふなつ一輝先生が来校し、特別講義を開催してくださいました。ふなつ先生には毎年講義を行なっていただいていますが、この日は今年2回目の講義です!
前回 のご来校は今年の5月。前回に引き続き菊一もんじ先生も講義に参加してくださいました。そして今回は、スペシャルゲストとしてヤングジャンプ編集部からふなつ先生の担当編集さんもお越しくださいました。
今年第2弾となる今回の講義のテーマは「キャラクターを立たせたネームを作る」。
受賞やデビューへの切符を手に入れるためには、まず、最初の数ページで編集さん(読者)に「このキャラおもしろそう。この続きを読んでみたい」と思わせることが必要です。そこで、キャラクターの魅力を読者に伝える、キャラクターを立たせるということを重視したネーム作りを講義していただきました。
全員が提出した課題ネーム(冒頭4ページのみ)から、事前に教務とチューターが12名のネームを選出。そのネームをスクリーンに映し出し、ふなつ先生や菊一先生はそのネームを描いた学生と話しながら、良い点と改善すべき点についてアドバイスをしてくださいました。
「こんな考え方もありますよ」と、
ホワイトボードに描いてくださいました。
12名以外の学生も、「自分ならどう描くか」を
考えながら受講しています。
「このシーンをタイトルと一緒に冒頭に持ってくると、よりこの作品らしさが前面に出るので、編集さんの目にとまりやすくなりますよ」「この目線からでは登場人物の動きがわかりにくいので、カメラをこのアングルにして描き直せば、よりインパクトを与えられて先を読んでみたくなります」など、具体的でわかりやすいアドバイスをたくさんいただきました。
他にも、12名へのアドバイスを通して、デビューに向けて作品をつくる学生たち全員にとって大変ためになるお話をいただいたので、その一部をご紹介します!
―主人公に大切なのは「憧れ」と「共感」が共存していること
商業誌でマンガを描く以上、重要なのは主人公のキャラクターです。
しかし、ただ単純に個性が強ければ強いほど良いというものではなく、主人公に大切なのは読者の「憧れ」と「共感」の要素が共存していること。
普段は「憧れ」の対象である主人公でも、時折どこか抜けた部分や弱点を見せることで「共感」が生まれ、読者はそのキャラクターをグッと身近な存在に感じます。
ネームを描いた学生と直接お話しながら
他の学生の意見も聞きながら進めていきます。
このネーム、実は結構衝撃的な冒頭ですが、
でも思わずニヤっとしてしまう内容なんです。
―「共感」は「リアリティ」から生まれ、「リアリティ」は「人間臭さ」から生まれる
「共感」を呼ぶキャラクターに必要なもの、それは「リアリティ」です。
このリアリティを出す方法の1つとして、キャラクターに本編のストーリーとは直接関係のない無駄な動きを加えるという手法があります。それによって「人間臭さ」が出て、よりキャラクターを身近な存在に感じてもらえる効果を出せることがあります。
例えば、スタジオジブリの映画に出てくるキャラクターってすごく魅力的で、いつも多くの人に愛されていますよね。あのアニメーションも細かく見ていくとこの手法が使われています。『もののけ姫』では、主人公のアシタカが塔の上に登るシーンがあるのですが、登っている途中で背負った弓の弦が外れる箇所があります。塔をすべて登り終えたところで、何気なく弦を張りなおすという演出がされているのですが、この演出って、あってもなくてもストーリーには影響しませんよね。
他にも『魔女の宅急便』でも同じような演出があって、主人公のキキがテレビのニュースを見ておばあさんの家を飛び出すシーンがあるのですが、門の前に落ち葉が積もっていて、そこで1回滑って転びかけるシーンがあります。
こうした演出は、主人公を「決して完璧ではない、人間味のあるキャラクター」という印象にし、見る人を無意識的に「なんだか知らないけど、この主人公には愛着が持てる」という気持ちにさせていくのです。
―最終的に、「人間臭さ」は「共感」の土壌になる
これをマンガに置き換えてみましょう。
例えば、友達同士が2人で歩いているシーンを描きたいとします。
みなさんがお友達としゃべりながら歩いているところを想像してみてください。2人で同じ速度、同じ姿勢で機械的に歩きながら会話するって、なんか不自然ですよね。普通、しゃべりながら髪をかきあげたり、ポケットに手を入れたりと、人間って無意識に無駄な動きをたくさんしているんです。だけどマンガにすると、ついついストーリーのことばかりが気になって、意外とこうしたポイントは見落としがちなんですよね。
こうした「人間臭さ」を意識して主人公を描くことで、読者により「共感」してもらいやすい土壌ができていくと思います。
キャラクターにリアリティを持たせるのは、きっと多くの学生が悩むところです。色々な「設定」として文字で考えるだけでなく動作としてマンガの表現に加えることで、読者に伝わりやすくなるのですね。学生たちはメモを取りながら聞いていました。
最後に、ふなつ先生、菊一先生が描いたネームや原稿を見せてくださいました。
やはりプロの原稿はとてもキレイで、学生たちも食い入るように見入ってしました。
プロの原稿はとてもきれい。つい食い入るように見入っている学生たち。
もちろん、作品自体に引き込まれるのですが、印象的だったのは、編集さんに渡したネームの表紙には「お疲れ様です」「よろしくお願いします」などの手書きの文字が書いてあること。FAXなどを使った編集さんとのやり取りも、人と人とのコミュニケーションです。簡単なことのように見えますが、用件だけを伝えるのではなく、挨拶などの礼儀作法、相手の立場になってコミュニケーションを取ることもプロのマンガ家には大切なことなのだと学びました。
週刊連載でお忙しいスケジュールを縫って作品を見てくださったふなつ先生、菊一先生、ふなつ先生の担当編集さん、本当にありがとうございました。
今後も、マンガ家さんをお招きしてプロの仕事について学ぶ機会を設けていきます。




