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ドリームワークス・アニメーションSKG社 FXアーティスト 有馬真作さんからのメッセージ

映画「シュレック」や「マダガスカル」など、世界的ヒット作を手がけるドリームワークスアニメーションSKG社にてFXアーティストとして活躍中の有馬真作さんが来校。渡米のきっかけやロサンゼルスでの生活、学生たちへのメッセージまで、一時帰国中のお忙しいスケジュールにも関わらず、たくさんのメッセージをいただくことができました。

インタビューアーを勤めたみなさん

また今回の対談にはインタビューアーとして、本校学院長の野口先生とゲームグラフィックデザイナー学科担任の滝本先生に加え、スタジオアールエフのロマのフ比嘉さんと梨本桃子さん、ジラフィルムの近藤勇一さんを迎え、日本とハリウッドの現場レベルでの仕事環境の違いなどのお話もうかがうことができました。

高校生の時に単身渡米されたとのことですが、そのきっかけや、学生時代のことを聞かせてください。

最初にアメリカに行ったのは高校1年生の夏休みでした。父に連れられてロサンゼルスに行ったのですが、その年の9月には父の薦めで日本の高校は退学し、単身アメリカの高校へ進学しました。最初は言葉がわからずとても大変な思いもしましたが、高校卒業後は南カリフォルニア大学の芸術学部へ進学。そこでは主に彫刻と写真を学びました。ここで勉強したことは、今の仕事にも大変役立っていますね。写真を撮ることで、構図で世界を捉える癖がつくので、学生さんたちにも是非おすすめします。

クリエイターのお仲間で、写真を撮られる方は多いのですか?

結構多いですね。CGだけをずっと作っていると、オペレーターのようになってきてしまうのです。そんな中でも写真をやることで感性が磨かれ、「自分は単なるオペレーターではなく、芸術家なんだ!」っていう自負心も生まれるのですね。そういう心構えも、良い作品を作る上ではとても重要なのですよ。

ドリームワークスでの有馬さんのお仕事を教えてください

FXアーティストという仕事です。具体的にはキャラクターアニメーション以外のアニメーション全般の制作を担当しています。例えば爆発のシーンや水の流れのシーンなどで、最近では映画シュレック4の馬車のシーンなどを担当しました。

ドリームワークスは、どんな会社ですか?

制作するアニメーションはすべてフルCGの3Dアニメです。
ユニオン(ハリウッド映画業界での労働組合のこと)が強くて、労働環境がいいです。時間にもきっちりしていて、残業はほとんどありません。だから、アニメ以外にもいろんな芸術の趣味を持つことができますし、新しい刺激に触れることで、また良いものが作れるんですね。
ちなみに社員は1300人ほどで、内日本人は13人ほどです。

では、逆に働きづらいと感じるところはありますか?

残業ができないので、作業が終わらない時は大変ですね。少しでも効率良く作業をするよういつも気を配らなければなりません。あと、アメリカは日本以上に分業化が進んでいるので、1人の人間ができる範囲の仕事がとても狭いんです。だから最初に就いた仕事から他のセクションへの異動というのはほとんどありえない点です。

使用しているソフトウェアについて教えてください

勉強をするのでしたらやはりMayaが一番ですね。実際、ハリウッドではMayaを使用することが多いです。もちろん、プロダクションによって使用するソフトは違いますが、Mayaが1つ使えると、他のソフトウェアにも応用が利きますしね。他にも、アメリカのスタジオでは3dsMaxやHoudini(フーディーニ)などがよく利用されています。

給与はどんな風に決められるのですか?

年俸制で、毎年改定があります。業績などによって上がる時もあれば下がる時もあります。 アメリカではスタジオ同士で人材を取り合っている状態なので、自然と日本よりは給与も高くなる傾向があります。また、ドリームワークスではプロモーションなども全部自社で行っているので、コストが抑えられるのです。その分をしっかりと社員に還元される仕組みになっています。

ドリームワークスには「タイタニック」や「アバター」で有名なジェームズ・キャメロン監督も来られたそうですが。

そうですね、キャメロン監督に限らず、いろいろな映画監督の方がキャッツェンバーグ社長との公開対談に来られるので、キャメロン監督もその1人としていらっしゃいました。 自分の知り合いにもアバターでアートディレクターをやっていた人がいるのですが、絵を持っていっても「これは違う」と返されてしまうことが多いそうなのですね。なぜなら、キャメロン監督の頭の中にはほぼ完璧な世界観がしっかりと出来上がっているからなのです。アートディレクターにはその世界観をうまく引き出す力も必要ですね。また、キャメロン監督は深海ダイバーでもあるんです。アバターの映像を見ていて、あの映画の世界観は恐らく深海の景色からインスパイアーされたのではないかと思います。

「アバター」は初の本格的な立体3D映画として世界中から脚光を浴びましたが、これから3D映画は主流になると思いますか?

はい、そう思います。ドリームワークスとしては基本的にすべて3Dでやっていこうと考えています。しかしカット絵を前後に置いたような飛び出る絵本的な3Dではなく、フル3Dの映像をより追求して行きたいと思います。

これからクリエイターを目指そうとする若い世代へのメッセージをお願いします

すべてを1人でこなすことは不可能です。何かを創るとき、「誰かと世界観を共有する」という作業はとても大切です。ぜひ一緒に面白いものを創れる仲間を見つけてください。 また、教えられたことを覚えるだけ、ずっとコンピューターの前に座って作業をしているだけでは、過去にどこかであった作品の劣化コピーしか生まれません。 例えばスタジオジブリの宮崎駿さんがあれだけ完璧な世界観を描けるのも、彼自身の足でさまざまな国や地域を歩き、自分の目で景色を観察し、自分の肌で文化に触れてきたからこそのことだと思います。どうか常に新しいものに興味を持ち続けてください。 そして、作品を創るときは世界の市場を意識した視点を忘れずにいてください。 今、日本では若者が映画やDVDを見なくなりつつあります。興行収入やDVDの売り上げが良くないと、次回作の制作費が削減される。そんな悪循環も一部では見受けられます。しかし一方で、日本で生み出されるアニメーションを中心としたコンテンツには世界が注目しており、これからは自分の表現したい世界観を発信していく力が試される時代でしょう。 アメリカに暮らす日本人の友人たちはよく「どうやって日本の文化を盛り立てて行こうか」という話をします。以上の現状を踏まえ、これからの時代を担う若い方たちにはぜひそんなグローバルな視点を持っていただきたいです。

有馬さんには一時帰国中のお忙しいスケジュールにも関わらず貴重なお話をいただけたことを深く感謝します。ありがとうございました。

 

ウォン・ズーヤン先生プロフィール 〔PROFILE〕
有馬真作
大阪府出身、ロサンゼルス在住。現在ドリームワークス・アニメーションSKG社(Dreamworks Animation SKG)でFXアーティストとして活躍中。

高校の時に単身渡米し、在米年数は22年を数える。南カリフォルニア大学(USC)芸術学部で彫刻と写真を専攻。卒業後にCGを独学で習得。

サンフランシスコでCMやTV番組のCG制作の仕事をしながら、近郊の大学4校で教鞭をとる。この時期に培った経験を基に、Softimage XSIとMayaの教則本を執筆し、出版。

その後、映画「マトリックス」シリーズのVFXを制作していたESCエンタテインメント社にトレーニング主任として採用され、「マトリックス・レボリューションズ」のプロダクションではCGアーティストとしても働く。その後オーファネジ社(The Orphanage)に入り、「デイ・アフター・トゥモロー」等の映画にFXアーティストとして参加。2004年より現職に至る。FXアーティストとして就任後は「マダガスカル」や「カンフーパンダ」など6本の長編アニメーションのFX制作を手がける。

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