小説を書く際、まず最初の大事な作業としてプロットの作成があります。
プロットをとても重要視している作家さんであれば念入りに作成するかと思われますが、中にはプロットを書くのを億劫に感じる人もいるのではないでしょうか。
しかしプロットというのは小説においては欠かせない、避けては通れない工程のひとつなのです。
ここでは小説におけるプロットについてその意義や書き方を詳しくお話ししたいと思います。
- この記事の監修者
- アミューズメントメディア総合学院は、東京恵比寿にあるゲーム、アニメ、マンガ、小説、声優などの業界や職業を目指す方のための専門の学校です。小説・シナリオ学科のurlはこちら。
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そもそもプロットとは何か?
正確に言うとあらすじとは少し異なり、あらすじが読み手に対して書くものであるのに対してプロットは書き手自身が内容を整理するため、また編集者などに対しての企画書として用いられることもあります。
プロットはよく”小説の設計図”などと言われ、小説を書く上で非常に重要な工程とされています。
プロットを書かずに物語を書き進めてしまうと、途中で辻褄が合わなくなったり、伏線を回収し忘れたりなどといったミスが起こってくる可能性があります。
ベテラン作家であればプロットを書かないという人もいるかもしれませんが、アマチュアのうちは簡単にでもプロットを作成した方が良いと言えますね。
構想メモのまとめ方
プロットを書くにあたって、構想メモというものを作っておくとスムーズにプロットを書くことができます。
構想メモとは物語を作っていくための大まかなアイデアをメモするもので、こういったメモを取っておくことでプロット作成の際に大変役に立ちます。
メモ例①
書きたいシーンやそこにいくまでに必要なシーンなどの概要を付箋にまとめてみると、ストーリー構成がとてもしやすくなります。
付箋にメモすることで後に簡単に並べ替えることができるため、ストーリーの構成が作りやすくなるのです。
シーンのアイデアに限らず、登場人物に言わせたいセリフなどのメモを取っておいてみても良いかもしれません。
メモ例②
小さなメモ帳やノートなどを常に持ち歩き、印象的な出来事や人の発言などを書き留めておくと、小説のアイデアの素になる可能性があります。
どんなジャンルの小説にもある程度のリアリティーは必要で、特に人物描写に関しては現実の人間の思考や性格、行動や発言をもとに描かれますよね。
様々な状況においての他者の様子や自分の心情などを書き留め、分析することで小説にリアリティーが出てくるでしょう。
もっと言うと、構想メモを書く前の段階でプロの小説家から「こんなところからヒントを探すと良いよ」とアドバイスをもらっておくと良いでしょう。
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プロットを作成
プロットの作成の際は、5W1Hに当てはめて練られていくことが多いです。
もちろん作成方法に決まりはないのですが、最もスタンダードで分かりやすい方法としてご紹介しておきます。
いつ(When)
小説の時代設定を定めます。
例えば現代劇と時代劇では人々の話し方や行動様式が全く違うように、時代設定によって内容が異なってくるためしっかり考えて設定することが必要です。
たとえ時代設定が現在と5年や10年ほどしか違わなくとも、当時の流行や出来事などをおさえて小説の細かい部分に散りばめておくとより質の高い作品になるはずです。
また、ストーリー中の時系列もプロットの段階で整理しておくと、本文を書き始めた際に時系列がずれるなどの事態を防ぐことができます。
どこで(Where)
物語が繰り広げられる街や各出来事が起こる場所なども設定しておきます。
自分が実際に行ったことのある場所であればイメージしやすいですね。
また、行ったことのない場所でも多少のリサーチをしておくとアイデアが広がる可能性があります。
誰が(Who)
主人公及び主要となる登場人物を鮮明にイメージしておきましょう。
性別や年齢などの基本情報は当然ですが、性格や話し方の特徴、行動の癖など細かいところまではっきりイメージするとキャラクターに深みが出て一人一人がより際立ちます。
何を(What)
主人公が何をするために行動しているのかという、いわば物語の肝となる部分です。
目標や目的などを定め、その小説がどこに向かっていくのかということを明確にします。
なぜ(Why)
主人公がなぜそのような行動をとっているのか、つまり行動の動機を決めます。
ここには主人公の心情というものが大きく関わってきます。
境遇や状況などを鑑みて、主人公がどのように考え、感じたのかという心情の動きをよく考えましょう。
どのように(How)
手段や行動など、どのようにして目標や目的を目指すのかという部分です。
ここはそのままストーリーになるものでもあり、ここまでの5Wを踏まえた上で考える必要があります。
小説の面白さに直結してくる部分なので、作家の腕の見せどころといってもいいですね。
ただ、プロットを決めた後に「このプロットで書き進めて良いのかわからない」という方も多いですよね。
そんな方は、アミューズメントメディア専門学校の小説・シナリオ学科のプロットコンペに参加し、アイディアだけでまずはチャレンジするのがおすすめです。
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キャラクター設定
人物の性格、ビジュアル
登場人物の基本設定を決めます。性格の設定は行動に大きく関わってきますし、ビジュアルも考えておくことで作者的にも登場人物のイメージがしやすくなり、よりリアリティーのある人物描写ができるでしょう。
イメージのしやすさを考えると、実際に身近にいる人などを参考にしてもいいかもしれません。
生い立ち、境遇
登場人物の生い立ちや境遇は行動の動機にも直結する部分です。
ここにより読者を引き寄せるものがあると、自ずと面白い小説になっていきます。
読者の共感を得るためにはある程度のリアリティーが必要ですが、だからといって現実にありふれたような設定では面白みがないため、絶妙なラインでの設定が難しいところでもあります。
抱えている問題
登場人物が抱えている問題というのは、物語の終着点につながってきます。
そのため問題と結末があまりにもかけ離れていると一貫性のない小説になってしまいます。
登場人物の目的と動機ははっきりさせておきましょう。
解決するための手段
手段は言い換えれば登場人物の行動ということになります。
本来、人の行動には性格や境遇、抱えている問題などの要因が関係してきますから、自分が設定した登場人物の設定に則って「このキャラクターだからこの行動をとるだろう」としっくりくるものを考えることが望まれますね。
相関図
キャラクター同士の関係性というのは、時に物語の展開を大きく変える鍵になり得ます。
相関図を作っておくと自分の頭の中で様々な関係性が整理でき、あらゆるエピソードが浮かんだり伏線を張ることができたりします。
キャラクターの設定で悩んだら、プロの小説家がどんなキャラクターを書いているのか参考にするのが一番です。
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舞台設定
舞台の世界観
舞台の世界観は小説のジャンルを決定づける重要事項ですね。
現実世界の話なのか異世界の話なのか、日本の話なのか外国の話なのかなど様々な設定が考えられます。
舞台のルール(魔法・政治状況等)
舞台のルールの設定に関しては丁度いい節度が必要になります。
始めにルールを細かく設定しすぎてしまった場合、あとあとルールに縛られすぎて展開が行き詰まってしまう可能性がありますし、反対に緩いルールを設定してしまうと面白みに欠ける作品になってしまうかもしれません。
舞台の歴史
作中に描かれる時系列にはなくとも、小説の世界にはそれまでの歴史やその先の未来というのが存在していることが前提です。
どういった歴史をたどって物語で描かれている状況になったのか。またその後そうなっていく世界を描くのかということを大まかにでも考えておくと、より説得力のある小説に仕上げることができるでしょう。
舞台の相関図
小説の中にいくつかの舞台が並列して存在する場合があります。その場合には、並列する舞台同士の相関図を定めておく必要性があります。
例えば国同士の争いのお話などではいくつかの国の状況が並行して描かれますよね。
そしてそれらの国が戦い関わりあう場面というのも出てきます。こうした時に作者の中で国同士の関係性というのが定まっていなければ、話に矛盾が生じてくる可能性がありますよね。
現実とは違う異世界のお話などではなおさら、舞台同士の関係性を明確にしてきちんと説明する必要があります。
舞台設定を考えるのが難しい場合には、まず「完結したストーリーを書き上げる」ことを目標に基礎的な文章力と構成力を磨くのがおすすめです。
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詳細を詰める
キャラクター設定や舞台設定を大まかに決めたら、詳細を詰めていきます。ここまで決めたことを組み合わせていくと、どうしても辻褄が合わないところなどが出てくる場合があります。
極端な例ですが、例えば時代設定が1990年代なのに高校生が普通に携帯電話を持っているなど、細かく見返していくとおかしい部分や矛盾している部分が見えてきたりします。
小さな直しを怠らずより穴のないプロットを作成することで、完成度の高い小説を書くことができますよ。
一番おすすめなのは、プロの小説家に読んでもらって、アドバイスをもらうことです。
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プロのプロットについて
乙一さん
『ZOO』や『暗いところで待ち合わせ』などで知られる乙一さんは、プロットを書く際にはまず物語の起点と結末を決めるそうです。
そしてこの起点から結末までの一直線の間を起承転結で章分けし、さらに次の章に移るための変曲点を振り分けていきます。
ここまでで4つの章と3つの変曲点という7つのパートに分かれるので、そこに具体的な意味づけをしていきます。
例えば、起が「登場人物や舞台、世界の説明」、起から承への変曲点が「問題の発生」、承が「問題への対処」、章の変曲点が「問題が深刻化、主人公が窮地に陥る」といった具合に、穴埋め方式で具体的な物語の展開を決めていくようです。
望公太さん
ライトノベル作家の望公太さんはキャラクターの設定を細かく決めるそうです。
主人公だけでなく仲間となる登場人物のプロフィールもしっかり決め、その舞台で使われる専門用語も詳しく設定してプロットをより見やすくしていきます。
また序盤はある程度大まかに書き、後半に進むにつれてセリフや動作など細かい描写を入れていくという形をとっています。
編集者に見てもらうものであるため、分かりやすくプロットを書いているようです。
五十嵐貴久さん
『交渉人』や『パパとムスメの7日間』などで知られる五十嵐貴久さんは望公太さんとは反対の考え方で、自分が分かればいいという形をとっているようです。
例えば「秋。表参道。ネカフェに中年男が入っていく。」のように、「いつ」「どこで」「誰が」「何をしたか」という必要な情報だけを書いていきます。
箇条書きでまとめるくらいでもいいと考えているようです。
プロットで重要なのは長文を書かないことで、あくまで設計図であるということを忘れないことだと話しています。
このように、プロのプロットの作り方を知っておくのは大切ですが、小説家デビューのためには、プロからアドバイスをもらうのが重要です。
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まとめ
ここではプロットの基本的な書き方や考え方をお話ししてきました。
小説はいきなり書き始めていいものではなく、プロットにまとめることによって頭を整理してから書くのが好ましいということはお分かりいただけましたでしょうか。
作家によって書き方は様々ですが、いずれにせよプロットは自分の小説の設計図だということを意識して書いていきましょう。
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