今の時代、ゲームや映画などさまざまなコンテンツにおいて3Dモデルが使用されています。
みなさんの中にも、そのような3Dモデルを自分で作ってみたいと考えたことのある人がいるのではないでしょうか。
3Dモデルの作り方は難しいと思われがちですが、3D制作用のソフトを用いることで意外と簡単に作ることができてしまいます。
今回は3D初心者の方に向けて、3Dモデルの作り方について解説していきたいと思います。
- この記事の監修者
- アミューズメントメディア総合学院 ゲーム・アニメ3DCG学科では、モデリングやエフェクトなど、企業が求めるスキルを幅広くマスター。
- 2年間で計4回のチームでの制作実習の経験を生かし、カプコンなど大手企業で先輩たちも活躍しています。
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- 2年間で計4回のチームでの制作実習の経験を生かし、カプコンなど大手企業で先輩たちも活躍しています。
目次
3Dモデルとは
3Dモデルとは、3次元の立体として作られたモデルデータのことをいいます。つまり、3Dの人や動物などのイメージということになります
平面上のイメージである2Dとは異なり立体的なイメージであるため、全角度から姿を捉えることができます。
3Dモデルの多様性
近年はゲームやアニメ、映画や、CM、ミュージックビデオ、VR・AR、バーチャルYouTuber(VTuber)の配信動画など、あらゆるコンテンツに3Dモデルが取り入れられています。
アニメーション映画の中には、キャラクターから背景まで、すべてが3Dモデルで制作されている作品もあります。
このように3Dモデルは、多方面で活用されているデータであり、私達にとって大変身近なものなのです。
3Dモデルの使い道
では、自作した3Dモデルにはどのような使い道があるのでしょうか?
以下で具体的に紹介します。
自作ゲームやアニメーションに使う
ゲームやアニメーションを作るのに3Dモデルを使いたい時、自作すれば思い通りの世界観を表現できますし、頭に描いた通りの物や人物を登場させられます。
特にストーリー重視で作るゲームやアニメーションの場合、世界観に合った3Dモデルなら没入感が高く、いっそう楽しめる作品に仕上がることでしょう。
VTuber活動に使用する
近年増えているVTuberは、2Dまたは3Dのアバターを用いて動画を制作します。
配信者のアイデンティティーとも言えるアバターは、自分にとっての理想の姿であってほしいですよね。
自作の3Dモデルなら思いのままに容姿を作ることができ、理想通りのアバターを生み出せます。
オリジナルフィギュアを作る
オリジナルフィギュアを作るために、3Dモデルを作成する方もいます。
オリジナルフィギュアを自宅で作る時は3Dプリンターを使いますが、この時、3D化したい物の3Dデータが必要になります。
3Dモデルの作り方
ここからは、3Dモデルの作り方を手順に沿って見ていきます。
それぞれの工程を詳しく解説するので、「自分で3Dモデルを作ってみよう!」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1:3Dにするキャラクターの三面図を用意する
まずは、三面図を用意することから始めましょう。
三面図とは3Dを2Dで表現する方法の1つです。3D化したい物を三方向からの視点で描いた、簡易的なイラストを指します。
通常は正面、側面、平面の三方向を描きますが、人物の場合は正面、横、背面の三方向を描くのが基本です。かつパースがない方が、下絵としての役割を存分に果たしてくれます。
また、複雑な形状の物を3D化する時は、異なる方向から見たイラストを追加で用意することがあります。
三面図がなくてもモデルを作成することは可能ですが、三面図を用意した方が精微な3D3Dモデルが完成します。
2:モデリングを行う
三面図を描き上げたら、次はモデリングを行います。
モデリングは、2Dデータを用いて3Dグラフィックの形状データを作成する作業です。モデリングを専属で行う人もいて、これらの人はモデラーと呼ばれます。
モデリングの中で、もっとも一般的な手法は「ポリゴンモデリング」です。
ポリゴンとは、三角形や四角形などにおける面を意味します。そして、こうしたポリゴン(多角形)を複数作り、物や人の形を描いていく作業がポリゴンモデリングです。
ポリゴンモデリングでは、三面図を下絵として用いながら、x軸とz軸に頂点を配置し、線で繋ぐことで、モデリングをしていきます。一度構築させた物や人であっても、頂点を移動させたり、頂点と頂点の間に別の頂点を配置したりすることで、擬似的に曲線を再現できるのが特徴です。
ただし初心者の方は、ポリゴンや頂点を作りすぎないようにしましょう。作りすぎてしまうと扱うのが難しくなるので、最初のうちはある程度少なめに作るのがおすすめです。
ちなみにポリゴンモデリングの他には、「スカルプティング」と呼ばれるモデリング手法もよく知られています。主に筆圧感知機能のあるペンタブレットを使用して形を作る手法です。
感覚的にモデリングしやすく、きめ細かく作れるといった特徴がありますが、ゲームなどに組み込む際に、特殊な処理をする必要があります。
3:テクスチャ・マテリアルを設定する
モデリングにより形状データを作成した後は、テクスチャ・マテリアルの設定を行います。
色や質感を付与したり、透過率などを設定したりすることで、無機質な3Dモデルにリアル感を持たせるための作業です。色を付与する『カラーマップ』、質感を持たせる『テクスチャマッピング』、透過率を調整する『透過マッピング』など、設定する内容によって作業の名称が変わります。
4:リギングを行う
モデリングとテクスチャ・マテリアルの設定を行うことで、3Dモデルは完成します。
ですが、このままでは思い通りに動かすことができず、ただ立っているだけのキャラクターでしかありません。そこでリギングという作業を行って、キャラクターが動く仕組み(リグ)を作っていきます。
リギングでは、まずボーン(ソフトによっては『スケルトン』もしくは『バイブ』)をキャラクターに埋め込み、リグを生成します。
その後、キャラクターを動かしても不自然に見えないように調整します。すると、ボーンを動かすことで3Dモデルを自在に動かすアニメーションが可能になるのです。
ちなみに、このリギングという作業も専属で行う人がいて、リガーと呼ばれます。
5:レンダリングする
最後に、3Dデータのファイルを2Dの静止画や動画として書き出す(生成)作業、レンダリングを行います。
レンダリングをすることで、画像や映像を出力できるのですが、特に映像を出力するには多大な時間が費やされます。
そのため、テクスチャーなどの段階で簡易的にレンダリングを幾度か行いつつ、最後に微調整をするのが一般的です。
3Dモデル作成用パソコンの目安スペック
3Dモデルの作成には、基本的にパソコンを使用します。作成自体はスマホでも可能ですが、使えるツールや使い勝手が違います。本格的に作りたいなら、パソコンがおすすめです。
ただし、3Dモデル作成に使うパソコンは、最低限のスペックを満たしていなければなりません。スペックが足りないパソコンでは作業時の待ち時間が長くストレスを感じますし、ソフトが動かないこともあります。
スペックの高いパソコンを持っていない場合は、新しく購入することを検討しましょう。
3Dモデル作成用にパソコンを購入するなら、以下の表を目安に製品をお選びください。
CPU | Core i7以上 |
---|---|
メモリ | 32GB以上 |
ストレージ | SSD500GB |
GPU | GPUメモリ8GB以上 |
おすすめの3Dモデル作成用ソフト
3Dモデルは、専用のソフトやWebサービス、アプリなどを使って作成します。
特に3Dモデル作成用ソフトは、知識ゼロの初心者でも扱いやすいソフトから、プロが使う高機能なソフトまで多種多様です。
ソフトによって機能や使い勝手に違いがあるので、自分に合ったツールを探してみてください。
ここでは、おすすめの3Dモデル作成用ソフトを、無料ソフトと有料ソフトに分けてご紹介します。
無料ソフト
初心者の方に向いているのが、無料ソフトの利用です。
使い始めてから「自分に合わない」と感じても、すぐに別のソフトに変更できます。
シンプルで感覚的に操作できるソフトもあるため、初心者の方でも気軽に3Dモデルの作成にチャレンジできるでしょう。
Blender
「Blender」は有志の寄付によって開発された、統合型3DCG作成専用ソフトです。
Blenderには、無料のソフトなのにもかかわらず、有料ソフトに匹敵するほどの豊富な機能を備えているというメリットがあります。
チュートリアルもネットに多く出ており、CG作成初心者でも扱いやすいソフトとして人気があります。
全く3D作成の経験がなく、まず手始めに無料で3Dモデルを作ってみたいという方は試してみてください。
Meshmixer
「Meshmixer」はスカルプト系の無料の3DCG作成専用ソフトです。
メッシュ合成機能や最適な形でサポート素材をつけられる機能など、3Dプリントに適した性能が豊富な点が大きなメリットとなります。
さらに、3Dプリント用にデータを修正したり、備えられているいくつかのベースモデルを組み合わせて簡単に質の高い3Dモデルデータを作成したりと、とても使い勝手の良いソフトになっています。
無料で使える3Dモデルが1万点以上公開されているのも魅力です。
有料ソフト
より本格的な3Dモデルを作りたいと考えている方には、有料ソフトをおすすめします。基本的に無料ソフトよりも機能が充実しています。
3DS MAX
「3DS MAX」はAutoDesk社によって開発された、高品質で機能性に富んだ3D作成専用ソフトです。
数ある専用ソフトの中でも特に多くの機能を備えたソフトになっており、この「3DS MAX」か後述の「MAYA」があれば、CG作成のほとんどの作業ができると言われています。
世界中にある多くの3D制作会社でも導入されており、ハリウッド映画に使用される3Dデータの作成などに使われています。
価格はプロ仕様のソフトなりにやや高めに設定されていますが、最初の30日間は体験版として無料で使用することができます。
この他に、学生の方は無料です。
metasequoia
株式会社テトラフェイスが開発した国内産の3D作成ソフト「metasequoia」は、各コマンドの視認性が良く、動作が軽いという特長があります。3D作成ソフトにおいて動作の軽さはとても重要で、ストレスなく作業を行うことができます。
有料ソフトの中では安めの価格設定であり、無料版もあるため、無料ソフトから乗り換えたいという方にもおすすめです。
MAYA
「MAYA」は先述の「3DS MAX」と同じく、AutoDesk社によって開発された、高品質で機能性に富んだ3D作成専用ソフトです。高性能な3D作成ソフトでは、50%以上のシェアを占めるほど人気があります。
こちらのソフトも世界的に多くの制作会社が導入しており、授業に取り入れている学校や企業なども存在しているほど、勉強しやすいソフトでもあります。
「3DS MAX」にはないメリットとして、MELがあることによって豊富な機能を備えるプラグインの開発が出来るようになっています。
カスタマイズの選択肢がとても多い、まさに使いがいのあるソフトだと言えます。
3Dモデル作成に関連する専門用語
3Dモデルを作成する時は、たくさんの専門用語を目にします。
意味が分からないと、作業が中断してしまうことも。
こちらでは関連する専門用語の意味を簡単にご紹介しますので、ぜひお役立てください。
エフェクト
様々な目的をもって映像に加えられる爆発、発光といった表現のことです。
作品を盛り上げたり、リアリティを増したりする効果があります。
シェーディング
3Dモデルに対して陰影をつけることです。
シェーディングをすることで、3Dモデルにさらなる立体感を与えることができます。
トポロジー
ポリゴンによって作られる網掛け(ポリゴンメッシュ)の流れのことです。
ポリゴンを細分化する作業を指すこともあります。
リトポロジー
ポリゴンの数を減らす作業のことです。
主にデータ容量を軽量化するために行われます。
ローポリゴン/ハイポリゴン
ポリゴン数を表す言葉です。
ローポリゴン(ローポリ)はポリゴン数が少なく、ハイポリゴン(ハイポリ)はポリゴン数が多いことを意味します。
ハイポリゴンになるほど、滑らかな形状の3Dモデルが出来上がります。
3Dモデルは業者からの購入も可能
3Dモデルは自作するだけではなく、プロの制作業者から既製品を購入することもできます。
代表的な例として、「CGtraⅮer」や「sketchfab」などでは3Dモデルデータを販売しています。
プロが作成したデータであるため品質は申し分ないので、とにかく早急に3Dモデルデータが必要だという方に適しているでしょう。
ただし、業者から3Dモデルを購入するには費用がかかりますし、自分で作成するという目的も果たせません。「自分で3Dモデルを作ってみたい」という方には向いていません。
「自作したいけど難しい」という方は、専門学校やスクールに通って、知識や技術を学ぶ方法がおすすめです。
充実した環境で効率的に、3Dモデルの作成に必要な知識・技術を身につけることができます。
将来、プロとして3Dモデルの作成に携わることも夢ではありません。
仕事としての3D作成に興味がある方は、下記コラムもぜひご覧ください。
メタバースの実用化に伴い、可能性が広がる3Dモデル
ゲームやアニメ、映画など、様々なコンテンツで活用されている3Dモデル。ビジネスでの活用も増えており、例えば製造業では設備の効率化のため、生産ラインの3Dモデル化が図られているようです。※1
そんな3Dモデルは、今後さらに活躍の幅が広がることが予想されています。近年、メタバースに大変注目が集まっているためです。
メタバースとは、簡単に言うと「自由に活動できるインターネット上の仮想空間」のことです。実用例としては、仮想のイベント会場にアバターで参加するバーチャルイベントや、街独自のイベントをアバターで楽しむバーチャルシティなどがあります。
仮想空間は、新型コロナウイルス感染症の流行による巣篭もり需要で利用が急増しました。※2
また感染拡大予防の観点から、これまで対面で行われていたコミュニケーションを仮想空間上で再現することが現在の課題とされています。
こうした需要を満たし、課題解決を助けるのがメタバースと考えれば、注目されていることにも納得です。
そして、メタバース内の背景やアバターは、主に3Dで作られることから、今後メタバースの実用化が進めば、3Dモデルの可能性も広がると言われています。
3DCGを学ぶならメタバースを知ろう!仮想空間の新しい可能性
3Dモデルの作成に興味がある方は、専門学校やスクールで知識・技術を身につけてはいかがでしょうか?
趣味として理想の3Dモデルを作れるだけではなく、仕事として将来に役立てることができるかもしれません。
※1 3D活用で設備の設計を効率化しよう~時短・生産性を向上させる工夫~|厚生労働省
※2 「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を取りまとめました|厚生労働省
まとめ
ゲームや映画などで見かけることも多い3Dモデルは、無料や有料のソフトを使うことで誰でも自作することが可能です。
ソフトによって特徴があるため、自分の作りたいイメージに合わせて選んでいくと良いですね。
今後さらに進歩するであろう3D技術。作り方を知っておくことで、自分の強みとして活かすことができるかもしれません。
東京でゲーム業界を目指されている方は「アミューズメントメディア総合学院」で学びませんか?
東京のアミューズメントメディア総合学院のゲームクリエイター学科、ゲーム・アニメ3DCG学科は、「カプコン」「レベルファイブ」「アソビモ」「エイミング」等、業界就職率98.5%の実績を誇ります。また、AMGグループが提供する「産学共同プロジェクト」で在学中から実際の商品の開発に携わることができ、一般的な学校では学べない経験とスキルを身に着けることができます。ご興味がある方は以下のリンクをご覧ください。
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