去る11月11日、『ふたりエッチ』『熱いぞ!猫ヶ谷!!』を大好評連載中の克・亜樹先生が、アミューズメントメディア総合学院マンガ学科にてネーム(ストーリー、マンガの設計図のようなもの)講座を開講してくださいました!
年末、そしてその先に控えている卒業、進級という節目を見据えて、学生たちは、ちょうどネームづくりに悩んでいたところです。もちろん、うまくいっている学生にも役立つように、連載を続けていくコツや仕事の進め方なども聞かせてくださいました。
――ネームが一番楽しい!
ぼくにとってネームは、一番マンガらしいと思うし、一番楽しいところなんです。原稿は、担当(編集)さんに見せるにしても、完成度の高さ、商品としてのクォリティを求められる。でもネームは、まだまだ直すことができるし、アイデアを練っている段階が面白い。自分だけが見るものだから失敗も成功もなく、どうやったら面白くなるか考えることができるから、楽しいんです。
――ネームのつくり方
今日も学院に来る前に、1時間くらいで、喫茶店でネームを1本描き上げてきました。普段あまり時間がないので、時間を見つけてはネームを考えるようにしています。
1日の流れで言うと、朝6時に起きて、午前9時までネームをやる。その後アシスタントさんが来て、夕方6時半まで仕事。そこから寝るまでは自由時間です。食事、入浴、ドラマを見る、ブログの更新などです。こうして1日に1回、必ずネームを描くことで、着実に進むようになりました。
でも描き続けると疲れるので、週に1日はアシさんとの仕事を休む。それでも、時間を見つけてネームを考える。本当はやらなくちゃいけない、連載のネームに飽きたら、別のネームを考えるとか、色々です。実は遊び方を知らないので(笑)、趣味がネームのような。
変な話ですが、1作ヒットがあれば、「昔取った杵柄」で、少しの間は良い仕事がもらえるんです。でも、「昔取った杵柄」の効果がなくなる頃が一番怖いです。だから、ひとつの連載が終わる前に、次の連載が始められるようにネームを考えたり、調整しています。
克先生のお仕事の仕方やネームについての考え方を聞かせていただいたところで、
学生からの質問が出ました。
| 学生: |
起床後すぐにネームだそうですが、プロットはどのように考えていますか? |
| 克先生: |
ネームって、幅が広いですよね。 少なくとも、ぼくは、完成のネームを「担当さんに見せるもの」だと思っています。
でもプロットは、「ぱぱっと書いた、箇条書きようなのアイデア」です。その後に、「簡単なネーム」みたいなものを考えます。担当さんに見せる前の、自分だけが見るものですね。
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| 克先生: |
でも「簡単なネーム」は、すでにコマを割っていて、セリフもあります。そこからコマを入れ替えることも、途中で流れを変えることもあります。
すごく簡単に描いていますが、ストーリーは流れ始めていて、そのまま原稿にも入れるし、担当さんに見せるネームにもできる。ここの段階にもっとも時間をかけていると思うし、それだけ大事だと思っていますね。
皆さんが考えるようなプロットとしては、アイデア帳を用意して、キャラの表情などを簡単に描きます。思いついたことを何でも描くことから始めて、それがネームに結びつきます。
実際ネームに移ったときに、なかなか進まないと思ったら、アイデアが足りないんです。だから、アイデアを貯めるところに立ち戻ってネタを貯めていきます。 |
| 学生: |
アイデアを貯めておくということですが、どんなことからアイデアが浮かびますか? |
| 克先生: |
音楽を聴いて、例えば「うわ、泣ける!」と思うと、歌詞からシーンが浮かんだりします。
それから、新聞を読んで、その記事から触発されることも結構ある。面白い映画を観ると、悔しくなったりします。でもつまらない映画だと、「自分だったらこうするのになぁ」と考えたりして、良い刺激になります。 だから、映画は結構観ますね。あとは、休みの日に、たまには歩かなくちゃ~と思って外に出たとき、音楽を聴いたりしていると、ふと浮かんだりします。
そうそう、担当さんやアシさんとバカ話をしているときは、気分が乗って、どんどん話が進むことが多いですよ。
大学時代、マンガ好きが集まる場所にいられたので、すごく刺激的だった。仲間同士で話し合うのもとても良いと思います。
学院の2年間は、マンガのことだけを考えて良いのだから、幸せだと思う。教室ではもちろん、家でもマンガのことばっかり考えていて良いはず。まあ、仲間とひと晩話して、「使える!」と思ったネタが、朝起きてみたら「ダメじゃん!」って思うことがあるかもしれませんけどね(笑) |
| 学生: |
ネームができないとか、担当さんとうまくいかなくて落ち込んだとき、どうやって持ち直していますか? |
| 克先生: |
デビューして3本描いてもうまくいかなかったんですが、1年くらい苦しかった。
編集部がほしがるのは「商品になるマンガ」です。「面白いけど、アンケートは上位に入れない」のでは、編集部もこちらを向きません。そういうときに、描き続ける力を削がれてしまって、受身になるから考えられなくなるんです。そこからぼくが立ち直れたきっかけは、たまたま担当さんが、電話をくれて、「どう、やってる?ネームも見るよ」と言ってくれたことです。その電話に救われました。
担当さんも、海のものとも山のものとも知れない新人を相手にしているので、完全に正しいということだけを話しているわけではないんですよね。それと、「彼女」ではないので(笑)、電話がなかったり、つまらなそうにしたり、少し評価が低いくらいでへこまないことです。「彼女」だって、自分のことばっかり考えているわけではないのだから(笑)、担当さんが自分のことをいつも気にかけているのではない、と思うようにした方が良いんです。
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| 学生: |
持込みにいって、キャラが立っていないといわれてしまった。魅力的なキャラのつくり方は? |
| 克先生: |
ぼくも、いつも悩んでます。例えばコミックスはビニールがかかっていたりして中身がわからないから、だいたいの人はカバーを見て買いますよね。
ぼくがキャラを考えるとき、カバーイラストにしたときに魅力的であるようにと思っています。でもぼくのキャラは弱いと思っていて、今も悩んでます。
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| 克先生: |
「どこにでもいる女の子がこの状況だったらどうするか?」という風に考えているので。でも新人さんの場合は、扉絵で「面白そう」と思ってもらえることが一番大事。最後まで読んでもらえたら、面白いのがわかる・・・というのでは遅いんです。ぱっと見て、魅力を感じてもらえることが一番です。
ぼくは、最初の頃、副編集長さんに「ネームは最初の8ページだけで良い。最後までいけば面白い、というのでは、読者に読んでもらえない。面白ければ続きを描けと言うから、とにかく8ページだけ集中して描け!」と言われたんですよね。すごく衝撃的で、でもその通りだと思います。
だから、最初の数ページをキャラの説明に費やすようなキャラは描かない。読んでもらえる作品は、起承転結の「起」が本当に大事で、キャラクターも、その「起」で読者の興味をそそるようになることが一番なんです。 |
質疑応答の後は、前もって課題にしていた「オチは考えないで、とにかく担当の心をつかむような、読みきりのネーム・序盤4ページ」を全員分チェックしてくださいました!
センスが良いね!と、褒めてもらえた学生や、初めて自分の作品を見てもらったのに、見事に弱点を見抜かれてしまった学生などなど、連載を抱えているプロのマンガ家さんに見てもらえたので、すべてが勉強になりました!
――最後に
| 克先生: |
ぼくは、ネームの4ページ目くらいまでで気分が乗らないと、「置いておくネーム」にして、別のネタを考えます。自分で完全にボツにしないこと、今は使えなくても、ストックとして取っておくことが、自分を落ち込ませない秘訣です。
実は、自分でなかなかネームのゴーサインを出せない。でもプロには締切りがあるので、あまり悩んでいられないんですよ。そこで、なかなか自分でゴーサインが出ないネームは、「ちょっと置いておこう」と1回考えるのを止める。その後、まったく別のネームを考えてみます。
そのときに、「置いておいたネーム」を引っ張り出して使えるかな、なんて考えてみることもあれば、逆に「置いておいたネーム」に役立つネタが突然出てきたりする。最初からキャラ設定を詳しく考えたりするのではなく、やっぱり大切なのは、ネタをどれだけ集めておけるか、ということだと思います。
皆さんも、ぜひ長い目で頑張ってくださいね! |
普段あまり聞くことができないお話もたくさんあり、ネームのご指導もいただけて、とても充実した講義となりました。克・亜樹先生、本当にありがとうございました!
克・亜樹先生 公式ホームページ:アトリエ克 http://www.katsu-aki.com/