三点透視図法とは、遠近感のある背景を描く時に使用する表現方法の一つです。
構図をダイナミックに魅せることができ、ビルなどの建物を描く時によく活用されています。
今回は、三点透視図法の基本や、三点透視図法を使ったイラストの描き方を簡単に解説していきます。
パースやアイレベル、消失点、他の透視図法などといった、三点透視図法を理解するために必要な基礎知識も紹介。
背景イラストへの苦手意識を取り除きたい方は、是非この記事を参考に練習してみてください。
三点透視図法を理解するための基礎知識
まずは三点透視図法の解説を理解するために必要な基礎知識を紹介します。
アイレベル、消失点、パース、パースラインの四つは必要な知識です。
知識が曖昧な方はおさらいしましょう。
アイレベル
イラスト制作におけるアイレベル(EL)とは、イラストを描く時の視点の高さのことです。
例えば、物体の写真を撮るときは、カメラのアングルの高さによって物の映り方が変わりますよね。
写真でいうアングルの高さが、絵でいうアイレベルを指しています。
アイレベルよりも上にある物を描く時はアオリと言います。
物体を見上げるようなアングルです。
反対に、アイレベルより下にある物を描く時は俯瞰と言います。
物体を見下ろすようなアングルです。
消失点
消失点(VP)とは、透視図法において、奥行きの方向に平行な線を延ばした時に、線が交わる点のことです。
パース
イラスト製作におけるパースとは、線を使って空間を表現する「透視図法(線遠近法)」のことです。
パースを理解することで、背景やキャラクターを立体的に見せることができ、画面に臨場感与えることができます。
ちなみに平面上で物の遠近を表現する方法は透視図法だけではありません。
色彩遠近法や重ね遠近法などがあり、色に違いを持たせたり、物と物を重ねて描いたりすることでも、遠近感を表現することができます。
パースライン
パースラインとは、パースを使って対象物を描くときに、対象物から消失点に向かって伸ばした線のことです。
三点透視図法を解説
三点透視図法とは、三点の消失点を使って立体図を描く透視図法のことです。
透視図法には他に一点透視図法と二点透視図法があり、消失点の数によって決められています。
三つの透視図法に共通することは、消失点に向かうほど物体は小さくなり、手前に近づくほど物体は大きくなるということです。
消失点が増えるに従ってパースのつき方が複雑になるため、一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法の順に解説していきます。
一点透視図法
透視図法の基本となる、一点透視図法を解説します。
一点透視図法は、図のように真正面から物を見た時に使う遠近法です。
奥行きが一つしかないため、消失点はアイレベル上に一つになります。
また、物体の縦と横の線は、アイレベルに対して垂直・並行になるのも特徴です。
二点透視図法
次に、一点透視図法の応用となる二点透視図法を説明します。
二点透視図法は、図のように、真正面に向いていた物体を真横に少し回転させたような立体図を描くときに使います。
奥行きは二つあるため、消失点もアイレベル上に二つです。
また、物体の縦の線はアイレベルに対して垂直ですが、横の線はアイレベルに対して平行ではありません。
三点透視図法
最後に、二つの透視図法の応用となる三点透視図法を紹介します。
三点透視図法は、図のように、真正面に向いていた物体を横方向と縦方向(上下)に少し回転させたような立体図を描く時に使います。
全てにパースがかかっているため、奥行きは三つ、消失点も三つです。
また、三つの消失点のうち、二つの消失点はアイレベル上にありますが、三つ目の消失点はアイレベル上にありません。
三つ目の消失点の位置は、俯瞰の場合は画面下、アオリの場合は画面上です。
アイレベルに対して並行な線はなく、正面の縦線だけがアイレベルに対して垂直になります。
三点透視図法を使ったイラストの描き方
三点透視図法の描き方を簡単に解説します。
二つの消失点を設置する
アイレベル上に、二つの消失点を書きます。
上面を描く
次にアイレベルから離れた位置に二つの点を設定し、それぞれの消失点から設定した二点に向かってパースラインを描きます。
この時、設定する点の位置がアイレベルから離れすぎると、パースがきつくなり不自然な立方体が完成してしまうため注意しましょう。
パースラインが混じっている中にできた四角形が物体の上面となります。
三つ目の消失点を設置する
アイレベルから上面を描いた方向に向かって、更に離れた位置に三つ目の消失点を描きます。
三つ目の消失点に向かってパースの線を描く
先に描いた二つの消失点、上面の各頂点から、三つ目の消失点に向かってパースラインを描きます。
底面を描く
上面の各頂点から三つ目のパースラインに向かって描いた線上に、物体の高さとなる点を描き、アイライン上にある各消失点と繋げます。
物体の内側にできた四角形が底面です。
パースラインを消す
最後にパースラインを消して完成です。
背景イラストを描く時の消失点の位置
三点透視図法を活用して建物などを描く時、高さが短いと不自然に見えます。
三つ目の消失点の位置は、かなり離して描くことが自然に描くコツです。
また、画面上に消失点を描くと建物の大きさがかなり大きくなるので、消失点は画面外に描くよう注意しましょう。
まとめ
今回は三点透視図法について解説しました。
イラストを描き始めた方にとって少し難しい内容ですが、イラストは基本とコツを押さえながら何回も練習することで上達します。
今回の内容を意識しながら様々な背景イラストを描いてみてください。
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