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ほんとに不況?ゲームビジネスの真実!

具体的なデータを数多く挙げての講演だけに、熱心にメモをとる学生の姿も。講演の最後には、現在、共同制作を行っている学生たちに「この先、ゲーム会社に就職しても、すぐに自分の好きなものを作れるチャンスがくるわけではない。けれどその先にチャンスは必ずある。大変だろうけどがんばってほしい」とエールが送られた。

■ほんとに不況? ゲームビジネスの真実!

014.jpg5~6年前まで右肩上がりで上昇を続けていた家庭用ゲームの売り上げも、ここ3~4年は年々落ち込んでいる--というのは皆さんもご存じだと思います。でも、実際にはどれぐらいの市場規模があるのでしょうか?

ひとくちに売り上げといっても、ソフトウェアもハードウェアもありますし、メーカーの売り上げか、末端の小売店の売り上げかで数字も変わりますが、日本のゲームメーカーの売り上げということでみれば、だいたい国内だけで3000億円、国内外あわせて4000億円と言われています。1社で6000億円を売り上げる武田薬品や、経常利益だけで4兆円というトヨタ自動車などと比べると、意外なほど小さく思えます。ただ、ゲームは医薬品や自動車と違って、生活必需品ではありません。同じエンタテインメント業界のなかで比べてみると、日本の音楽産業の売り上げが約3000億ぐらい。日本の音楽産業がドメスティックな(国内だけの)ものであることを考えれば、海外で売れるソフトも多いゲーム産業のほうが若干勝っているといえるでしょう。

ちなみに国内の映画産業とは比べるまでもありませんが、アメリカでは、ゲーム産業の売り上げが7000~8000億に達し、映画産業の売り上げを超えてしまうという事態が起きています。他の産業と比べると少ないように見えても、エンタテインメント業界のなかでは、ゲームはトップクラスの産業なんです。

また、先ほどのゲームの売り上げが年々落ち込んでいる--という話も、実はソフトの販売本数が減少しているというわけでありません。売れるソフトの数はたいして変わらないのですが、廉価版や低価格ソフトの割合が増えたことで、売り上げが落ちているのです。アメリカでは、今後も売り上げが伸びていくと見られていますし、他の産業と比べても将来性は高いといえるのではないでしょうか。

■ゲームビジネスの仕組みとは!?

さて、皆さんは、ゲームソフトの開発にどれぐらいのお金がかかるかご存じでしょうか? CESAの調査によると、ソフトウェアの開発費の平均は、PS2ソフトで3800万円、PSソフトで600~700万円なのだそうです。とはいえ、これは低価格ソフトなども含めた場合の平均です。オリジナルのちゃんとしたソフトを作ろうと思ったら、最低でも1.5~2億円はかかると思った方がよいでしょう。

では、開発に 1.5億円かけたとしたら、何本ぐらい売れば元が取れるのでしょうか? 家庭用ゲーム機の場合、ソフトが出荷されるときの値段は、おおむね定価の 55~63%程度です。仮に定価が7000円のソフトで、定価の55%で卸したとすると、卸値は1本あたり3850円ということになります。しかし、これがそのままソフトメーカーに入るわけではありません。ここからハードメーカーに支払うライセンス料やROMのプレス代、パッケージ・マニュアル等の制作費などを支払うため、実際のメーカーの利益は、ソフト1本あたり2500円程度になるのです。ということは、6万本売れて、やっと開発費をペイできるという計算になります。しかし実際には、開発費以外に宣伝などの費用も必要になってくるので、10万本以上売れないと採算が合わないでしょう。

ですから実際のゲーム開発では、「これぐらい売れそうだから、これだけのコストをかけられる」という制作スタイルをとることがほとんどです。ここまでの話だとリスクばかり高いように聞こえるかもしれませんが、逆にヒットして50万本、100万本売れることがあれば、それだけ大きな利益を得られるということでもあるわけです。

■できる人材はつねに不足している!

先ほど、ゲームの開発には最低でも1.5~2億円はかかるという話をしましたが、かつてのスーパーファミコン時代は1本2000~3000万円、PSの初期の頃でも4000万円もあれば一流のゲームソフトを作ることができました。それがハードの進化とともに、開発費が上がってきたわけです。開発費がかかるようになったというのは、つまり開発に必要なスタッフの数が増えたということでもあります。

企業の合併などで業界自体は縮小傾向にあるのも事実ですが、必要とされる人材はけっして減少しているわけではないのです。むしろ増加してるといってもいいでしょう。とくに仕事のできる人材はつねに不足していますし、どんなメーカーでもほしいと思っているはずです。 また、先ほどゲームビジネスの現状をお話をしましたが、今後は、中国やインドなど、新しいマーケットが広がってくるでしょう。日本国内だけでは5000 億円が限界だとしても、世界を基準に考えれば、その何倍もの市場が広がっているわけです。さらに国内でも、ケータイゲームの市場が広がってくるのは間違いありません。現在はまだまだ小規模な市場に過ぎませんが、これからケータイの性能が上がっていけば、ゲームの市場はさらに広がっていくはずです。そうすれば、さらに多くの人材が求められるようになることは、言うまでもありません。

■ゲーム業界に入るには!?

ビジネスの話からは離れるのですが、最後に就職に関する話を少しだけしておきましょう。ゲーム業界の特徴としてといえるのは、どこの会社も就職後の定着率が悪い--つまり、転職率が高いということです。一度入ってしまえば、能力しだいでいくらでも転職をすることができるわけです。実際、小さなメーカーからハードメーカーに転職した人もたくさんいます。

ですから、皆さんも会社にこだわるのではなく、小さな会社でもいいから、とにかく業界に入ることにこだわってほしいと思います。会社に就職するというより、「ゲーム業界に就職する」という感覚でいいかもしれませんね。そうして実績を積んだり、何らかの作品を残したりすれば、意外と簡単に転職できるはずです。

[PROFILE]
034.jpg黒田愛実[くろだ・まなみ]
’99年まで元気株式会社に所属し、ゲームのプランニングやプロデュース、セールスプロモーションを担当。その後独立し、『PRIDE』『クリムゾン・ティアーズ』などをプロデュースした。現在、(有)Delを立ち上げ、デジタル・エンタテインメント・クリエイターとして数々の作品を手掛けている。

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