キネティックノベル大賞 特別講座が開催されました!

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キネティックノベル作品募集

6月30日(水)、キネティックノベル大賞審査員の北村州識さん(GA文庫編集長)と桜沢大さんをお迎えし、キネティックノベル大賞作品募集説明会を開催しました。

まず、「キネティックノベル」とはどんなものかということで、実際の映像を見せてもらいながらの説明をしていただきました。

■キネティックノベルの特徴

テキストがBGM・効果音・イラストに
合わせて表示されます。

キネティックノベルとは、言わば従来のライトノベルを音と映像でアップグレードさせたもののこと。主にPCから楽しむことができ、テキストを流しながらイラスト・BGM・効果音などによって演出効果を付与していく新しいタイプの表現媒体です。
効果音やBGMがどれだけの表現効果を持っているかについては、ハリウッド映画を1度音を消した状態で見るとわかると思います。臨場感が格段に落ち、とても退屈に感じると思います。「音」にはそれだけの表現効果がありますから、従来のライトノベルにこの「音」と「イラスト」が加わることで、表現の幅が格段に上がることがわかると思います。

また、キネティックノベル大賞では選ばれた作品のキネティックノベル化はもちろんのこと、小説の刊行も前提となっています。最初から出口が2つ以上用意されているというこの賞。デビューを目指し日々作品を執筆している学生たちはとても真剣な表情でお話を聴いていました。

■編集者は投稿された作品の何を見ているのか

賞の審査は、もちろん投稿された作品それ自体を審査することが大前提ではありますが、実は作品そのものと共に「作者」を見ている側面が強いと、北村編集長はおっしゃいました。
「この人はどんな風に仕事ができる人なのかな?」という視点で作品を見ていき、その作品を通してその人はどんなことが得意なのかを読み取っていきます。投稿された物語はたまたまあまり面白くなくても、「他に何かテーマを与えてそれを理解してもらえれば、きっと面白い作品が書けるだろう」という確信があれば、その作者をスカウトすることもあります。編集者というのはそうした新しい作者の才能を発掘するのも仕事なので、受賞作はもちろんのこと、受賞作以外であっても、何かしらのチャンスに巡り合う可能性があることを教えてくださいました。

「キネティックノベル大賞」の概要を一通りご説明していただいた後は、質疑応答の時間です。学生からは実に様々な質問が出されましたが、今回はその一部を紹介します。

■学生からの質疑応答

Q:「キネティックノベル」とは、どういう意味ですか?

A: キネティック【kinetic】とは、動的なという意味の単語なので、「動的な小説」という意味です。テキストだけではなく、音やイラストで物語を補強していく表現方法が映画にも似ているので、「映画」を意味する単語「キネマトグラフ」にも掛けてあるネーミングとなっています。
Q: 先ほど見せていただいたサンプル作品は文章が横書きで表示されていましたが、作品を提出する際は、横書きを想定して書けばいいですか?
A: 特に何も想定しなくてかまいませんよ。なぜなら、応募段階では最終的な製品の形が固まっていない状態なので、縦書き・横書き・改行などの文章形式は製品を作る最終段階で決めるからです。応募された作品のテキストファイルはエディタを使って読みます。従って、書式は審査には関係しませんので安心してください。応募段階ではとにかく「面白い作品を書く」ということに集中してもらって大丈夫です。

展開に合わせてキャラクターの
イラストが表示されます

文章・BGM・効果音・イラストのすべてを
駆使しながら物語は進みます

Q:実在する商品の固有名詞を作中で使う際は、伏せ字を使った方がいいですか?

A: 特定の商品名を使ったからと言って、すぐに何かペナルティが科されるというものではないので大丈夫です。もし商品名がまったく使えないのだとしたら、小説を書くのは大変困難な作業になってしまいますよね。

Q:では、他のライトノベルやコミック、アニメなどの作品のタイトルを作中で使うことは可能でしょうか。

A: 他の作品のタイトルを作中に出すことで「読者にどんな影響を与えるか」という観点から考えると、少し注意が必要です。というのも、ライトノベルの場合読者は基本的にその物語の中に入り込んで楽しむものです。その時に、実在する他の作品のタイトルが出てきた瞬間、入り込んでいた物語の世界から一瞬はじき出されたような感覚を覚えるんですね。ネタとして他の作品名を引き合いに出すことが有効な場合もありますが、それ以外の場合は作品にあまり良い影響を与えないことが多いと思います。ライトノベルに限らず、作品とは受け手の意識を作り手がコントロールするものです。他の作品名を使う時はその点だけ注意してみるといいでしょう。
Q: Twitterの公式アカウントで「メタフィクションを使うのはリスクが高い」と発言されていましたが、そのことについて詳しいお話を聞かせてください。
A: 先ほどの固有名詞の話と重なりますが、ライトノベル作品の核となる要素はまさに「共感」だと思うんですね。しかしメタフィクションは、その「共感」とは対極に位置する手法だと思います。例えば、友達同士がケンカをしています。お互いに怒りを爆発させて言い争い、読者はその状況に入り込んで共感しています。それなのに突然カメラを引いて、高い所から「今日も人間どもはつまらない争いをしているなぁ」なんて展開になったら、今まで主人公に感情移入していた読者は、共感していた自分まで否定されたような気分になりますよね。回想形式で物語が進む歴史モノのように、メタフィクションが非常に有効なジャンルの作品もありますので否定はしませんが、ライトノベルの場合は少しリスクが高い手法と言えるでしょう。
Q: ライトノベルには「共感」が大切というお話がありますが、僕は今、おじいさんとおばあさんが主人公の作品を書こうとしています。そういった作品は「共感」という観点から言えば不利になりますか?
A: 原則としては、面白い作品であれば特に問題はないのですが、ハードルはとても高いですね。なぜなら、読者は基本的には物語に自分を投影するものなので、あまりにも対象読者のプロファイルからかけ離れた設定になると、どうしても投影しづらくなります。そのプロファイルの違いを超えられるほどに面白い作品が求められますので、ハードルは高くなります。ただ、だからと言って外見年齢がすべてではないということも覚えておいてください。大切なのは共感できるメンタリティを主人公が持っているかどうかという点です。何に喜び、何に怒るのか、そういうものが対象読者のメンタリティに一致すればその作品は読者から支持されます。大切なのは、読者が何に共感するのかを考えることです。自分が他の物語の読者だったとき、どんな条件を満たしていればその作品を面白いと感じるのかを考える癖を付けておいてください。それを考えるのも作家の仕事の1つだと捉えておくといいでしょう。

Q:ハッピーエンドとバッドエンド、どちらの方がウケがいいのでしょうか?

A: ズバリ!ハッピーエンドです。
作品が売れる要素というのは複雑で、それらを満たせば必ず売れるというものではありませんが、売れている作品の持つ要素をいくつかのファクターに分けた時に、その作品を読み終えた時にいい気分になれるかどうかという点はとても重要です。逆に、読み終えた後にすごく嫌な気分になるものや暗い気持ちになるような作品は、人には勧められないですよね。つまりそういう作品は口コミで広がることはありません。売れる作品というのは口コミで広がることが多いですから、ハッピーエンドの作品の方が自ずと支持されやすい傾向があります。ただ、単純にハッピーエンドならOKでバッドエンドならNGという問題ではありません。最終的にはより多くの読者にとって満足いく作品なのかどうかという点が最も重要です。ハッピーエンドが支持される傾向があるのなら、なぜそういう傾向が出るのかを考えてみる癖をつけましょう。

他にも学生からの質問に1つ1つ丁寧に答えてくださり、新たな作品を書く上で参考になる大変貴重な情報を教えてくださいました。

スマートフォンやiPadの登場でますます電子化の進む出版業界。ライトノベルの業界も電子化が進むことで、これまで以上に表現の幅が広がるのとともに、作品の作り手に取ってはテキストだけではなく、音やイラストを駆使されることを前提とした作品づくりが求められる時代が到来しようとしています。

そんな新たな時代に活躍できる作家を求めている「キネティックノベル大賞」。
審査員であり現役の編集でもあるGA文庫の北村編集長や桜沢さんに普段から作品づくりで疑問に思ってきたことを直接ぶつけられる機会を得られ、とても貴重な1日となりました。

アミューズメントメディア総合学院では、このようにゲストを呼んでの特別講義を定期的に行っています。
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