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プロダクション I.G 後藤隆幸さん特別講義

4月21日(水)、プロダクション I.Gのトップアニメーターである後藤隆幸さんをお招きし、特別講義を開催しました。後藤さんは、学生の中にもファンが多い『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの作画監督や、最近では2009年にNHKで放映された『獣の奏者エリン』のキャラクターデザインを担当されました。

講義の様子

特別講義ではそれらの作品の制作に関わる貴重な資料を実際に見せてくださったり、他にも後藤さんの学生時代のお話や、後藤さんがアニメーターの採用面接の際に見ているポイントなど、就職活動を控えた学生にとって大変参考になるお話しをしてくださいました。

■専門学生時代は、どんな生活を送っていたんですか?

実は、そんなに絵がうまい学生ではありませんでした(笑)。おまけに僕は背景がやりたかったんですが、入学した専門学校には背景のコースがなくて。でも、そんな状態で絵を勉強し始めたからこそ、真っ白なままこの世界に入って、いちから自分の色を築けて行けたと思います。

専門学校は1日2時間の授業しかない代わりに、授業料も月2万円くらいの学校でした。親からの支援を受けずに入学したので、アルバイトをしながら授業料を払っていましたね。毎日午前中は授業、午後から夜はアルバイトの日々。絵を描く時間は少なかったけど、その分ハングリー精神のようなものは養われた気がします。

■プロダクション I.Gの入社試験はどのようになっていますか?

まず、第一次選考で作品を提出してもらいます。その時点で応募総数の10分の1くらいに絞られます。次に面接・実技・作品提出をお願いしています。

―面接ではマジメな人とユニークな人、どちらがいいですか?

特に基準はありませんが、個性のある人は魅力的ですね。作品提出にしても、模写やクロッキーは、ある程度できているのは基本だと思っています。しかし、模写やクロッキーではその人の個性が現れにくく、かと言ってPhotoshopやPainterを駆使した色付きのカラフルな絵も、線画をごまかしてしまえるので、私たちはあまり見ません。きれいにトレスされている絵よりも、見ていてその人らしさがわかる絵、勢いのある面白い絵はとても素敵ですし印象にも残ります。「落書き」のような絵や、オリジナルの絵の方がその人の個性を判断しやすいですね。

―きれいに模写することはできても、オリジナルを作る時に行き詰まってしまう学生も多いのですが、何かアドバイスはありますか?

真剣に耳を傾ける学生たち

みなさんはオリジナルを作る時に、「テーマ」を決めていますか?
「こういうのが好きだから、描きます」というのだけでは少し弱くて、どうしても既存のキャラクターに似てきてしまうんですね。現場でアニメを作る時にはきちんと企画書があって、その企画書には登場人物の細かい性格やシナリオが決められていて、そこから想像を膨らませてキャラクターを作ります。

だから、自分で細かい設定やストーリーを作ってからキャラクターを描いてみましょう。そのキャラクターは今どんなことで悩んでいて、どんな友達がいて、どんな性格をしているのか、など。そうすることで広がったキャラクターの個性を絵に集約させてみましょう。

■チャンスの女神に後ろ髪はない!

あと、話は本線からは少し離れますが、僕の経験から学生さんにお伝えしたいことがあります。それは「チャンスの女神に後ろ髪はない!」ということ。チャンスの女神が現れたら、すぐにつかまえてください。通り過ぎてしまってからつかまえようとしても、後ろ髪はないので、捕まえることができません。チャンスをものにするには、その瞬間が大切なのです。

僕はプロダクション I.Gを立ち上げる前、タツノコプロダクションさんにフリーのアニメーターとして籍を置いていたのですが、当時プロデューサーをしていた石川(現I.G社長)に「自分はこういうのを描くんだ」とオリジナルキャラクターをよく見せていたんです。ある時、石川に新しい作品の話が来た時に、僕のオリジナルのキャラクターを覚えていて、新番組のキャラクターデザインのコンペに出てみないかと誘ってくれたんです。それがきっかけで『赤い光弾ジリオン』という作品のキャラクターデザインを担当することができたんです。

だからみなさんも、「自分は今、こんなのを考えたんだ」ということを先生など身近な人に積極的に自分からアピールしていってください。チャンスはどこに転がっているかわかりませんから、巡って来るのを待つよりも、常に自分の所に来るように餌を撒いておくことが大切です。そして待望のチャンスが来たらしっかりつかむ。このことがプロになるととても大事です。

■アニメ制作の中での「アニメーター」の仕事について教えてください。

ひと口にアニメと言っても、シナリオを書く人・アニメーター・背景を描く人・色を塗る人…本当に様々なセクションのスタッフがひとつになってやっと映像になっていきます。 みなさんの多くはアニメーターを目指されていると思います。I.Gに入社していただくと、最初は動画からスタートしてもらいます。動画というのは原画の絵をトレスして、タイムシートに従いながら絵と絵の間の動きを入れていく作業です。まずはここからステップアップして行けば、次は原画というお仕事をお任せします。原画はその名の通り、元の絵を描く人のこと。本来は原画の人が全ての絵を描くことができれば良いのですが、それでは非効率的で負担が大きすぎるため、日本の制作現場ではこの作業を複数の人に分けています。しかし、例えばこの教室にいるみなさん全員に「ドラえもんを書いて」と言っても、それぞれ違ったドラえもんが出来上がってくるはずですよね。その絵や動き方に統一感を出して整えるのが作画監督というセクションです。原画から更に作画監督にステップアップする人もいれば、ずっと原画に残る人もいますね。テレビアニメの場合はシリーズになっていて、だいたい全13話であれば3か月、全26話であれば半年間かけて放映します。そのシリーズ全体に統一感を持たせクオリティを保つために、総作画監督というセクションを置いて作品を作っていく場合もあります。

■原作やキャラ原案のある作品のキャラクターデザインで気をつけていることはありますか?

マンガが原作となるアニメのキャラクターデザインでは、原作者さんや原作マンガのファンの人たちの持っているイメージや期待があります。なので、できるだけ原作者さんやファンのかたの持っているイメージを大切にしながら、原作のテイストに近くなるようにキャラクター設定を制作し、「アニメキャラクター」として原作よりもパワーアップさせるような気持ちで努力をしています。

― 一方では個性を大切にし、他方では原作に忠実になれることが大切なんですね。

やはり私たちは絵描きなので、いかなる場面でも個性は大切ですね。原作に忠実ではありながらも、自分の「匂い」のようなものをアクセントとして絵に織り交ぜて行けると理想的なんですが。絵を描くときには原作のイメージや監督の意見など、あらゆるイメージを取り込んでいかなくてはなりません。そこに更に自分が込めたいイメージを加えて、止まっている姿からもそのキャラの性格がにじみ出るような、表情のある絵が描けると理想的ですね。そのためにも、実写の映画などを見ながら常に研究していますね。しかし一番は経験を積むことだと思うので、地道に絵を描き続けることを忘れないでくださいね。

■学生からの質問タイム

―落書きという話がありましたが、後藤さんは落書きからキャラの完成までどれくらいかかりますか?

『獣の奏者エリン』の時は、放送の始まる約10ヶ月前からラフのようなものを描き始めました。1話放送分を作画から作るには約3ヶ月は必要なので、初回放送の半年前あたりまでにはキャラクターデザインが出来上がっていなければ制作に入れません。そういう点からも、逆算すると「ラフ原画」レベルの初稿原案絵を描いている時期は約10ヶ月前ということになります。もちろん、作品によってスケジュールが違うので、必ず10ヵ月前ではなく、作品によって違いがでてきます。

―アニメ業界でも作画のデジタル化が進んでいますが、プロダクション I.Gでもデジタル化の話などは出ているのでしょうか?

確かに世の中にはそういう流れの向きもありますが、今のところI.Gでは作画デジタル化の話は出ていませんね。僕自身は手描きの方が好きなんです。鉛筆と作画用紙の引っかかりが大好きです。ペンタブレットで描かれた線よりもその人の味が出る線が描けるのが、手描きの良いところだと思っています。

―後藤さんが絵を描くときに大事にしていることはなんですか?

僕はアニメーターとしては、あまり上手なほうではないと思っています。派手なアクションも苦手です。でも、自分なりの表現方法でキャラクターに芝居をつけ、“後藤らしい”アニメートを心がけています。画面に映った時に“自分らしさ”が出ていること、それが僕のこだわりです。

―模写がうまくできないのですが・・・。

大阪校と生中継。東京校・大阪校ともに
たくさんの質問が飛び交いました。

アニメーターはいろんなジャンルの絵が描けなければなりません。様々なジャンルの絵に取り組むことです。
また、目や鼻といった小さいパーツ部分ばかりを気にしながら描いていると、結果として似ていない絵になってしまうこともよくあるかと思います。常に全体のバランスに意識をやりながら模写していきましょう。

また、絵がうまくなるためには模写は必要ですが、オリジナルのキャラを作る時には模写は邪魔なものになることもあります。コピーであっても自分というフィルターを通すことで、自分の絵にしていく。
バッタモノではなくて、「これはこれで成立する」と言われるような絵づくりをしていき、自分の絵柄を完成させていってください。

■最後に学生へのメッセージをお願いします。

よく言われるように、アニメーターというのは厳しい仕事です。しかし、男女も学歴も関係なくやっていける仕事でもあります。実力があればどんどんステップアップしていける仕事ですし、やりがいはあるはずです。儲からない仕事だと言われることもありますが、経験を積んで腕を磨けば、その技術でいくらでも稼げるようになる商売でもあります。 プロになることを目標にするのではなく、「何年後までにどんな仕事をしているんだ」という目標を明確に持って、それに向けて努力してください。私もこの業界でみなさんのことを待っています。

■後藤隆幸氏プロフィール

後藤隆幸 Goto Takayuki(アニメーター)
1960年生まれ。秋田県出身。株式会社プロダクション・アイジー取締役。
’87年アイジータツノコ設立に参加(’93 プロダクション・アイジーに社名変更)。
アニメーターとしては、TV・OVA「赤い光弾ジリオン」(87)、OVA「電影少女 VIDEO・GIRL・AI」(91)、OVA「僕の地球を守って Please Save My Earth」(89)、TV「赤ちゃんと僕」(96)、TV「ポポロクロイス物語」(98)、TV「ハンター×ハンター」(99)など他多数のキャラクターデザイン・作画監督を手がけ、マンガ原作を生かしたキャラクターデザインは高い評価を得ている。 またTV「攻殻機動隊 S.A.C.」シリーズや、「獣の奏者エリン」でもキャラクターデザイン・作画監督を務めた。

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