アニメにおける作画って何？作画崩壊について

アニメ業界で働くことを目指しているのなら、「作画」という言葉を一度は聞いたことがありますよね。
作画は、アニメーションの制作工程の一部であり、専門の担当者がいます。
作画担当は制作の中で重要な役割を担っている為、やりがいも大きいのが特徴です。
そこで今回は、アニメにおける作画について詳しく解説していきましょう。

作画とは

作画とは、アニメーションにおいては前述している通り制作工程の一部のことです。
制作の中では、まずは絵コンテを元にして、より細かく実際にアニメに放送されるクオリティでキャラクターなどを描いていきます。
この作業を行う人のことを「原画マン」と呼びます。
その後、アニメーションとして放送する際動いて見えるように「動画」という素材を作っていく作業をしていきます。
この作業を行う人のことは「動画マン」と呼びます。
この一連の流れが「作画工程」になります。
作画と原画、動画をごちゃまぜに捉えないように気をつけましょう。

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作画のクオリティがアニメ作品のクオリティになる

作画は、アニメーション制作の中で肝となる工程です。
作画のクオリティがアニメ作品のクオリティと言っても過言ではありません。
作画の時点でクオリティが低い絵を描いてしまったら、物語や挿入歌がどんなに素晴らしいものであっても、作品の質を落とすことに繋がりかねないからです。
作画工程の担当者は、それだけ重要なポジションを任されているということになります。

作画のクオリティが低いと作画崩壊と呼ばれる

さて、作画のクオリティがそのままアニメ作品のクオリティになるということを解説しましたが、このことは過去のアニメ作品が教えてくれています。
ネット上などで「作画崩壊」と呼ばれる言葉を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
この言葉は、まさに作画のクオリティが低いアニメ作品があったことで生まれました。
名前の通り、作画が崩壊している様を表す言葉です。
作画崩壊が起こる原因として考えられているのは、主に以下の2つです。

• 人手不足
• 予算不足

それぞれ見ていきましょう。

作画崩壊の原因１：人手不足

作画工程は一人や二人ではとても担当できません。
その為、ある程度の人数が必要なのですが、今のアニメ業界は慢性的な人手不足に悩まされており、なかなか作画担当者が見つからないといった事態も起こってしまいます。
しかし、それでもアニメは放送日や公開日が決まっているので、締め切りは来てしまいます。
そうなると、今いる作画担当者だけでなんとか対応しようと、作画のクオリティそっちのけで作業をしてしまう場合もあるんですね。
もちろん、クオリティそっちのけの作業になっている分、細かな部分は省略して描いてしまうでしょうし、場合によってはキャラクターの顔が全然違うということも起こり得ます。
こうなると、やはり作品のクオリティは下がってしまいますね。

作画崩壊の原因２：予算不足

作画担当者が足りないということにも繋がりますが、そもそもの予算が足りないという場合もあります。
簡単に言うと、作画担当者を雇えるだけの予算がないということです。
近年はアニメ業界の人手不足だけでなく、不景気も続いています。
その為、スポンサーはアニメ作品の予算を削ろうとする傾向があります。
結果、少ない予算でなんとかやりくりしなくてはならなくなり、作画担当者を減らして対応するしかない場合もあるんですね。

国外の下請け会社に作画を発注する場合も

また、日本の作画担当者は雇うことが出来ないけれども、海外の下請け会社であれば安価でなんとか依頼できる、という理由で作画を外部に発注することで、クオリティが維持できなくなる場合もあります。
海外の作画担当者には、なかなか細かいニュアンスを伝えることが出来ないのが主な原因と言われています。
表情や、動き、背景の色など、日本語でないと伝わりにくいことも多い為、クオリティの維持が難しいんですね。
しかも、そのニュアンスを理解してもらえないが為にとんでもないクオリティの原画や動画が納品されたとしても、それを直せるだけの予算もスケジュールもない場合は、そのまま放送するしかなくなります。
人手不足と予算不足は、作画崩壊の大きな原因と言えます。

主な作画崩壊の例

ここからは、アニメ作品に起きてしまう作画崩壊の主な例を紹介していきます。
基本的には、以下の二つです。

• 背景パースの狂い
• キャラクターデッサンの狂い

さらに詳しく見ていきましょう。

背景パースの狂い

背景パースとは、背景の遠近感を表現する手法のことです。
普段から絵を描いている方なら、先にキャラクターを描いた後に背景を付け足したら不自然になってしまった、なんて経験がある方もいるのではないでしょうか。
この状態が、背景パースが狂っている状態です。
キャラクターが立っている地面が不自然に斜めに見えたり、明らかにキャラクターの等身大に合わないような建物が描かれていたりすれば、よほど特殊なカットでない限りは背景パースが狂っています。
背景は基本的にはあまり動かない為、動いて見えるようにわざと歪めて描くことも少ないです。
作画崩壊の最もわかりやすい例の一つと言えます。

キャラクターデッサンの狂い

次に紹介する例は、キャラクターデッサンの狂いです。
静止画で明らかにキャラクターの顔が別人だったりする場合は、これにあたります。
ただし、キャラクターの場合には、動かす為にわざと体や顔を歪めて描いていることもあります。
現代はパソコンやスマートフォンで簡単にキャプチャを撮ることが出来てしまう為に、動画として描かれた部分が作画崩壊として挙げられてしまう場合もありますが、動画として見てみて違和感がなければ作画崩壊ではないので注意しましょう。

まとめ

いかがでしたか。
今回の記事では、アニメにおける作画について解説してきました。
ここまでの内容を簡単にまとめてみましょう。

• アニメにおける作画は制作工程の一部
• 作画のクオリティはアニメ作品のクオリティに直結する
• 作画崩壊は「人手不足」や「予算不足」で起こる
• 作画崩壊の例は「背景パースの狂い」や「キャラクターデッサンの狂い」

作画は、アニメーションの制作工程の中で重要な役割の一つです。
現代は作画崩壊という問題を抱えている工程でもありますが、逆に言うとこの工程次第で素晴らしい作品に近づくと考えればやりがいは大きい仕事だと言えますね。